「入門 開発経済学」山形辰史 ②

【心に留めておくこと】
◉国際開発から離れていくSDGs
   …….日本の経済社会がどれだけ持続可能になったかを報告するのがSDGsの達成状況の主旨とされ、日本が開発途上国の持続可能な開発のためにどれだけ貢献したかは、多くの達成指標の中の一部に過ぎないのである。………..先進国の開発途上国支援への義務付けが、実態上弱まっていると言わざるを得ない。………….

◉SDGsの内向き志向の背景
 :3つの理由
  ①世界の多くの国において貧困削減が進んだこと
  ②地球温暖化などの環境問題の重要性がより大きく意識された結果、
   貧困や社会開発の課題の重要性への認識が、相対的に低まった。
  ③世界の環境問題解決と世界の貧困問題解決がSDGsによって混同され         がちで、人々は世界の貧困問題解決についても(温暖化問題などと同様に)「先進国の経済社会変革を進めることが、開発途上国の利益につながる」と信じがちということ(=トリクル・ダウン仮説が無意識に信奉されている)

◉日本の開発協力大綱(2015年)
 point4つ
 ①開発協力理念の明確化(非軍事的協力による国際平和への貢献)
 ②新しい時代の開発協力(質の高い成長を通じた貧困削減、環境課題などの脆弱性を抱える中・高所得国への支援など)
 ③触媒としての開発協力(日本政府以外の主体、例-民間企業、地方自治体、NGOとの連携)
 ④多様な主体の開発への参画(女性の参加促進、社会的弱者等の開発への参画)
 →→→これらのポイントが指し示しているのは、これまでのODAの概念を拡張し、新たな開発協力という概念を創り出しているということ。
 →→→新たな定義を通じて日本が指向しているのは、援助を通じた国益の追求である。

◉私たちが国際協力する理由
 【ヒュームによる「高所得国が低所得国を支援する理由」】
 1、同じ人間としての共感
 2、道義的責任
 3、共通利益
 4、自己利益

……….国際協力の世界に入った人々には、今現在どの組織に属していようと最初の志を忘れないでほしい。理想主義を、自分自身の志を周囲に伝えてほしい。
◉おわりに
 20世紀半ばの第二次大戦以降、開発途上国の人々や国際社会は、、、、、その時々の高い理想を目指して社会改善や制度設計、政策形成を行ってきた。それらの理想こそがすべての原動力であった。
 ……..現代社会にも、理不尽な悲惨さは残っている。2030年にSDGsが期限を迎えた後の国際開発や国際協力は、まずこれらの「理不尽な悲惨さ」の解決を第一義とするものでありたい。。。。。

〈読書メモはここまで〉

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〈ここからは おまけ〉GPT4 に質問。

★Q  
2023年 新「開発協力大綱」への批判的意見を知りたい。批判的意見をもつ立場の方はだれか、どのように批判しているのか?

→A
2023年に改定された「開発協力大綱」への批判的意見について、以下のような情報があります。

  • 一般社団法人日本国際ボランティアセンター(JVC)は、市民社会の立場から、新大綱が「自国第一主義」や「軍事援助」に傾斜していると批判しています。JVCは、多主体間の連帯に基づき、複合的危機を克服する新たな国際協力のあり方を提言しています。

  • 立命館アジア太平洋大学の山形辰史教授は、新大綱が「オファー型協力」を導入したことに問題があると指摘しています。山形教授は、オファー型協力は、援助受け入れ国のニーズや主導権を尊重しない、日本の利益追求のための援助であると批判しています。

  • 参議院常任委員会調査室・特別調査室は、新大綱の改定に関する資料を作成しています。この資料には、新大綱の概要や背景、国際的な動向、国内外の反応などがまとめられています。

  • 読売新聞は、新大綱の改定について社説を掲載しています。読売新聞は、新大綱が途上国との良好な関係を生かすことが重要だと述べていますが、現地のニーズを把握することが先決だとも指摘しています。

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 今回の記事は以上😁

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