こだわりを捨てたら事業が進んだ
対談企画としてリープラの投資先の皆さんにお話を伺うシリーズ、「起業家の声」の第一弾として、株式会社WellFlagsの奥山大地さんに、リープラで起業に至るまでの経緯やその中での葛藤、そしてこれからの展望についてお聞きしました。
岡内:今回はお時間をいただきありがとうございます。簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
奥山:株式会社WellFlagsの奥山大地です。現在は中小企業向けに、地方企業や中小企業向け補助金などの資金調達の支援を行っています。
💡なぜリープラを選んだのか
岡内:早速ですが、なぜリープラを選ばれたのか教えていただけますか?
奥山:まず、世代をまたぐ社会課題に向き合いながら社会と共創していくという壮大なテーマに魅力を感じたからです。元々、自分自身が何者かになりたいという思いもあり、起業してみたいと考えていました。その時にワンプロダクトで自分の世代だけをパッと駆け抜け、うまくいったら成果になるというのに虚しさを感じるなと、ふわっと思っていました。
岡内:それはいつ頃から感じていたのですか?
奥山:起業前提で転職を考えていた時ですね。その時にリープラがやっていることが面白そうだと思いました。特に、自己変容や没頭といったテーマに共感しました。もともとなんでも器用にこなせるようなタイプでもなく、自信家という感じでもなかったのですが、ある時、私自身が没頭できるテーマに巡り会った時があり、その際には成果につながった経験がありました。
自身の内側を見つめるだけじゃなく、環境を意識的に変えて、そこから影響を受けることで自分自分を変えることができ、結果的にポジティブに成長できたという経験があったため、リープラの話を聞いた時に、その環境を意識的に作り出そうとしていると感じました。その長い時間軸の取り組みや自己変容、没頭といったテーマが自分に合っていると感じ、リープラを選びました。
💡何を目指しているのか。現在、何に取り組んでいるのか?
岡内:ありがとうございます。次に、今何を目指していて何をやっているのか教えていただけますか?
奥山:まず、自分のライフテーマについてお話ししますと、私は「変容しながら負の解消をしていくこと」を掲げています。もともと私は、平凡で何者でもない自分に対し、コンプレックスを感じることが多かったのですが、「人生を通じて何かやりたい」という漠然としたエネルギーを持っていて、それをぶつける先が見つかった時に、没頭し変容を感じることができました。そのエネルギーを使って、多くの人にとっての負を解消していきたいと考えています。
岡内:奥山さん自身が没頭することで人の負を解消したいということですか?
奥山:そうですね、没頭だったり変容っていう手段を使って人の負を解消することや、何らかの負を抱えてる人も没頭とか変容をうまく取り入れることができるようになると、その人自身の負も解消できるようになるんじゃないかと思っています。それを、いろんな切り口に目を向けながら取り組んでいきたいと思っています。
岡内:ありがとうございます。このライフテーマを踏まえて会社としてどのようなことに取り組んでいるか教えていただけますか?
奥山:補助金や融資など、公的制度も活用しながらの中小企業の資金調達支援をやっています。人口が減少していく中で、大企業よりも人、物、金のリソースが不足している地方企業や中小企業を支援しています。国の制度をうまく使いながら、環境に適応して成長していく企業をサポートしたいと思っています。これは、元々別の事業がうまくいかなかったため、自分のできることを模索して参入しました。会社を安定させるためにも、「自分がやりたいこと」よりも「自分ができること」を優先しての事業ピボットではあったのですが、結果的に自分のテーマと一致しており、ポジティブに事業に向き合えています。
岡内:今の事業とライフテーマにどのようにつながりを感じていますか?
奥山:今の事業において、負の解消が主なテーマとなっています。中小企業が変わりたくてもリソース不足でできないことが多いため、補助金などの資金調達の支援など、「カネ」のリソース不足支援から事業を始めています。これにより、中小企業の変容をサポートし、成果を上げていきたいと考えています。
岡内:起業して丸四年立つと思うのですが、これまでの学びはどのようなものですか?
