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道東に行かずして 北海道に行ったとは言わせない。「.doto」

 「北海道観光入込客数調査報告書」を見ていると、2018年度の北海道への観光入込客の延べ人数は1億4,588万人。そのうちの半分以上が訪れている道央圏が8,083万人。圏域別では第二位の入込客数の道北圏が2,286万人。そして道南圏が1,320万人。これらを足すと1億1,689万人。そしてその残りが、オホーツク圏十勝圏釧路・根室圏を擁する、巨大な道東。広大な北海道の約4割もの面積を占める。しかしこれらを合わせてもその入込客数は2900万人。

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 つまりは「この夏、北海道行ってきたんだ!」「北海道行ったことあるよ!」とか言ってる人のうち、それが道東を意味する人は2割もいない。

 しかし、しかしだ!

 道東に行かずして北海道に行ったとはもう言わせない。そんな熱烈な思いを感じる、道東のガイドブックが出版された。

 それが「.doto(ドット道東)

 僕自身、道東をもって、北海道とはなんたるか? を知ったように思う。だからぜひこのガイドブックをもって、道東に訪れてみて欲しい。僕は確実にこの一冊が道東への入込客を変化させると思う。


 僕が道東にハマった最初のきっかけは、のちに「.doto」制作メンバーとなる道東の猛者たちが企画した、ローカルメディア界隈影響力強めおじさんたちの集合イベント「道東誘致大作戦」に呼んでもらったことだ。ある日、後輩編集者の徳谷柿次郎から連絡をもらって、つい面白そうだなと乗っかったのが運の尽き。そこから僕は何度も道東に訪れることになった。そこで僕がいかに彼らに巻き込まれまくったかは、以下の過去エントリー↓を見てもらえたら嬉しい。

 関空ー釧路便の就航もあって、まんまと道東入りを繰り返すようになった僕は、いつしか、そこにある「開拓精神」に心惹かれるようになった。

 そしてそれは僕がよそ者として様々な地域で活動をしていることに起因している。少子高齢人口減少化にともない、各地で既存の経済スキームが破綻。慌てるように移住定住を唱える自治体が増えたけれど、そもそも移住定住の概念は、その時間軸をどこまでイメージするかによって、大きく変わることが気になって仕方なかった。

 例えば僕が毎月のように通っている秋田県の知事は、佐竹さんといって、茨城県は常陸国から家康の命で突然飛ばされてきた佐竹氏の殿様の末裔だ。つまり、400年くらいのスパンでみれば、知事だって移住者。

 そう思えば、開拓150年を迎えたばかりの北海道は、すでにそこに居たアイヌの人たち以外は、みんな移住者だと言ってもいい。そこに僕は惹かれる。よそ者である僕は、道東にいるとその概念から自然と距離を取ることができる。それが札幌や富良野や旭川では味わえない。

 今回、「.doto」の誌面に写真提供させてもらった、根室の落石岬に行った時は、人間そのものが移住者じゃないかとすら思った。

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 そんな気持ちになったのは屋久島に行ったとき以来だった。眼前をリアルサファリパークのごとし、鹿や猿たちが横切っていく屋久島で、よそ者なんて概念そのものがバカらしくなったものだ。

 .dotoのメンバーをはじめ、現在の道東を面白くしている若者たちの多くは、移民、開拓者、入植者と呼ばれる人たちの子孫だ。つまり彼らは開拓の衆。ちょっとした関係性の種を、半ば強制的に道東カルチャーに巻き込んでいく彼らの所作を、僕は以前、共生関係人口と名付けたけれど、少しばかり時を経て、あらためてPioneerとして彼らをみたとき、ハッキリと見えてくるのは、彼らが自分たちが撒いたその種をしっかりと育ててきたという事実。そしていま一冊に結実したこの「.doto」が、さらにこの先の未来を耕す重要な肥料になると確信している。

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 大きな誌面でもなおギチギチに詰め込まれた情報は、リモートリモートな三密回避時代へのアンチテーゼ。そんな彼らに取ってリモートは逆風だと、心配する人もいるかもしれない。しかしそれは決してない。彼らが濃厚に接触してくるのは、常にソーシャルディスタンスな日常で生きていることの裏返しだ。だからこそ彼らは、この時代にあってなお、あなたの眼前に濃厚に迫ってくる一冊を作り上げた。

 豊かな実りを想像し、黙々と目の前の土地を耕すように、人間同士の濃密な関係性を耕していく彼らは、農耕民族ならぬ、濃厚民族。コロナ禍にあって奇跡的な一冊が出来上がったことを心から祝福したい。ふつうにめちゃくちゃ良いガイドブックだし。

だからもう

札幌まわり行っただけで
北海道行ったことあるとかいうの、今後なしだかんな。



 ということで、ここからは定期購読のみなさんにむけて、さらに少し、道東のイカれたヤツらによる.dotoの話を。

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