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バスと宿便。

 先日、3年ぶりの熊本に行ったときのこと。2016年4月の熊本地震による被害からの復興という文脈も含め、たった3年のうちに大きく様変わりした街、桜町・花畑町一帯の再開発に驚いた。熊本城ホールという立派な公益ホールと隣接したサクラマチクマモトという巨大な商業施設がオープンし、正直、熊本駅前以上ににぎわい感があった。

オープン3周年かつ、広場ではフードマルシェ開催でめちゃ盛り上がってた。
くまモンを探せ
みつけられた?
そばにいくと意外にデカい!
待ち合わせの男子がくまモンカラーで素敵

 地下1階から地上5階に149テナントが入るサクラマチクマモトは、もともと1969年に熊本県庁跡に建設されたバスターミナル「熊本交通センター」一帯の再開発によってつくられた。運営している会社も、産交さんと呼ばれるバス会社、九州産交ホールディングスで、関西における阪急、阪神グループみたいな感じかなと思う。

 熊本はとにかくバスが強い。

 令和2年のデータでは、JR九州(市内駅)の鉄道乗降者数が1日42,000人。さらに熊本電鉄が4,800人で、ほぼバスな路面電車、熊本市電30,000人を加えれば、熊本市内の鉄道利用者の合計は1日76,800人

 一方バス利用は、九州産交バスが30,300人。さらに電鉄バスが10,700人、熊本バスが7,600人、都市バスが19,900人とバス利用者の合計だけで1日68,500人にものぼるという。

 熊本が日本一のバスシティと言われる所以だ。

 若者が車を持たなくなったとか、お酒を飲まなくなったとか、いつまでたっても昭和平成と比べられ、何かと「落ちた落ちた」と折れ線グラフを見せられがちだけれど、こういった社会的事象でもエネルギー保存の法則はきっとあって、別の何かが増えているのは当たり前だし、その嗜好と思考の変化について考えた方が楽しい。

 タイムズカーシェアもいいけれど、それよりもバス路線の拡充の方がサスティナブルなのは当然だし、公共交通機関の充足はそのまま町の幸福度につながる。リュック一つで新幹線に乗ってやってきた旅人にとっても、ふつうにありがたい。若者たちが車を持たず、社会で乗り物をシェアする思考になっているのはシンプルに良いことに思う。

 最近は、日本全国バスも電車も地下鉄もみんなSuicaひとつで乗降できるから、その安心感は旅人にとって半端ない。そもそも、僕のまわりにいる旅人たちの多くはバス使いの達人だった。路線バスにおそれなく乗れるということは、各バス会社の乗降の作法を知る証。しかしそれもこれもすべては初体験あってこそ。彼らに言わせれば、否が応でも地元ルールに触れる一番の近道だという。乗車時に乗車場所を示すチケットを取らなきゃなのか、それとも均一運賃なのか、小銭の両替はいつできるのか? 支払いタイミングは? などなど……。ただでさえ、この路線であってるだろうか? 目的地と反対にむかったりしないだろうか? と不安でいっぱいななか、乗降の作法まで考えるなんて、それだけで疲弊してしまう。それでつい右手を上げてタクシーに乗っちゃうなんてことも多かったけれど、いまは大抵Suicaで乗車できるから、僕もようやくバス使いできるようになってきた。大木の幹が飛行機や新幹線だとしたら、その枝は鉄道。最近はそこに付いた葉っぱの葉脈をバスで移動するようになった。 

でも、路面電車が一番好きかも。
広島、高知、長﨑、函館、富山など、大好きな街にはみな路面電車が走ってる。

 今回の熊本入りは仕事なのだけれど、熊本はやっぱり夜が楽しみだ。食いしん坊な僕は、もちろんどこに行っても夜ご飯が楽しみなんだけど、それでも熊本の食への期待度は他の街の数倍高い。馬肉料理はもちろんのこと、焼酎も日本酒も、考えるだけでニヤついてしまう。しかしながらちょうど連休初日ということもあって、どのお店もずいぶん賑わっていて入れないところもチラホラ。