奥山:いろいろ大変なこともありましたが、なんとかやってこれました。元々は自分がやりたいプロダクトで事業を始めましたが、うまくいかず、自分ができることや社会が求めているものにフォーカスを置き直して取り組んだ結果、収益が出るようになりました。社会と共創しながら自己を変容させ、環境に適応することの大事さを学びました。
岡内:事業自体を変えた背景には、どのような要因があったのでしょうか。
奥山:こだわりを捨てられたというのが大きな変化でした。
最初に選んだ事業においては、社会のニーズに合わせるよりも自分の気持ちが先行し、根拠のない見立てを優先させてしまい、収益を出すことができませんでした。その経験から、自分自身の一方的な気持ちよりも、社会のニーズに合わせることが重要だと気がつき、結果として収益が出るようになりました。
岡内:こだわりを捨てることで社会との繋がりをより感じたというのは非常に面白いですね。当初はすでに社会のニーズが顕在化している領域で起業するのはあまり魅力的に感じていないと仰っていましたが、その変化にはどのような背景があるのですか。
奥山:そうですね、補助金の支援はニーズが顕在し、プレイヤーも多くいる事業領域だし、最初は正直なところ、あまり魅力的に感じられませんでした。せっかく起業したのだから、オリジナリティを出して自分の色で社会に価値を提供したいと思っていたからです。多くの起業家が抱く思いだと思いますが、私もその例に漏れずそう考えていました。そのために、周りも同じことをやっていて、陳腐に見える部分にはあまり魅力を感じませんでした。
しかし、最初の失敗を経て一定のニーズがあって市場が成り立っているところは、人々に求められている部分だとも感じるようになりました。そこで収益を上げていくことで余裕が生まれました。またその余裕から、現在の領域の周辺にも視野が広がり、それらを既存事業と徐々に繋げていけるのではないかという思うようになり、少しずつ認識が変わり始めたのです。
岡内:自分自身の変容というのはどのようなことが起きたのでしょうか。
奥山:変なこだわりは持つべきではないと強く思うようになりました。それは事業選択の面でもそうですし、日々の仕事の中でも感じています。元々、メンバーに頼るのが苦手で、リーダーとして自分がチームをリードしていかないと、という思いが強い人間でした。自分が引っ張っていかなければ、自分が決めなければという思いが強く、起業初期は一人で戦略などを考えて、チームメンバーには実行のサポートしてもらう、というやり方をすることが多かったです。しかし、自分が考えもしなかったアイディアをメンバーが出してくれて、それが大きな成果に繋がったり、自分が自信を持っていたアイディアが成果に繋がらなかったりしたときに、自分の選択や意思決定が思ったより当てにならず、チームとして多くの視点を入れることの重要性に気づくようになりました。
もちろん会社の代表として引っ張っていかなければなりませんが、みんなで一緒に試行錯誤し、実践することに目を向けるようになり、それが成果につながっていきました。これが大きな変化でしたね。
💡これまでの学びや成長は何か?
岡内:今後、自分自身がどうなっていきたいか、またそれに向けて乗り越えていきたいことはありますか?
奥山:先ほどの話に通じるのですが、自分の価値観に縛られずにいろいろなものを取り込んでいきたいと思っています。元々、己の価値観で物事を引っ張っていきたいという思いから「何者かになりたい」という気持ちが強かったのですが、それではあまり良い結果を得られなかったと感じています。良い意味でこだわりを捨てながら、多様なものを取り入れていきたいと強く思います。
岡内:非常に興味深いお話をありがとうございました。
編集後記
今回、奥山さんのお話で一番印象的だったのは「こだわりを捨てる」という言葉でした。新規で事業を始めたり、リーダーとして周りを引っ張る立場になると、自分の得意なことや「こうすべきだ」という視点に固執しがちです。そのため、マインドセットもそういった方向に偏りがちになってしまいます。こだわりを捨てるというのは、オープンなマインドで学び続けることでもあるのではないかと私は考えています。
リープラでは、社員、投資先、インターン生が共同学習チームを組み、オープンに学び合う環境を大切にしています。
興味のある方は、3分で終わるので、ぜひこちらのフォームまでご連絡ください。
文責
杉本奈穂
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