見出し画像

ゆる言語学ラジオとKERと、ちょっとだけ編集業の話

ここ1週間ほど、ゆる言語学ラジオにハマっています。


そもそもは、私、Kevin's English Room(以下KER)が大好きでして…。
ご存知でしょうか、チャンネル登録者数200万人超えの英語系YouTuber。
英語や、アメリカ文化と日本文化の比較などをネタに、アメリカ育ち帰国子女のケビンと、英語話せるフランス留学経験者やまちゃん、自称普通の日本人かけちゃんがくりひろげる悲喜こもごも。
ちょうど1年ほど前に、たまたまこちらの動画がおすすめに出てきたのをきっかけにどハマリし…(思えばあの頃は海外出張前に付け焼き刃で英語を勉強していたのだった)

もうね、毎日見てます。
多分遡って全ての動画を見たし、なんならそのうち半数以上は2周してます。
先日も生配信にお便り送ったら読んでもらえて大興奮したところ。

切り口の面白さ、3人のキャラクターのバランスの良さ、ただただ仲良さそうで癒やされる、等々いろんな面で好きなんですが、
やっぱり一番は「賢い人たちが面白おかしく知的な会話をしていて、それが知的好奇心を刺激してくる。しかも空気感がめちゃ平和」ということに、YouTuberやYouTubeというジャンルに持っていた偏見をぶっ壊されたので、それで沼ってしまってるんだと思います。

まあエンタメですし、1、2本見ただけでは知的な……会話??となるかもですが、おすすめ動画を貼っておきます。


語りすぎました。

話をもとに戻そうとすると……
このKERのチャンネルでは、かけちゃんの「英語への文句」などと称して、英語や日本語という言語の、深淵に触れるようなテーマが度々あるんですね。
例えば、「関係代名詞使うときってどういう思考回路なん?」とか、「現在完了形ってなんなのか結局わかってない」、「複数人に向けてYouとは言わない!」(マジで!?)とか。
そういう系統の動画のコメント欄を見ると、「ゆる言語ラジオさんとコラボしてほしい〜」的なコメントがついていることが結構あり、なので「ゆる言語学ラジオ」の存在自体は知っていました。

それに加えて最近これらの本を読みまして…

これだけでも1エントリー書けるくらい刺激的だったのですが、いやあ言語学って面白いなという気持ちがむくむくしており、そこにさらに「『言語の本質』が面白いならゆる言語学ラジオを聞いたほうがいい」と言い始める人が現れたため、
「ずっと興味はあったのだ!聞くか!!」
と軽い気持ちでPodcastを聴き始めたのです。
……そしたら案の定、面白くてやめられなくなってしまいました。
(ここでようやく冒頭に戻る)


ここまでならね、コンテンツとして本ではないですし、このnoteで紹介しようとは思わなかったのですが、数日前に聞いた「象は鼻が長い」問題と「主語を抹殺する」回が面白すぎてですね……だいぶ電車で聴きながら表情豊かになってたと思います。
そしてこのテーマなら編集業にも若干絡められるなと思ったので書き始めました。が、もう随分長くなってしまったので編集業の話まではしないかもしれません。本末転倒。

そもそも「ゆる言語学ラジオ」というのは、学部で言語学を学んでいた(なので本業の学者というわけではない)水野さんと、その友人の言語学特に知らない堀元さんの対談形式のラジオ番組。You Tubeと各種podcastで配信されています。
言語学に関する面白い話を、楽しくゆるく語る番組……と言いたいところなんですが、今のところの印象としては大してゆるくはない(笑)
かなりまっとうに言語学の基礎から話す、みたいなところがあり(もちろんそれが知的好奇心を刺激してくるので面白いのですが)、ソシュールの回なんて、片手間に聞いていたらわけがわからなくなって、何度も戻って聞き直しました。

で、今回注目したいのは、「象は鼻が長い」問題と「主語を抹殺する」回の話。

「象は鼻が長い」の主語は何か?というのは、言語学では定番の問題らしく(そう言われたら確かに分からない)、それに対するいろいろな学説を紹介してくれます。
詳細はぜひ番組を聞いていただけたらと思うのですが、最後に行き着くのが、三上章の提唱したという三上文法。
まだそれが100%正しいという結論が出ているのではない、仮説のひとつではあるらしいのですが、それによると「そもそも日本語には主語がない」というんです。

!!!!!?????

主語・述語という西洋の学問で生まれた概念をそのまま当てはめようとするからそういう議論になってしまっているのであって、日本語には、そもそもそんなものはないのだと。
あるのは「主題」だけで、それを示すのが助詞の「は」である、という説明なんですね。

これ、かなり腑に落ちまして……。
(私の説明だけでは腑に落ちないと思うので、本当にぜひラジオ聞いてください)

日本語が主語を省略しすぎだというのは、先述のKERの動画でも結構話題になる話で、もちろん私も日本語を使いながらも「まあ無茶苦茶だよね」とは思っているわけですが、省略するも何も、そもそも主語がない

衝撃。
でも納得です。

この話を電車の中で聴きながら大興奮してたわけなんですが、そこではたと気が付きました。

こんな基本的なことも分からないまま、編集者やってるのヤバいなと。

もちろんね、あくまで仮説なんで、絶対それに則ってどうこうせよって話じゃないんですけど。
でも編集者として原稿に鉛筆を入れたり、本に載るなんらかのテキストを書いたりするときって、かなりフィーリングでやってる部分が多いわけです。
このnoteを書いてる今だってそうです。

なんとなく気持ち悪い。
(理由は説明できないけど)こうは言わない。
この方が自然な気がする。
そんなのばっかりです。

もちろん文法規則的にどうこうというのも気にはしますが、
主語と述語が合ってない。
「てにをは」がおかしい。
ーーなんて言いつつも、その基礎となっている文法のことを決して100%は理解していない。
それは私自身もそうだし、なんなら言語学者だってそうらしい……。日本語の文法について、日本語で論文書いたりするんですからね。よく考えると不思議な話ですよね。

ルールもよく分からないのに扱えてしまう「言語」というものの奥深さに慄きつつ、
もしかすると言語学をかじってみると、編集業にも何かいい影響があるかもしれない……という気がしてきたので、私は明日もゆる言語学ラジオを聞きます。
(I)

この記事が参加している募集

編集の仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?