見出し画像

P&G出身者が作る組織はなぜこんなに強いのか【しるし株式会社 長井CEO×Reapra対談】

P&Gマフィアの快進撃

1億総マーケター時代。情報の集積と利活用が加速度的に重要性を増す昨今、様々な環境で名だたる成果を生み出し続ける、話題の集団がいます。USJ再建の立役者である森岡毅氏や、キリンビール本麒麟を生んだ山形光晴氏をはじめとする、「P&G出身」のスーパーマーケターたちです。

P&Gから羽ばたいた人材はマーケティング領域で圧倒的な存在感を放っており、その活躍ぶりはマフィアに例えられるほど。では、市場のトップを走り続ける「P&Gの強さの秘訣」はどこにあるのでしょうか。

「マーケティングのプロなんだからマーケティング力でしょ?」
と思われた方もいるでしょう。それはきっと、おっしゃる通りです。

しかし、Reapraは別の観点から彼らに注目しています。

Reapraが見るP&Gの本当の凄さ

P&Gの強さの秘訣は何なのか。
Reapraは「強いオペレーション」にあると考えています。

強いオペレーションとはなにか、という問いをこの記事で深めていく前に、なぜReapraが強いオペレーションにこだわっているのかを説明させて下さい。

Reapraは2015年にシンガポールにてCEO諸藤により設立されたベンチャービルダー・事業投資会社です。「研究と実践を通じて、産業を創出し、社会に貢献する」をミッションとし、東南アジアと日本13カ国を中心に、ゼロイチフェーズのスタートアップの立ち上げから支援を行っています。特に起業家の特性が事業・組織作りにおいて大きく影響すると考えており、起業家の内面支援を中心に据えて、領域や事業選定、事業開始後の強いオペレーション作りまで共に学び合うという形を取りながら支援をしています。

我々は、今後伸びゆくであろう、世代をまたぐような複雑な社会課題を抱える領域をターゲットとし、超長期での投資先支援を行っています。

100年がかりで解決するような社会課題と対峙することが非常にチャレンジングであることは言うまでもありません。そんな正解のない問いに超長期で向き合うためには、市況にたやすく振り回されないような足腰の強い企業づくりが必要です。これを実現するのは毎日の業務を精度高く積み重ねることに他ならないので、Reapraは大きな問いに向き合うために、足元のオペレーションの作り込みを重視しているのです。

Reapraは、独自のオペレーション理論を構築し、ストレッチオペレーションと名付けて起業家と共に実践しています。この理論と実践方法が気になる方はこちらをご参照ください。

前置きが長くなってしまいました。
今回は「P&G出身起業家が語る、マーケティングだけではない、P&G強さの秘訣」をお届けします。

マーケティングのプロ集団というきらびやかなイメージからは想像がつかない、P&Gの地道でストイックな「裏の顔」を探りました。

注. 本記事は、Reapraが2021年10月に開催した対談イベントのレポートです。

登壇者紹介

画像1

長井秀興(Hideoki Nagai)
1990年9月生まれ。新卒でP&Gマーケティングに入社し、ブランドマーケティングを学ぶ。株式会社リーディングマークにて事業責任者などを経験したのち、2021年3月にしるし株式会社を設立。「ブランド体験を最適化する」をミッションにECにおけるブランドの成長をテクノロジーとオペレーションで支える事業を展開中。しるし株式会社代表取締役。

画像2

岡内雄紀(Yuki Okauchi)
独立系コンサルティングファームにて大手企業の構造改革や事業再生、PMI、新事業創出、経営人材育成等に従事。その後、HR系スタートアップにて事業責任者、CHROを歴任。 Reapraでは投資先の学習伴走者、兼HR,Sourcingマネージャー。Corporate DirectionsとのジョイントベンチャーであるTorch,incの代表取締役も務める。

岡内が驚いた長井さんのこだわり

長井:
初めまして、長井と申します。よろしくお願いいたします。
僕は2016年にP&Gに新卒で入社し、ファブリーズのアシスタントブランドマネージャーを担当しました。その後HR系ベンチャーに移って2年くらい経験を積みましたが、2社目のNo.2の方もP&G出身だったので、P&Gのカルチャーには3年くらい触れていました。現在はこうした経験を活かしてブランド価値の向上をミッションに、ブランドのECにおけるグロースパートナー事業で独立しています。

