見出し画像

【R13:WORKS】文学的な感性で紡がれる詩と、進化し続ける表現力

ピアノ弾き語りシンガーソングライターとして、職業作家として、はたまた占い師としても活躍するアーティスト、彩葉永華(あやば・えいか)。詩作へのこだわりや、これからリリースする予定の作品などについて聞いた。

小説家としての一面に深く結びついた詩作

『星詠(ほしよみ)エマ』名義で、小説家としても活動している彩葉。

「趣味で書く小説は完全なファンタジーですが、理性的な作品や、エッセイも好きです。ジャンルにこだわらず書いていきたいですね」。

創作のアイディアを形にする手段として、「これは小説にしよう」「これは歌にしよう」と決める基準はあるのだろうか?

「ファーストアイディアは、歌が多いですね」と彼女は語る。「電子書籍として発売中の『イーハトーブのカクテルをどうぞ』は、歌が先にありました。幾つかの楽曲が偶然繋がって、『小説になりそうだな』と」。

「歌詞は文字数が制限されるので、やっぱり、こじんまりと作らないといけません。起承転結があって、場面転換があって、文字数の多い作品になりそうだというときは、小説になります」。

そんな彼女が書く歌詞は、非常に文学的だ。

「お仕事として作詞をするときは、商業的な縛りが多いんですよね。どうしても、特にアイドル曲はインパクトが大事なので『決め台詞を繰り返してください』などのオーダーがあって。だから自分の楽曲を作る時は、そうした形式を外して書いています」。

オリジナル曲の総数は、まもなく100曲を超える。代表作は、2008年に制作した『君のヒマワリ』と、14年に発表した『花売り娘』だ。

「『君のヒマワリ』は、実家の庭のヒマワリが太陽の方を向いて咲く姿から着想を得ました。花売り娘は、色っぽい曲を作りたくて『主人公はキャバクラ嬢だ!』っていうところから考えました」。

歌詞から曲を作ることが多いが、ほとんどは同時進行である。

「一時期、カノン進行を使うことが多かったので、自分で自分に使用を禁止したこともあります」。

リスペクトしているアーティストは、L'Arc 〜en 〜Cielのボーカル・hydeだ。「言葉の使い方がとても美しいんですよね。10代のころから好きで、お手本にしています」。

長年、ソロのピアノ弾き語りというスタイルを貫いている彩葉だが、バンドの楽曲にも造詣が深い。

「本当はバンドで活動したかったくらいです。これまでにもバンドの一員として演奏する機会はあったんですが、キーボーディストとしてでした。できればボーカルとして、自分のオリジナル曲をやってみたいですね」。

まだまだ進化を続ける彼女の世界観を、『彩葉永華バンド』が表現する日も近いかもしれない。

コンセプトの異なる作品群へのこだわり

彩葉は、これまでに4枚のCDをリリースしてきた。

2014年9月21日にリリースした1stシングル『忘却カナリア』のジャケットでは、初々しい表情を見せる。「人形のような雰囲気でジャケットを撮ってもらって、妖精系というか、可愛らしさを前面に押し出しました」。

CCI20150927_0002かなりあ

翌年9月には1stアルバム『太陽に恋したヒマワリ』を発売。「とある男女が出逢い、別れ、一年後に再会するまでのストーリーを描きました」。

さらに3作目の『SUPERNOVA』は、17年10月に知人が主催した、宇宙をテーマにしたイベントにあわせて制作した。

最新作の『柘榴の春』は、『色っぽい大人の女性』へと路線変更を図った一作だ。「一曲目の『柘榴の春』から『スカートの話』までの全6曲を通じて、少女が成長していく物語になっています」。

作品の背景には、彩葉自身が12歳だったころ、第二次性徴へ感じていた恐怖がある。

「子どもの自分が、どういう風に変わっちゃうのかなって。その変化がなかなか受け入れられず、嫌だ嫌だと思っていたんです。その葛藤を描いたのが『柘榴の春』。偶然知りましたが、柘榴って女性器を象徴する果物なんですよね」。

ジャケット写真では、少女の格好をした彩葉が柘榴を両手に持っている。熟していく柘榴に対しての戸惑いを表すため、わざと表情を写していない。

一方、裏ジャケットを飾るのは、柘榴を齧る彩葉の口元の写真だ。自分の変化を受け入れ、大人の女性になったことを表している。

「昔、与謝野晶子の『みだれ髪』を読んだ時から、『私もこんな大胆なものを作りたい』と考えてきて、やっと達成できました。女性の心や性を表現した作品です」。

画像1

次回作の予定はあるのだろうか?

「まさに今、作っている最中です。昔から演奏しているけれど、音源化していなかった曲を集めたベスト盤になります。年末ごろにリリースする予定です」。

コロナ禍でライブが減ったため、空いた時間を制作に充てている。

「せっかくだから、DTMの勉強を再開したんですよ。カッコよくアレンジできるようにがんばっています」。

DTMにおいて、彩葉が最も苦労しているのは『どんな音色を使うか』ということだ。

「制作開始一日目は、何の楽器使おうかな、と悩むだけで疲れ切ってしまいます。ただ、そこで頭の中の楽器が鳴り始めるので、次の日からはサクサクと進みます」。

彼女は、このコロナ禍の間に、二件のコンピレーションアルバムに参加している。20年6月10日にリリースされた『【密】-mitzdes-』には『ミツの呪文』を提供。「初めて、アレンジから録音からミックスまで、全部自分で手がけた楽曲です」。

国分寺にあるライブハウス・クラスタの救済のため、常連の出演者で制作したコンピレーションアルバムに提供した『グリーンスリーブス2020』も同様だ。

コロナ禍すら自分磨きの機会に変え、さらなるレベルアップを図っている彩葉。彼女の次の作品が待ち遠しい。

text:Momiji,Tsubasa Suzuki edit:Momiji

INFORMATION

1st CD『忘却カナリア』から最新作の『柘榴の春』まで、計4枚のCDをOfficial Websiteにて販売中!

2020.08.02(Sun) open 17:30 / start 18:00
[会場] 下井草Billy’s Bar GOLD STAR(杉並区下井草3-41-6)
[料金]¥1,500(+Drink)
[出演]KD/吉田タロー/彩葉永華/シラフ

関連記事





お読みいただき、ありがとうございます。皆さまからのご支援は、新たな「好き」探しに役立て、各地のアーティストさんへ還元してまいります!