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【R31:STORY】あなたの日々に寄り添えますように。・明くる夜の羊

Vo/Gt.カワノユイ、Gt.クラシマヒロミチ、Ba.ナツキ、Dr.ノグチアユムによる4ピースロックバンド、明くる夜の羊(あくるよのひつじ)。千葉県佐倉市のライブハウス・Sound Stream sakuraを中心に集まった彼らは、2018年10月28日に活動を開始し、23年秋には結成5周年を記念した東名阪ワンマンライブツアーを予定している。ツアーファイナルとなる11月26日、渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブに向けて気合十分な彼らが音楽を始めたきっかけと、結成から現在に至るまでの経緯、今後に描く夢を聞いた。


音楽的ルーツの異なる4人の出会い

Vo/Gt.カワノユイは、幼いころから歌うことが好きだった。

「よく家族でカラオケに行って、兄と点数を競い合っていました。負けたら悔しいし、兄に『お前の歌い方は変だ』って言われたらムカつくし、上手くなるために研究していました」。

中学校に入ると、ソフトテニス部に所属。毎日のように部活へ参加し、日焼けで真っ黒になる日々のなかで、『バンド』という存在に出会った。

「みんなが知らない音楽を聴くのがカッコいいと思って、YouTubeで色々と調べました」。

高校では軽音楽部に入り、ELLEGARDEN、CHATMONCHY、ONE OK ROCK、RADWIMPSなど、様々なバンドの楽曲をコピーして楽しんだ。

「コピバンでギターボーカルをするうちに、オリジナル曲を作りたくなって、高1から弾き語りを始めました。『音楽で生きていくぞ』とまでは思っていなかったけど、気づいたら、唯一ずっと好きで、続けられてきたのが音楽でした」。

卒業後も、ギター弾き語りシンガーソングライターとして音楽活動を継続。千葉県や東京都を中心に、ライブハウスへ出演していた。

「バンドのボーカルをしないか?」と声がかかったのは、2018年夏のことだった。

「『いつか自分もオリジナルのバンドをやれたらいいな』と思っていましたが、一人でやるのも楽しかったので、口に出してはいませんでした。たまたま、よく出演していたSound Stream sakuraのブッキング担当さんにそのことを話したとき、『バンドのボーカルを探している人たちがいる』と知ったんです」。

紹介を受けて、Gt.クラシマヒロミチと連絡をとった。

「クラシマさんのことは『Sound Stream sakuraで何度か対バンしたけど、あまり話したことがない、ギターの上手い人』くらいの認識でした。お互い人見知りなので、最初の電話では無言の時間が長くて、『あのー。そのー。そーだねー』みたいな。結局、4人でガストに行って話し合いをしたんですけど、全員ぎこちなかったです」と笑う。

そんなクラシマがギターを始めたのは、高校3年生のときだ。

「僕は幼稚園のころからサッカーばかりしていて、音楽もろくに聴かずに生きてきました。でも18歳のときに怪我をして、4か月ほどリハビリに専念しなきゃいけなくなったんです。時間を持て余していたら、友達から『ドラムを始めた』と連絡が来て、『一緒に演奏しよう』ってなりました。当時の僕は、ギターしか楽器を知らなかったので、『じゃあ俺ギターやるわ』と」。

早速、教則本を買い、練習を始めた。

「僕は飽きっぽい性格なんですが、ギターだけはハマりました。基礎の練習と、友達から指定された曲、L'Arc〜en〜Cielの『READY STEADY GO』を延々と弾いていました」。

ギターを始めて一年も経たないうちに、高校生限定のライブイベントに参加。人前で演奏する喜びを知った。

「超楽しい!これで食っていこう!と、心に決めました」。

卒業後は専門学校へ進学し、ギターを学んだ。「周りの人より始めたのが遅いし、下手くそだったので、頑張って勉強しました」。

ほどなくして、高校生時代にライブイベントを通じて知り合ったDr.ノグチアユムとともにオリジナルバンドを結成することになった。

ノグチは、小学6年生のときにドラムを叩き始めた。

「きっかけは、兄が吹奏楽部でドラムをやっていたことです。その演奏を聴いて『ドラムはこんなに大人しい楽器じゃないはずだ。正しいドラムをやりたい』と思ったんです」。

音楽一家に生まれた彼は、物心ついたころからギターやベースを弾いていた。「さすがに、ドラムは家になかったので、音楽スクールに通わせてもらいました。色んな楽器に触れてきた経験は、今も作曲や演奏に役立っています」。