岡内:
長井さん、お久しぶりです。本日はありがとうございます。
実は僕ら前職でご一緒していまして。その時にとても印象深かったのが、長井さんのオペレーション作りへの強いコミットだったんですね。僕が過去にお会いした方のなかで、最も業務の仕組みづくりに熱心な方だと思っています。

聞けば、長井さんの「強いオペレーション」へのこだわりはP&G時代に叩き込まれたそうで。Reapraも強いオペレーションを研究・実践していきたいと思っているので、前職でのご経験や現在の取り組みなどを是非伺いたいと思い、本日お招きしました。

長井:
ありがとうございます。
強いオペレーションづくりはしるしでも意識してやっていて、私たちの1つの強みと自負している部分でもあります。ですので、今日は社内の具体的な取組みのご紹介も交えてお話しさせていただければと思っています。

強さの秘訣はオペレーションにあり

岡内:
さっそくですが、P&G時代のご経験から気付いた「強いオペレーションの秘訣」を教えてください。

長井:
P&Gだとグローバルの経営目標とグループ全社員の個人目標がひと続きに繋がっているんです。そして、それらを正確にトラックし管理する仕組みがありました。経営システム全体として見た時に、無駄がない戦略設計がグローバルで実現できているすごい仕組みだな、という風に思っています。

これを実現するにあたって「選択カスケード」と「オペレーションエクセレンス」と呼ばれる2つの概念が重要で、私たち社員は常にそれを意識していました。

岡内:
なるほど。
では、まず「選択カスケード」について詳しく教えていただけますか?

選択カスケード

スライド3

図1 選択カスケード。顧客の定義から経営戦略までがひと続きになっている。

長井:
「選択カスケード」は、事業の勝ち筋を見つけ、実行しきるためのP&G流のフレームワークです。A・G・ラフリーというグローバルP&Gの伝説的な元CEOが書いた『P&G式勝つために戦う戦略』という本にも登場しています。

このフレームワークのポイントは、目標設定から始まり、それを達成するための経営システム(オペレーション)を作り込むところまでがすべて繋がっていることですね。カスケード(連なった滝)という名前の通り、各要素が数珠つなぎになっているのがご覧になれると思います。(図1を参照)

事業を牽引した経験のある方であれば、目標と日々のオペレーションを上手く結びつけることに難しさを感じたことがあるのではないでしょうか。組織の目標を立てたはいいものの組織運営は別で試行錯誤していて結びつきが弱く、いつしか目標が形骸化してしまっていたり。そうしたことを防ぐためには、目標設定から経営システムまでのつなぎ込みに一貫性を持たせる必要がありますし、はじめからそれを意識する必要があるわけです。そこでこの選択カスケードというフレームワークが活きてきます。

では各構成要素はどうなっているのかというと、まず考えるのは「勝利のアスピレーション」。要するに目標の設定をします。その後に「どこで戦うか?」、これが顧客の定義ですね。地域や製品カテゴリ、消費者セグメントなどを定義します。続いて、「どうやって勝つか」。自分たちでターゲティングした顧客群にちゃんと買ってもらえるようにどういう価値を提供するのかだったり、その価値提供をするためにどういう組織構成を作るのかだったりを定義します。その後に「どんな能力が必要なのか?」。つまり、その提供価値を持続的に提供し続けるための競争優位は何なのか。最後に、その能力を使って提供価値をどんどん生み出すために「どんな経営システムが必要なのか?」を検討するというのが一連の流れになっています。

“わくわく”がすべての起点

岡内:
面白いですね。
目標設定の最初にあたる「勝利へのアスピレーション」では具体的に何を確認するんですか?

長井:
ひとことで言えば、目標を達成した未来に“わくわく“できるかだと思っています。
「売り上げ10億行きましょう」と目標設定したとして、じゃあ10億ってどういう数字なのか、これはわくわくする目標設定なのか?という部分をこだわっています。

P&Gってほとんどのブランドが各カテゴリーのナンバーワンかツーなんですよね。「ナンバーワンになるぞ!」というのは結構わくわくするじゃないですか。もちろん、常に一番を狙うべきとは限らないし、それが出来るのはP&Gだからこそでしょう。それでも、わくわくする、という人間らしい感情に基づいた目標設定をすると力を発揮しやすいよね、というのがアスピレーションの背景にあると思っています。

岡内:
そこからカスケードを降りたとき、「どこで戦うか」だとか「どうやって戦うか」を、組織のケーパビリティや経営システムとうまく繋げるのはとても大変な気がするのですが、どのようなことを実践していたんですか?

