これから求められる専門性とは

昨日、内部の管理職ミーティングで、スタッフに求められる専門性について議論になった。

このテーマは以前から随分話になっていて、ジェネラリスト志向がいいのか、いわゆるT型人材(一つの専門領域を深めた上で横に広げていく)がいいのか、最近でいうとH型人材(二つ以上の専門領域を深めた上で、それらをつないでいける人材)がいいのか、といったことが話題に上っていた。

私の働いている組織は、社会課題に取り組む団体やプロジェクトに対する資金的な支援を行う、いわゆる助成財団と呼ばれる組織である。

取り扱っている事業範囲は、子供の貧困や災害支援、海洋汚染対策や安全保障、障害者や高齢者等に関わる福祉施策から最近ではコロナ対策まで、実に多岐にわたっており、社会課題解決における総合商社のような組織にも見える。

スタッフは通常3~5年くらいのスパンで異動があり、様々な分野の事業を担当することになる。

その中でも、プロポーザルのあった事業を単に審査するといった業務だけでなく、自ら社会トレンドを発掘し、新規に事業開発するといったことが近年求められており、スタッフはある分野について専門家と対等に渡り合えるくらいの知見を、短期間に身に着けることが求められている。

このように書くと、すごく高度な仕事をしているように見えるが、内実、このような業務をあるレベルでこなせるスタッフは限られており、その育成が課題となっている。

私の働く組織に関していうと、専門性については、大きく分けて次の二つの考え方に整理ができると思う。

1.イシューに関する専門性
2.手法に関する専門性

1は、例えば医療や児童福祉、災害など、あるイシューに関して、自分なりの見解を持って語れるような能力。これまでに発表されている調査や研究内容、国の施策等を押さえつつ、課題解決の現場で働かれている方の声も踏まえた上で、まだ社会的に手のつけられていない領域を見つけ、事業構築していく力が求められる。

2は、事業構築のために関係者を巻き込んでいくファシリテーション能力や、社会的に適切かつ効果的に発信していくためのプロデュース能力、そして、複数の異なる情報の中から関連性を見出し、価値や意味づけを行っていくキュレーション能力といったことが上げられる。

私自身はどちらかというと、ある特定のイシューに関する関心よりも、2の手法的な専門性についての関心が高い。

イシューは社会、時代状況によってどんどん変化するので、それをどういう目でとらえ、料理をしていくのか、こうした力は時代が変わっても陳腐化しにくいのではないか。

ただ、自分自身がその能力を十分に持ち合わせているかというと、はなはだ心もとない。

組織内でもこのあたりの言語化はまだ十分に行われていないので、実務経験を増やしつつ、何等か組織内にも還元していけたらと思う。

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