中学校へ上がると、すぐにバンドを組んだ。

「本当はギターボーカルをやりたかったんですけど、友達がみんな楽器初心者だったのもあって、ドラムになりました」。

BUMP OF CHICKENやレミオロメン、HYなど、流行のバンドの楽曲をコピーしていた。

「ボーカルの子が作曲もできたので、わりと早い段階からオリジナル曲を演奏するようになりました。お金も機材もないけど、多重録音を駆使してデモ音源を作ったり、頑張っていました」。

そのころから「将来は音楽で食っていきたい」と考え、公言していた。

「みんなに馬鹿にされました。『無理だ。現実を見ろ』と。それが悔しくて、未だにバンドを続けてるし、絶対売れてやるっていう野心を持ち続けてます」。

年齢を重ねながら、幾つかのバンドを渡り歩くなかでクラシマと知り合い、ともに演奏するようになった。「お互い別のバンドをやってたとき、高校生イベントで知り合ったんです。長い付き合いですね」。

彼らの一つ目のバンドが解散したあと、二つ目のバンドを組むときに合流したのが、Ba.ナツキだ。彼女がベースを始めたのは、中学生のころである。

「中学では吹奏楽部に所属していて、流行の音楽はよく知りませんでした。ある日突然、母が日本のロックにハマって、ASIAN KUNG-FU GENERATIONやSTRAIGHTENER、BEAT CRUSADERSなどを聴き始めたんです。私も一緒に聴くようになって、『めっちゃカッコいい』と夢中になりました」。

時を同じくしてロックに興味を持った同級生と、バンドを組むことになった。「『私はベースがやりたい!』って、譲りませんでした。憧れのバンドのなかでも、特にベーシストが大好きで、弾き姿もスタイリッシュでスマートで、『私もこうなりたい』って思ったんです」。

高校では軽音楽部に入り、様々なバンドの楽曲をコピーしながら腕を磨いた。卒業後、一度は大学受験のために浪人したが、途中で方針を変更し、音楽専門学校へ進学した。

「私は『良い大学に行って、良い会社に入るのが良い人生だ』と言われながら育ちました。高校も進学校だったし。でも、『それは自分にとって本当に良い人生なのか?』と、疑問を持ったんです」。

自問自答の末、「自分が本当にやりたいことは音楽しかない」という結論に達した。「『音楽とともに人生を歩んでいこう』と決めて、親とも話し合って、理解してもらうことが出来ました」。

専門学校では、初めてオリジナルバンドを組んだ。また、同級生のクラシマと知り合い、たまにサポート演奏を頼まれる間柄になった。

「自分のバンドが解散しちゃって、どうしようかと思っていたとき、クラシマとノグチがやっていたバンドも解散したことを知りました。彼らが二つ目のバンドを組もうとしていると聞いて、『私も入れてくれや』と」。

しかし、新たなバンドでの活動も上手くいかず、ボーカルが脱退してしまう。「解散するかどうか話し合った結果、『新しいボーカルを探して、楽曲も一新してやっていこう!』という結論になりました。もう引き返せない、このまま辞めたくない、という思いが強かったですね」。

ボーカルを探すにあたって、最も重視したのは、人間性だ。

「音楽に対する意欲はもちろん、ちゃんとコミュニケーションがとれるかどうか。やっぱり、楽しくないと、バンドは続けられないので」と、ノグチは語る。

紆余曲折を経て、3人が以前からホームにしていたライブハウス・Sound Stream sakuraの仲介で、カワノユイに声をかけた。

ナツキが「ユイちゃんとは、前のバンドのときに何度か対バンしてたんですけど、『シンガーソングライターとして一人でやっていきたいんだろうな』と、勝手に思い込んでたんですよね」と言えば、カワノも「3人がやってたバンドのことを知ってたから、自分が彼らの雰囲気に馴染めるかどうか悩みました」。