長井:
しるしでも模索しながらではあるんですが、「どこで戦うか」というのは、どういう消費者セグメントを切るかが非常に重要だと思っています。

ファブリーズひとつ取ってもセグメントを細分化していく必要があります。例えば、感覚派の女性なのか、機能性を求めている女性なのか。そういう顧客セグメントをどこに今年は絞るのか、絞った上でどういう数字(勝利のアスピレーション)を達成するのか、という部分はかなり検討に時間を使っていました。

わくわくが伝播する仕組み

岡内:
ここはかなり時間をかけて練り上げる部分なんですね。

「勝利のアスピレーション」についても掘り下げさせて下さい。大きなゴールは上層部が設定するわけですが、上の人間が「わくわくする」と思って目標設定をしたとして、そのわくわく感を社員全体にまでカスケードダウンしていくのことはとても難しく、様々な会社が苦しんでいるイメージがあります。ここはどのようにしていましたか?

REAPRAしるし_ストレッチオペレーション勉強会_20211021

図2 右上の「縦横のカスケード構造」に注目。

長井:
「選択カスケード」には縦横のカスケード構造があります。今お話ししたのが「選択カスケード」の核となる部分なのですが、これがさらに数珠つなぎのように展開されるんですね。(図2を参照)

横軸で展開すると、各レイヤーにおける目標設定を異なる時間軸で並べて見ることが出来ます。短いものは四半期、長いもので三年程度先の目標が並びます。

縦軸で展開すると、全社から個人までの目標設定の繋がりを同じ時間軸で並べて見ることが出来ます。(図3を参照)

スライド4

図3 縦の選択カスケード。全社から個人までが繋がった目標設定。

P&Gの場合は、一番上に全社グローバルの目標があります。そこから、それぞれの目標がグローバル > リージョン > ジャパン > 各カテゴリー > 各ブランドの目標 > ブランドマネージャー等役職 > 個人...という風に、きれいに繋がっています。自分の目標が結局なんのためなのか?というのが一目瞭然になるんですよね。

岡内:
これが縦に連なったものの全範囲が公開されていて、いち社員でも幹部の目標を見ることができる状態だったということですか?

長井:
図3のようなシートをそのまま使うのではなく、先ほどのロジックをOGSMという戦略策定のフレームワークに落とし込んで使っていました。(図4を参照)

このOGSMというフレームワークがグローバルの目標から個人の目標設定まですべてに活用されていたので、共通言語として機能していたんです。そのため、一個上のレイヤーがどういうOGSMを描いていて、それが自分が描いているOGSMとどうつながっているのかを見ると、すぐ勝利のアスピレーションを感じることができるようになっていました。

スライド5

図4 OGSMフレームワーク。あらゆるレイヤーの目標が管理される。参考文献(https://en.wikipedia.org/wiki/OGSM

オペレーションエクセレンス

岡内:
冒頭に仰っていた、もう1つの取り組みとして「オペレーションエクセレンス」がありましたが、こちらも教えていただけますか。

長井:
一般的に、オペレーションエクセレンスは、事業の効果・効率を高めることで競合優位性を構築し、明確な差別化を図ることを指すビジネス用語ですよね。

ただ、P&Gでこれを上司から言われるときは、「目標に向かってやり切ろう」みたいな意味で使われていた感覚が強いです。

P&Gで浸透している考え方に “Perception Is Everything(顧客の感覚がすべて)” というものがありました。消費者にどういう風に感じられたか捉えられたか、が全ての尺度であるという考え方です。(①)消費者に「良い」と思ってもらえるものを作り、(②)妥協なくやり切ることが、オペレーションエクセレンスの大事な要素だと考えています。

今、しるしでは顧客が消費者ではなく事業者にはなりますが、オペレーションエクセレンスを意識している事例をご紹介しますね。

価値創出のオペレーションエクセレンス

長井:
しるしでは、ブランド体験の価値向上をミッションに企業支援をしていまして、メーカーさんに代わってECモールを運用しています。ブランド価値向上に関してコミットしているのは、「粗利をめちゃくちゃ伸ばします」と「優れたブランド体験をつくります」の二つです。粗利を伸ばすためには売上を上げてコストを下げる必要があるので、それに最適なオペレーションを社内で組めるように日々試行錯誤してます。

しるしのオペレーションエクセレンスの基本方針は、価値創出やマネタイズの瞬間をマネジメントすることです。いわゆるKPIとは何か?という部分をしっかり定義し、そのKPIをトラッキングできる仕組みを作る部分に僕自身すごくこだわっています。

僕は現時点から目標までのギャップを捉えて、そのギャップを埋めるために超重要なものがKPIだと思っています。KPIは時間軸でも変化してくるので、事業のフェーズが変わったら見直すようにしています。

できるブランドマネージャーはマーケットをみる

岡内:
P&Gでも一つのブランドにおけるKPIが四半期ごとに変わることはあるのですか?

