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あなたを知るということ

あなたのことをもっと知りたいと、付き合いたての時期に言った覚えがある。
いろいろ教えてほしいし、私のことも知ってほしい。
気になることあったら聞いて。沢山話そう。
単純に、好きだから。

だれかを知りたいと思うことは、平たく言えばその人への好意だ。
私は彼のことを知りたかった。
ひと目会ったときから、この人と付き合うような予感がしていた。

ただ恋をすること自体が久しぶりで、感覚が鈍っていたのかもしれない。
あれからそこそこの期間一緒にいるけれど、
今もまだ、彼氏について知らないことだらけだ。

出会う前の過去のこと、好きなもの。そういうことは、聞けばわかる。
それ以外のもっと深い部分で、私はまだ彼の心を知らないんだと思う。

人には合う合わないがある。
みんなそれぞれ別の考え方だとか感性だとかがあるから、必ずどこかで分かり合えなくてすれ違ってしまう。
それこそすべてが自分としっくりくる人なんて稀なものだ。

彼といると落ち着くし、ずっと昔から知っていたような気さえする。私らしくいられる。
それでも生きてきた環境や時間が違うから、彼と意見が食い違い、不安に思うときがある。

先日あることで、彼がわからないと思った。
どうにか理解してみようとしたけれど、根本的な考え方が違う。
正直頭の中がはてなでいっぱいになって、そっか、そう思うんだ、みたいな無難な返事しかできなかった。

その時の彼の様子を考えると、私の考えを言っても頑なになって聞いてもらえなそうだったから、伝えることを諦めてしまった。
今は私からはその話題には触れずに様子を見ている。ただ、その点には私も譲れないところがあるので、本当にそれでいいのかもう一度よく考え直してほしいと思う。
そして、それは本心なの?とも。

言いたいことを言わずに口を閉ざすのは、私の悪い癖だ。少し勇気を出せば変わるかもしれないのに、小心者な自分が邪魔をする。
言い訳なく、ありのままの自分で人と向き合うのは怖いことだ。
相手が知る私の姿と、本当の私の気持ちは違う。
もっと素直になりたい。

あんなに知りたいと思っていたのに、あなたを知るということは、“分かり合えないことに気付く”ことなのかもしれない。

それも受け入れるのか、私の思いを伝えて納得してもらうのか、諦めてしまうか。
この先一緒にやっていけるかどうか、私自身の態度や行動にかかっている。
同じくらい、あなたにも。

お互いに、相手を知ろうとする努力はある程度必要だ。自分の思いを伝えようとする努力も。

好きな気持ちがありさえすれば大丈夫なんてもう思っていない、どこか冷静な自分に正直ぞっとする。

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