「一緒にスタジオに入って、私のオリジナル曲をアレンジしてもらったりしました。ずっと私の音楽は一人で完結していたので、とても新鮮で、『やってみるか』と思いました」。

新たな音楽シーンを目指して

こうして2018年秋に結成された、明くる夜の羊。バンド名を考えたのは、Gt.クラシマだ。「インターネットで調べていたら、『羊は音楽を象徴する動物だ』って書いてあったんです。明くる夜は、夜明けに近い時間帯のことを表します。『俺たちで新しい音楽シーンを作っていくぞ』という意味を込めた名前です」。

18年10月28日、Sound Stream sakuraにて初ライブを決行。徐々にライブの本数を増やし、19年7月19日には1st mini album『紡ぐ、その日々』を、20年4月23日には2nd mini album『巡る、アイオライト』を発売した。

さらに活動を本格化させようとしていたとき、コロナ禍が世界を襲った。

「ライブらしいライブができなくなって、あっという間に1年が経ってしまいました。スタジオから配信ライブをしたり、音源を制作したり、インターネットを活用して乗り切りました」と、Dr.ノグチは振り返る。

21年8月から22年9月にかけて、5枚のdigital singleと1st album『juvenile』を配信リリース。行動制限の緩和にともなってライブ活動も再開し、東京都内を中心に、各地のライブハウスで研鑽を積んだ。

22年3月4日には、新代田FEVERにて初のワンマンライブ『巡り合う軌跡を描いて。』を開催。チケットは即日SOLDOUTとなった。

サーキットイベントや野外フェスへの出演回数も増え、軒並み入場規制を記録。同年9月10日には、千葉県佐倉市で行われた『くさのねフェス』のメインステージでトリを務めた。

Ba.ナツキは「いつも、イベントなどに出演するときは、誘ってくださった方の思いに応えたいと思っています。私たちと、主催の方と、両方の熱量がお客さんに伝わって、場を盛り上げられたら嬉しいです」と語る。

「特に去年の『くさのねフェス』は、初めてメインステージに出させてもらって、しかもトリで、最後の一音を鳴らした瞬間に花火が上がったときの達成感というか、高揚感というか、凄かったです。うまく言葉に出来ませんが、私にとって、この5年間で一番思い出に残った日かもしれません」。

さらに9月12日から、『1st album "juvenile" Release tour「あの日の僕らへ」』を敢行。7都市10会場でライブを行い、渋谷WWWでのtour final ONEMAN LIVEも見事に成功させた。

Vo/Gt.カワノは「渋谷WWWは、私にとって思い出の箱でした」と懐かしむ。「高校生のとき、はじめて自分の仲間や先輩の演奏を見て『音楽って凄いな、ライブっていいな』と感じたんです。いつかこの箱に出てみたいと思っていたので、このバンドで、初のツアーファイナルで達成できたのは、とても嬉しかったです」。

2023年3月17日と18日には『2days event「Let in light」』を開催。新代田FEVERにて、初日はマスロックバンド・arne(アルネ)とのツーマンライブ、2日目は同会場で2度目となるワンマンライブを行った。

「僕らが精力的にライブをするようになってから、ずっとコロナ禍の制限があったので、お客さんの声をちゃんと聞いたことがなかったんです」と、クラシマは微笑む。

「声出しOKになって初めての主催イベントで、ステージに出て、演奏して、客席から聞こえてきた歓声が脳裏にこびりついてます。僕らを見てくれてる人が、ちゃんとそこにいるんだ、と感動しました」。

さらに19日、6th digital single『周回軌道上』を配信限定リリース。この楽曲について、カワノは次のように語る。

「同じような悩みを繰り返していると、つい『ずっと負のループの中にいるのかな』と思ってしまうことがあります。でも繰り返しって悪いことばかりじゃなくて、いつものバンドメンバーといつも楽しく歌えたり、優しく迎えてくれる人がいたり、幸せや優しさもあるんですよね」。

