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女性教員に求められること

最近では、大学教員の公募に「女性限定」とか「女性積極採用」という文言を見かけるようになりました。
実際の現場ではどうなんでしょうか。

日本の「男女平等度」は低い

日本は、男女平等に関しては、先進国の中ではかなりランキングが低く(世界経済フォーラム調査によると日本は156か国中120位(2021年版)、特に政治家や企業幹部に女性が少ないことが理由として挙げられています。大学などの就学率についても、110位なので男女差があるということなのでしょう。
研究者について見てみると、女性の研究者は全体の15%に満たず、男女共同参画白書(内閣府、28年版)によれば比較対象とした29か国中最下位だとか。ちなみに、1位のポルトガルは女性が45.4%だそう。実に日本の3倍以上の割合です。
そして、同じ記事を読んでいて驚いたのが、一人が執筆する論文数では日本だけが女性のほうが多いそうです。つまり、日本では数少ない女性研究者がせっせと論文を書いているということ。
私は女性研究者応援、と思いながら論文を書いているわけではありませんが、大学で女性教員が増えて働きやすくなったらいいとは思います。もっと妊娠、出産、育児に対して理解やサポートがあったら、不安もなくいまよりずっと気持ちよく働けるのに、と思うことはよくあります。

大学で女性教員が駆り出されるケース

では、大学における男性教員と女性教員の違いはどんなものがあるのでしょうか。
産休や育休に関してはここでは省略しますが、今まで私が感じた女性教員ならではの業務や違いについて書いてみようと思います。

女性教員が多く駆り出される業務というのは確かにあると思います。
まずは試験業務。
自分の大学の入試はもちろんですが、大学共通テストをはじめ、さまざまな試験の会場として使われる場合があります。
試験中、必ずトイレに立つ受験者がいるものです。そうすると、男性の受験者には男性教職員、女性の受験者には女性教職員がついていくわけです。
上で触れたように、全体における女性教員の割合は男性よりも少ない場合がほとんどなので、当然女性教員が業務にあたる頻度は高くなります。
試験は手当てが出されたりして少し嬉しいですが、試験はたいてい土日に行われるので、そのたびに子供たちを園にお願いしなければならなくて胸が痛みます。
試験のほかにも、課外活動やら何やら全体的なイベントの際には、女子学生への対応として女性教員は一定数確保されます。
平日ならいいですが、土日はできるだけ避けたいというのが本音です。

大学には委員会などの活動がありますが、対外業務などで特に受付的なところに駆り出されることもあります。
もちろん、大っぴらに言われるわけではありませんが、若めの女性教員が当てられることが多いようです。
若めと言っても、大学教員は40代でもまだぺーぺーなので、一般的な感覚とは違うと思いますが…。ですが、ちょっとした業務をおじさま教員にはお願いしにくい、というのはあるような気がします。

オンライン授業が始まり、ほとんどの先生方は授業資料をオンラインでやりとりしていると思いますが、どうしても郵送しなければならないというケースがありました。
その時、女子学生に住所を聞いて資料を送るのに、女性教員である私を経由してほしいと男性の先生から依頼されたことがあります。
男性教員が女子学生の住所を聞くことでトラブルになると困るし、学生も女性の先生のほうが安心だろうから、とのことでした。
これまでそういったことは考えたことがなかったので、男性は男性で色々と気を遣うことがあるのだと新しい発見でした。

もっとママ教員が働きやすくなりますように

就職活動をするときには、女性積極採用を謳っていると希望も抱くのですが、実際に着任したらどうなのかは心配です。
私は大学教員になってから妊娠・出産を経験しましたが、正直、しんどいと思うことも多くありました。
大学教員は、基本的に代替教員を簡単に見つけられないので、休暇を取るにはそのあたりの手配もしなければならないことがあります。
私の知人は、自分の育休時の代替教員を自分で見つけなければなりませんでした。
これが任期なしのポストだったらそんなに不安になることはないかもしれませんが、今は任期なしの求人のほうが少ないという現状があります。
来年再来年のことが不確定な中で、例えば一年も育休をとったら他の人に代わられてしまうんじゃないかとやっぱり思うわけです。
妊娠時、産婦人科の先生に産休がギリギリにならないと取れないと相談したら、「なにもそれを教えられるのはあなただけってことないでしょ?」と言われました。
確かに全国、いや、隣県だけでも、きっと私の担当授業を教えられる人はたくさんいると思いますが、それを大学が見つけるとしたら私の存在意義はたちまち薄れるでしょう。
かといって、代わりの人材をピンポイントで探せるほどには周りに該当者はいないし、「ちょっと3か月くらい代わってくんない?」と言えるような仕事でもありません。
その時は何も言い返せませんでした。今でも同じことを言われたら反論できないので、もう一人子供が欲しいなあと思うけれど、考え込んでしまうのです。

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