長井:
それはありましたね。施策によって、うまくいく、うまくいかないというのが結構はっきり分かれるので、うまくいかなかった場合は逆に目標までのギャップが大きくなってしまいます。そこに対してどういう埋め合わせをするのかが要求されていました。

もちろん、うまく行けば「よし、この施策がうまくいったからもっと予算引っ張ろう」とグロースさせるための意思決定にもその場で動いていました。

だけど、この辺のオペレーションって個人の能力による部分が大きいので、できるブランドマネージャーだと、ガンガンやってどんどんグロースさせますし、できないブランドマネージャーだったら、スピードが遅くて結局社内での説明に追われてしまって何もできない…みたいなことは往々にして起こっていました。

岡内:
高い成果をあげるブランドマネージャーとそうではない方にはどのような違いがありましたか?

長井:
一つ決定的に言えるのは、マーケットを見ているか社内を見ているかは大きかったです。社内だけを見ているブランドマネージャーは全然だめで。消費者をよく見ていて、消費者の態度変容に仮説を持っていると、施策が何でうまくいったのか、なぜうまくいかなかったのかがすぐ判断できていました。

KPI 産みの苦しみ

岡内:
マーケットを見て施策の効果を判断しようにも、施策の中には効果が分かりにくく定量的なモニタリングが難しいものもあるかと思います。そういった場合のKPI設定で意識していることはありますか?

長井:
まずは効果検証できるように施策設計をきちんとすることですね。それでも定性的な評価になってしまう施策になってくると、それでもブランドヘルススコアのように定量トラッキングする仕組みは一応あるんですけれど、そこよりかは感覚的な判断が大きくなってきます。そこはマーケティングのセンスが問われる部分かなと思います。

岡内:
なるほど。そうすると、前述のOGSMのMeasures(図4を参照)において、最初から効果検証ができるやり方を設計した上で施策を打つ、そういったところも徹底してるということですね。

長井:
OGSMのポイントって、Measuresをどういう風に設計するかというところでもあると思っています。ちゃんとゴールに適切に近づけているのかどうかを測る指標がMeasuresなので、この一枚のシートの中でゴールに対してのKPIが何になるのかを徹底的に考える仕組みもエッセンスとして含まれているんです。

やりきるオペレーションエクセレンス

長井:
いま話したのが価値創出のためのオペレーションエスセレンスだとすると、もう一つ、しるしが大事にしている基本方針があります。それが、やりきるという意味でのオペレーションエクセレンス。要するに、決めたことなのにそれがぬるっとやれていない、みたいなことを絶対に起こさないようにする仕組みを設計しています。P&Gでは “Operate with Discipline(規律あるオペレーション)” と言われていました。

これも、しるしで強く意識しています。

やり切るためには、まず動機付けが大事ですよね。モチベーションがあるのならそれでいいですが、そうでない場合は強制的にやり抜かなければいけない環境づくりが必要です。

しるしでは、ブランド価値の向上に組織として徹底的にコミットするために、クライアントのECモールでの売上の一定割合をお支払いいただく収益モデルを採用しています。ブランド価値を向上させることが自分たちの売上に直結するので、自然とブランドと徹底的に向き合うようになるわけです。当然、成果を確実にクライアントに届けるという意思表明と、それが出来る自信の表れでもあります。

その上で、より効果的に成果を追い求めるための仕組みも必要です。そこで作っているのがこのスプレッドシートです。

スライド6

図5 大公開!しるしのオペレーションエクセレンス。KPIとタスク管理が一目瞭然。

【超秘伝!しるしのエクセル大公開!】

(図5を参照)シート上部を見ていただくと、横軸に日付、縦軸にクライアントのKPIが並んでいます。デイリーでクライアントの売上を可視化していて、この数字を伸ばすための施策がシート下部に並んでいます。

