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くじ引きが日本を救う。

昔から、くじ引きが好きだ。
でもそれは僕だけじゃないはず。

初詣のおみくじに一喜一憂したり
当たらない宝くじにドキドキしてみたり
駄菓子くじを楽しんだり……

みんなそれぞれに、何かしら、くじ引きに対するポジティブな思い出があるだろう。

ちなみに僕はボードゲームやカードゲームなどのアナログゲームが好きだ。
知らず増えていくボードゲームの箱を前に、さすがに最近は買い控えているけれど、「今年のドイツゲーム大賞受賞はこれだよ」などと聞けば、ついつい買ってしまったりする。

そんな僕がもっとも愛してやまないアナログゲームが、百人一首。

けれど、僕にとって百人一首はトランプみたいなもの。
ポーカーなのか、大富豪なのか、ババ抜きなのか、トランプを使ってどんな遊びをするかによって、その性質は大きくかわる。

え? でも、百人一首と言ったらあれでしょ?
ちはやふる的なカルタのやつじゃなくて?
それ以外に遊び方ある?

そう疑問に思われるかもしれない。

漫画はKindle派の僕が、『ちはやふる』だけは全巻、紙の本を持っているくらい、百人一首の競技カルタは確かに魅力的。だけど僕が使うのは絵札(読札)のみだ。

ここで察しがつくのではないだろうか?
そう、僕が最も好きなアナログゲームは、「坊主めくり」だ。

錚々たるディレクションであるはずのかつての有名歌人たちを、
「殿」「姫」「坊主」という見た目だけでカテゴライズする横暴さは、良く考えたら相当面白いし、なんというか編集者としての背徳感をくすぐる。
しかしそれより何より、駆け引きなしの完全なる運ゲーという、ルールのシンプルさが僕は大好きだ。

「坊主めくり」を知らない人はぜひ、以下の動画の11:00くらいからルール説明をしているので見てみてほしい。

しかし僕は何もここで「坊主めくり」に対する偏愛を語りたいわけではない。本題はここからだ。

冒頭に戻る。

僕は昔からくじ引きがとても好きだ。
そこにある、自分ではコントロールしようがない、どうしようもなさ。
まさに「人事を尽くして天命を待つ」という態度が僕は好き。

しかしいま世の中を見渡せば、誰かが誰かをコントロールしようとしてばかりじゃないか。どうやってコントロールする側にまわるか? といったハウツーばかりが溢れている。そして、そのコントロール欲は、自然・地球環境にも及んでいる。

僕は、グリーンニューディール政策にいまいち納得がいかないのだけど、それは、己の都合で「気候変動」してきたものを、一見、真摯に反省しているフリをして結局はまた「経済政策」の一環としてそれをまた人間の手で管理コントロールしようとしているからだ。

テクノロジーの進化が、なんでもかんでも事態を乗り越えていくと思うのはやめた方がいい。新型コロナウイルスもそうだ。ワクチンをもってコロナに打ち勝つとか、そんな言葉が出てくること自体、奢りでしかない。

そこで僕は、そんな政治の世界にも「くじ引き」の要素を入れた方がいいんじゃないか? と思っている。

✳︎

正義は、それぞれが信じるものであって、たった一つの正解ではない。そんなものは幻想で、自分や誰かが主張する正義は、あくまで一つの意見でしかない。そういった前提に立っていないから、互いを尊重した対話が生まれなくなっている。

良いと思うものには必ずわるいところもある
それはもう、必ずだ。

いまの日本の政治のように、富裕層が小さきものの声を拾おうとせず、それどころか常にコントロール下に置かんとするばかりでは、あたらしい時代の政治家は一向に生まれてこれないか、生まれたとしても時間がかかりすぎる。

北欧のように女性が真の意味で政治分野でも活躍し、若い首相が誕生することなど、いまの日本では実に想像がむずかしい。

ならば、くじ引き選挙制を取り入れてみてもいいんじゃないか? 多くの政党が、じぶんなりの主張をし、その後、くじ引き選挙で決まった人たちが、議論を進めていく。こんな妄想をしていたら、なんとまあフランスに存在した!

いま話題の「人新生の資本論」に書かれていたのだけれど、

フランスの市民会議でそれが行われているそうだ。

くじ引きと言っても、ただただランダムではなく、ある程度の「人事を尽くす」部分があって、年齢、性別、学歴、居住地などが国民の構成に近くなるように調整された上で、くじ引き選挙が行われる。その結果、飛行場の新設禁止。国内線の廃止。自動車の広告禁止。環境対策用の富裕税の導入などが提出されたという。

いまの仕組みのなかでは到底無理だと思うようなことが
実際に法案として提出されているのだ。すごい!

✳︎

そもそも「コントロール」しようとするのは、資本主義的な経営側の都合だ。なにもかもを分業化し、物事のはじまりと終わりを一貫して体感させないのは、まっすぐ労働意欲の搾取だし、まさに資本の都合。

30年近く前、まだ学生だった頃、僕は東急ハンズが大好きだった。それが社会人になった頃からだろうか、急に東急ハンズに行くことが楽しくなくなってしまった。そのことを不思議に思った僕は、ある時、某経済誌の編集者さんに聞いてみたことがある。するとその人はこう言った。

それはPOSのせい

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藤本智士(Re:S)

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編集者。1974年兵庫県在住。『Re:S』『のんびり』『なんも大学』編集長。著書に『風と土の秋田』リトルモア、『魔法をかける編集』インプレス。『アルバムのチカラ』(共著:浅田政志)赤々舎。その他、『ニッポンの嵐』『るろうにほん 熊本へ』(佐藤健)など、手掛けた書籍多数。