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【SSW19:WORKS】切なさを滲ませるオリジナル曲と、 多彩なアレンジを魅せるカバー演奏

関東近郊のライブハウスを中心に活動しているピアノ弾き語りシンガーソングライター、でぐちゆうき。彼のオリジナル曲の特長や、音楽的なルーツに迫った。

自分自身を反映した曲作り

バンド時代を含めると、約20年、音楽活動を続けているでぐち。

多くのオリジナル曲を作ってきたが、直近のライブで演奏しているレパートリーは30曲ほどだ。

「先に曲を作ってから、歌詞を考えることが多いですね。ピアノを弾きながら、いいなと思えるメロディやコード進行を見つけて、広げていきます」。

こだわっているポイントを訊ねると「どんな曲にも、どこか切ない部分を入れています。明るい曲や、爽やかな曲のなかにも」。

根幹には、彼なりの世界観がある。

「時間とか、存在とか、儚いよなって思うんです。それを、音で表現したい。楽しい曲調だけど、ここぞというところの一音は切ない、とか」。

たとえばみんなでキャンプに行く。賑やかで楽しい時間だが、それゆえに「もうすぐ帰らなきゃいけないな」「あと何回、こうしてみんなで出かけられるだろう」という切なさがよぎる。

その刹那が、でぐちの楽曲には込められている。

「僕は性格が根暗なこともあって、マイナー調の、しんみりした楽曲が多いです。そうじゃない曲を書くときも、ちょっと切ないポイントをいれることで、自分らしい曲になるというか、まとまると思っています」。

そんな彼の代表曲は、『Prism』だ。

「振られた男の女々しい気持ちを歌ったもので、けしてキャッチーな、みんなに共感してもらえるような歌詞じゃありません。コード進行もシンプルだし、構成もいたって普通です。それでも、『印象的だ』と言ってもらえることが多い曲です」。

『Prism』のサビに、「あやかりたい 君のその無神経さに」というフレーズがある。「あやかりたい」は、日常生活ではあまり使わない言葉だ。

さらに本来の意味は、「影響を受けて同様の状態になる。感化されてそれと同じようになる。ふつう、よい状態になりたい意に用いられる(※大辞泉から引用)」。すなわち「無神経」という、一般的にネガティブな単語に対して使うことはほとんどない。

「そういう言葉遊び、メロディ遊びを面白がってもらっているのかな。バンド時代から演奏している曲で、今も『好きだ』と言ってくれる人が多いのは、ありがたいですね」。

一筋縄ではいかないでぐちの楽曲群を、ぜひ聞いてみてほしい。

幅広い音楽への興味を生かした活動

「小学校低学年のとき、はじめて親に買ってもらったCDは、WANDSのものでした。いわゆるビーイング系のアーティスト、ZARDや大黒摩季など、よく聴いていましたね」と語る、でぐち。

特にリスペクトしているアーティストとして、シンガーソングライターであり、作曲家や音楽プロデューサーとしても活躍する織田哲郎氏を挙げる。

「僕が曲作りに魅力を感じ始めたのは、織田さんの曲を知ってからです。ご本人のライブも観に行きましたが、とても素敵でした」。

邦楽から洋楽まで、広く浅く、色んな音楽に触れてきた。

「ジャズやファンクにハマったり、椎名林檎や東京事変が好きだったり、スガシカオを聴きこんだり。本当のマニアから見たら『なんちゃって』レベルかもしれませんが、そういう自分の趣味が、楽曲をアレンジする際の引き出しになっています」。

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彼の音楽力の一端を垣間見られるのが、2020年に開設したYouTubeチャンネルと、インスタライブでの配信だ。『いつでも歌えバナナ』の名義で、カバー演奏を中心に、50本以上の動画を公開している。

「コロナ禍でライブが減ったこともあって、インターネットを活用してみようと思い立ちました。ただの『でぐちゆうき』より、違うキャラを作ったほうが聴いてもらいやすいかなと考えて、色々と調べるうちに、バナナの被り物を見つけました」。

流行に合わせた選曲はもちろん、ポップスの名曲をジャズ風にアレンジするなど、彼らしい大胆な演奏が光る。

「インスタをきっかけに、配信ライブのチケットを購入してくださったり、ライブハウスに来てくれるようになった方もいて、嬉しいですね」。

オンラインでの活動にも手応えを感じているが、軸足は、ライブハウスでの生演奏だ。

「やっぱり僕は、一人の演奏者、リスナーとして、生演奏が好きなんです。音はもちろん、照明や空気感を含め、直接訴えてくるものが凄いので」。

動画や配信ライブで彼に興味持った方は、どうかライブハウスにも足を運んでほしい。

text:momiji

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