さらに、それぞれの施策にはそれをブレイクダウンした複数のタスクが、それぞれのタスクにはそれぞれの担当者が割り当てられていて、期日まで定義されています。タスクの期日が迫ってくるとスラックに自動で通知が飛ぶようになっているので、基本的にタスク漏れが起こらないような仕組みになっています。タスクが完了したら、この真ん中のチェックボックスにチェックを入れることでslack通知が来なくなるというわけです。

また、このボックスにチェックを入れるとガントチャートの色が変わるので、上の売上数字と照らし合わせるんです。そうすると、施策の進捗によって売上の動きがどうなっているのかが一目瞭然です。

ただ、各クライアントごとに一枚のシートを作っているので、これだけだとしるしの社員としては何枚ものシートを横断的に見なければならず使いづらいです。そのため、ここから個人タスクの一覧をまとめるシートも作っています。普段のオペレーションは、その個人用の一覧シートを見ながらタスクをこなしてるという状態になっています。

さらに、実は最近もう一つ加えようと動いています。このガントチャートは社内用なので、クライアントに進捗報告するときは別の資料を作るのですが、それがめちゃくちゃめんどくさいし工数がかかるんですよね。そこで、ワンクリックでクライアント共有用のシートが自動生成されて、それを出せばクライアントに進捗が一瞬で共有できる、みたいな仕組みを今作ろうとしています。

岡内:
細部までこだわり抜いてますね!

成果は数字が連れてくる

岡内:
お話から、強いオペレーションに基づいている会社は、やはり数字を細かく追っているなと感じました。

ただ、KPIの話に戻りますが、数値をどこまで取りに行くのかは線引きが難しく、取得のためのコストもかなり掛かってくると思います。そのバランスはどのように考えていますか?

長井:
数字をどう追えば成果を導けるのかから先に考えるようにしています。もちろんクライアントの売上は数字として分かりやすく出る部分だとは思うんですけれども、その売上を作るのは各施策なので、本来ならその施策および施策のインパクトを重点的に追うべきですよね。

ただ施策をこなすだけではなくて、適切にインパクトのある施策をこなしているかという観点で見るべきだと考えています。施策のインパクトに関しては、僕もまだまだ感覚的に捉えている部分がありますね。

逆に言うと社員の工数管理はあまり行っていないです。工数管理をしてもあまり売上にはつながらないと考えています。見ないといけない重要な指標は何なのかっていうところから考えるようにしているっていうのも重要です。

取れる数字をぶわって並べて「この数字改善しました!」というのは、ゴールから考えると重要ではない指標が多分に含まれていたりして無駄も多いので、どういうデータを取ればゴールに適切に近づいているといえるのかというのを定義します。とはいえ、取れないデータもあるので、そういう場合は逆に取れているデータから何が一番ゴールを達成するための指標として適切なのかを考えるようにしています。

岡内:
長井さんのオペレーションへの強いこだわりが伝わって来ましたね。正直、ここまで考えているのかと改めて驚きました。

何が一番価値を出すポイントなのかを定義し、それをKPI化するのが第一で、これが価値創出(=マネタイズ)の瞬間を形にするということ。第二に、KPIの向上に効果的な施策を規律としてやり切る、その二つを徹底しているのだなと思いました。長井さんのようにP&G出身の人が他のところに行っても成果を出せる秘訣はこういう部分にあるのでしょうね。

本日は貴重なお話ありがとうございました!

画像8


▼「強いオペレーション」、「ブランド体験の向上」に関心がある方はこちらをチェック!自社ECの売上が伸び悩んでいる企業様も是非!
長井さんが創業されたしるし株式会社はこちら

▼長井さんのことがもっと知りたくなった方はこちらをチェック!
長井さんのnoteはこちら
長井さんのTwitterはこちら

Reapraでは世代を跨ぐ社会課題を解決する企業を生み出すために、起業家の内面成長やのびゆく領域選定、オペレーション強化、学習する組織等の研究実践しています。引き続き皆様に有益な発信をしていきたいと考えていますので、フォロー、コメントやいいねお待ちしております。

Reapraのアプローチを踏まえた起業に興味がある方はご連絡をお待ちしています。
https://jp.reapra.com/

既にある企業・組織に適用できないか話を聞いてみたいという方はReapraとCorporate DirectionsとのジョイントベンチャーであるTorch,incまでご連絡下さい。
https://torch-for-next.co.jp/

文・編集:日比朝子 高野大伽 山本葉月 米山優花
デザイン:米山優花


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?