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オープンスペースで開催された古本市


私の住んでいる鳥取市では、例年、鳥取県立図書館の前のオープンスペースを使った古本市が開かれている。例年は県内外から多くの小さな、こだわりを持った本屋さんが出店されているそうだが、今年はコロナの影響で県内の書店だけの出店に限られていた。それでもそれぞれ個性的な本がそこかしこに並んでいて、そこにいるだけでワクワクしてしまった。

中には、通常は店舗を持たず、その日限りの本屋さんという形で出店されている方もいて、ネット時代にあって、その場に行かなくては見つけられない発見と喜びがあるということを改めて感じた。

また、各店舗の店主さんとの会話も楽しい。最初はみんな本を読んでいたりして、「ほんとに売る気があるんだろうか。。。」と心配になったりしたが、話しかけてみると、すごくいい人達で、それぞれに自分達がお薦めする本やそれにまつわるエピソードなどを披露してくれる。

私のお気に入りは、本を紙でラッピングして、中身が分からない状態にした上で、その本に書かれているワンフレーズを抜き出して紙に貼って売っていたお店だ。作家名はイニシャルだけしか表示されておらず、文庫本サイズで1冊一律500円で売られていた。(下の写真を参照)

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私が手にしたのは、

「言葉の持つ力。傷つけるためではなく、だれかを守り、だれかに伝え、だれかとつながりあうための力に自覚的になってから、自分の心を探り、周囲のひとの気持ちや考えを注意深く汲み取ろうとするようになった。」   作家・M

という本だった。とても素敵な言葉だなぁ~と思って、店主さんに話してみたところ、「よかったら作家名を教えることもできますよ。もしかしたらご自分がお持ちの本とダブっているかもしれませんから。」と言われて、「あ、そうか、確かにそういうこともあるかも。」と思い、「う~んどうしようかなぁ。」と一瞬悩んだ。「Mという作家は結構いますからねぇ」と言われ、益々揺らいだが、ここで中身が分かってしまっては面白くない、と思い、思い切って買ってしまった。

中身を楽しみに家路につき、誰かからのプレゼントを開けるようなドキドキした気持ちで封をやぶると・・・。はたして中から出てきたのは、「舟を編む」(三浦しおん著)だった。そう、この本は既に私が読んだ本で、今も本棚の中に収まっている。

残念といえば残念と思いつつ、自分に響く言葉は、時間が経っても変わらないんだなぁと思った。そして何より「舟を編む」はやっぱり名著だったんだんぁと改めて思った次第。

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