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【R03:MUSIC】エレキギターの奏法を取り入れたアコースティック・サウンド

ギタリストの中山雄喜(なかやま・ゆうき)は、ソロでの演奏活動を中心に、ユニットや他のミュージシャンのサポート、俳優、モデルなど多方面で活躍中だ。関西からNY、東京へと活動の拠点を移し、成長を続ける中山ワールドの内実とは。

劇伴のようなインストゥルメンタル

J-POPから始まり、ヘビーメタルやフォーク、ブルース、カントリー、ジャズ、スパニッシュなど幅広い音楽を聴いてきた中山。

「色んなジャンルの要素を取り入れて演奏していますが、ベースはロックですね。ギターをよく知らない人がパっと聴いてカッコよく感じるのは、やっぱりロックだと思うし」。

最もリスペクトするアーティストは、エリック・クラプトン。彼への憧れから、ロンドンのアルバートホールで演奏することを一番の目標にしていた時期もある。

現在、中山がレパートリーにしているオリジナル楽曲は約20曲。「ストーリーのあるギターを弾きたいんです。いつか映画音楽に携わりたいという思いもあって。日常や、思い出を表現することが多いですね」と語る。

彼の代表曲『Reborn』は、上京したばかりのころに作った曲だ。大阪との文化の違いに凹んでいたが、新たな人間関係に希望を見出しつつもあり、「がんばろう」と前向きな気持ちを投影した。

ニューヨークから帰国して間もないある日、自殺を考えるほど悩んでいる男性に出逢った思い出から作った曲もある。

中山が「僕は宇宙一のギタリストになりたいと思っています。いつか火星で僕のギターを聴いてください」と伝えたところ、男性は「そんなことを言う人に会ったことがない。『世界一のギタリスト』ならあるが、『宇宙一』ははじめてだ」と答えた。

「君はきっと、もっと上に行くんだろう。自分の悩みが小さく思えたよ」。

男性は中山のギターを聴いていないが、この会話をきっかけに、死ぬことをやめたという。

自分の目標を伝えることで、他者に人生の選択を変えるきっかけを与えることができた。言霊の力への感動から生まれた曲が『Awake』だ。

激しいアップテンポの曲から幻想的なバラードまで、アコギ一本で表現する中山。時には二本のギターをかき鳴らしているような、カホンやストリングスも一緒に鳴っているかのような錯覚さえ覚える。立ち居振る舞いまで磨き抜かれた彼のステージは必見だ。

あらゆる経験を、ソロでのギター演奏へ還元していく

ベストワンプロに所属する中山は、auやディズニーの広告へ出演するなど、俳優としても活躍している。19年春には、フジテレビ系恋愛バラエティ番組『恋神アプリ』で中心キャストの一人を演じた。

「オーディションの時は『絶対に合格する!』という気持ちで受けています。メンタルを強くもっていたいので」。

ライブ活動も多岐にわたる。東中野ALT_SPEAKERでは、毎月オープンマイクイベントを主催。ソロでのギター演奏と、軽妙なトークで聴衆を楽しませている。ピアノ弾き語りシンガーソングライターの高遠波名(たかとお・はな)のライブにて、サポートギタリストを務めることもある。

今春には、沖縄出身のシンガーソングライター多和田景太(たわだ・けいた)と『四本目のクローバー』というユニットを結成。11月には、自由が丘OTTOにて、ユニットとして初のワンマンライブも決定した。

「ソロが僕の最終着地点です」と中山は語る。「様々なことを経験して、ギターへ還元していきたいです」。彼の成長過程を見守るのも、ファンの醍醐味といえるだろう。

text:momiji

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