人生における葛藤を天体の動きになぞらえた本楽曲は、YouTubeで公開したMusic Videoと合わせて好評を博した。

5月21日から6月30日にかけては、『明くる夜の羊tour 2023 "cram a memory"』を開催。約一か月間で全国8都市を巡るだけでなく、チャリティーフェス『COMING KOBE23』への出演等を含めて、合計12本のライブを行った。

また、ツアー期間中に、彼らにとって3年ぶりのCDとなる会場限定single『ロンリーナイト』を発売。

「本当は20年春、2nd mini albumを出したときに初ツアーをしようと思っていたら、コロナ禍になっちゃって。ようやく、円盤を出してツアーを回ることが出来ました。私たちはライブを一番大事にしているので、ぜひ会場へ観に来てほしくて、その場でCDを手に入れてくれた人に届けたい歌として『ロンリーナイト』を選んで、収録しました」。

結成5周年を超えて、より多くの人にライブで出会いたい

2023年秋には、『明くる夜の羊 5th Anniversary ONEMAN LIVE「Seize the day.」』の開催が決定。11月18日に心斎橋LIVEHOUSE ANIMA、19日に名古屋RAD SEVEN、26日に渋谷CLUB QUATTROと、東名阪を巡るワンマンライブツアーを行う。

Vo/Gt.カワノは「5周年を迎えることができたのは、自分たちの力だけではありません。これまで皆さんと築き上げてきた集大成を見せたいし、これからの新しい私たちにも期待してもらえるようなイベントにしたいです」。

名実ともに、彼らの第2章の開幕を告げるイベントとなる。

5年後、10年後に叶えたい夢や目標はありますか?と訊ねると、「Zeppツアーをして、ソールドアウトできるようなバンドになりたいです」と、4人は声を揃えた。

「私たちの音楽的なルーツはバラバラですが、憧れの会場として共通しているのがZeppです。結成当初から一貫して、目標に掲げています」。

そのために日々を積み重ね、まずは今秋のツアーを成功させたいと意気込んでいる。

Dr.ノグチは「とにかく、ライブに来てほしいです。YouTubeでMVを見てくれたり、SNSで感想をくれたりするのも嬉しいけど、生音に勝るものはありませんから」と熱弁を振るう。

たしかに近年、特にコロナ禍以降は、デジタルで音楽を楽しむ手段が増えた。ライブ映像も音源も、インターネットを通じて配信され、誰もが気軽に視聴できるようになった代わりに、「ライブを見るためにどこかへ足を運ぶ」という文化は勢いを失くしつつある。

彼らは、その風潮に一石を投じたいと考えている。

「古臭いかもしれないけど、音を肌で感じる、『音を浴びる』体験って、最高だと思うんです。僕らと同世代以上の方々は、十分それを分かっていらっしゃるので、もっと若い世代にライブの良さを伝えたいです。僕らがかつて憧れて、音楽を始めるきっかけになったバンドのように、今度は僕らが、若い子たちに影響を与えられるように頑張ります」。

さらなる高みを目指す彼らの快進撃に期待したい。

text:Momiji live photo:Ikue Asaka

INFORMATION

https://eplus.jp/sf/detail/3545710001?P6=001&P1=0402&P59=1  明くる夜の羊 5th Anniversary ONEMAN LIVE「Seize the day.」
https://eplus.jp/sf/detail/3545710001?P6=001&P1=0402&P59=1

明くる夜の羊 5th Anniversary ONEMAN LIVE
「Seize the day.」2023年11月に開催決定!

2023.11.18(Sat) 心斎橋ANIMA(大阪市中央区西心斎橋2-10-21 B1F
2023.11.19(Sun) 新栄RAD SEVEN(名古屋市中区東桜2-22-24 2F
2023.11.26(Sun) 渋谷 CLUB QUATTRO(渋谷区宇田川町32-13 4/5F

[時間] open 17:30 / start 18:00
[料金] 一般¥3,500 / 学割¥2,000 (drink代別)
[プレイガイド] https://eplus.jp/sf/detail/3545710001?P6=001&P1=0402&P59=1

最新配信楽曲『周回軌道上』他、好評配信中

OFFICIAL YouTube CHANNELにて、MV・LIVE映像公開中

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