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そこにあるだけで

元恋人の部屋の鍵を、私は今日返しにいくつもりだ。

もらった時は嬉しかったけれど、結局使うこともなかったな。
その時のエピソードも書くつもりだったのに、全部おじゃんになりました。
別れた今は、もうとても、彼との楽しかった日々について書けそうにありません。

以前想定していた内容とは180度違う。
まぁ、きっとそれも人生なのでしょう。

どこか悟った私。
考えていたタイトルだけは、そのままに。


今日はもう寝れそうにないので、睡眠を半分諦めて書いていく。

私にとっての合鍵は。
いつでも彼の部屋に行くことを許されている。
そんな証明で、お守りみたいなものだった。
そこにあるだけで、安心させてくれた。

合鍵は、このまま付き合ってていいんだってことを確かめさせてくれるもの、だったのだ。

そんな鍵は、ポストに入れておいてほしいと頼まれた。
正直その辺に投げ捨ててしまいたいし、返しに行くのが嫌でしょうがない。
彼の家までも、もう行きたくないのだ。

元恋人は、現在仕事を辞めて求職中だ。
平日の昼間でも家にいるかもしれないので、会わないであろう時間を見計らって行きたくても難しい。

それなら今日会った時に直接別れ話をしてくれればよかったのに。

帰ったあとにLINEなんかで言ってきたことに、また腹立たしさがよみがえってくる。
そういうところが合わなかった。
だからむしろ、今のうちに別れておいてよかったんだと思う。
どう頑張っても合わない価値観は、いずれ修復不可能な深い溝になる。

日曜日、別れたわけだけども。
鍵がある限り彼のことがチラつくので、月曜日、翌日のうちにさっさとポストに入れて終わらせてこようと思う。
中に彼がいても関係ない。チャイムも押さず、何も言わず、すぐに帰ってしまおう。
彼は私にそれくらいされても、文句も言えないくらいのことをしているのだから。

私の部屋の鍵と、自転車の鍵、車の鍵。
それらと一緒にくっついていた彼の部屋の鍵は、もう今日でいなくなる。
それなりの間行動をともにしていた他の鍵たちは、どう思っているんだろう。

私は不思議と、あまり寂しいとは感じていない。
お別れ直後のハイなのかもしれない。
鍵を返したら、LINEだってブロックしてもいいと思っている。今のところは。

やり直せたら、とか。
連絡がくるかも、とか。
そういう次元じゃないな。
今の彼とは話す用もないし、こちらからも、何も送る気はない。
実際、もう既にLINEを除いて彼と繋がっていたアプリは全部ブロックするか消すかした。

1週間くらいして多少気持ちの整理がついてから、ブロックしよう。
それで本当におしまい。
私と彼との関係は、連絡先を消せば終わる程度のそういった軽いものだったのだ。

しょうもない人だったけれど、一度でも彼を選んだ自分に後悔はしたくない。
楽しい思い出だったと、ちゃんと過去にすることにしよう。

そこにあるだけで、安心していたものが。
そこにあるだけで、私を苦しめるようになった。

それだけのことだ。

これからも続く私の長い人生において、ささいな出来事。

ほんの一瞬、風が吹いただけのこと。


その後の話も書きました。よければ。

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