 市役所の近くにできたばかりの現代風な屋台村も若者たちでごった返していて、年金酒場という名の、年金もらっているお爺さんたちをターゲットにしたせんべろ的なお店ですら、若者が占拠していた。平日に来れば違うんだろうけど。

 そこでいつもお世話になっている熊本市の方に連れて行ってもらったのは『大手門』という昔ながらの郷土料理のお店。看板も店内の雰囲気もきらいじゃない。

 熊本には何度も来ているけれど、それでもみなさん「馬肉は食べてもらわないと」と毎度勧めてくれる。馬肉好きとしてはもちろん受け入れないわけがない。

 謎に美味い揚げたてサクサクのからし蓮根などもいただいて熊本を満喫。しかしこのお店で一番食べてもらいたいと思ったのが、納豆揚げ。春巻き的な皮に納豆が包まれたものを想像していたら全く違った。ふわっふわのさつま揚げ。中の納豆も程よい量で、あまり納豆が好きじゃない関西人な僕がその美味しさにほとんど1人で食べてしまったほど。

これが、納豆揚げ。絶対食べてみて欲しい。

 そろそろお会計しようかなあというタイミングで、締めにスイカを出してくださるなど、ほんとよいお店だったなあ。しかもお土産に葡萄までいただいてしまった!

 熊本でお店に迷ったらぜひ。

 熊本の夜が一軒で終わるわけはなく、その後は『tutti』というイタリアンへ。そこでいただいた熊本のワイン、菊鹿(きっか)も美味しかった。

熊本産巨峰とマスカットのカプレーゼ。
モッツアレラチーズも熊本産。
こちら赤牛の経産牛とのことだけど、
経産牛とは思えない柔らかさ。

 こちらもほんと素敵なお店だったのでぜひ。

 熊本の食を堪能。ギリギリまで熊本ラーメンに行きかけたけど、さすがに我慢した。ほどよく食を楽しむ術をだんだん覚えてきたな僕も。

 さて、実は今回のnoteで言いたいことは、ここからがスタート。それは以前も少し書いたのだけど、インプットとアウトプットの話だ。

 僕のようにローカルを旅してばかりの生活をしていると、当たり前に疲労がたまってくるのだけれど、旅慣れない人を見ていると、身体的な疲労以上に、精神的な疲労がたまっているのを感じることが多い。例えば今月の僕は、大分別府→湯布院→福岡博多の旅からはじまり、帰ってきたと思ったら京都へ。と思った矢先に、福井芦原温泉→石川小松→新潟岩室温泉を経て、秋田へ。から戻ってくるなり今回の熊本。と、なんだか息つく暇もない日々。サウナで疲労回復はしつつも、それでも精神的に疲弊することなく、なんだか楽しそうに生きているのは、まったくもってこういうnote記事やツイッターなどSNSのおかげだ。

 ちなみに僕は写真が好きで、いつもFUJIFILM X-Pro3を持ち歩いている。18mmのパンケーキレンズにレンズガード一枚つけるだけで、あとはレンズカバーすらつけず、そのままリュックにぶっ込んでいるので、傷だらけのボロボロだけど、まさに僕の相棒だ。

新潟燕三条の友人、
武田修美くんが撮影してくれた相棒。

 気になるものがあればすぐにこの子で撮影をしてスマホに取り込んでは、ちょっとした移動中の時間などにツイッターやインスタにアップしてる。僕のなかで自然とルール化されているのは、少なくとも翌朝のうちには前日のインプットをUPしてしまうことだ。どんなかたちであれアウトプットしてしまえば、心や脳みそに残らない。特にツイッターは140文字で要点をまとめるので、自分にとって琴線に触れた部分がどこかを自分で明確にできるから、ほんと便利。だから僕は正直ツイッターをフォロワーさんに届けるというよりも、自分の記録として残している。以下は僕のツイログだけど、Twitterをはじめた2009年11月、約13年前のつぶやきから全部残っててマジ助かっている。

 ちょっと話が逸れるようだけれど、僕はマジで忘れる。忘れる才能がすごい。先々月も高知で取材中、「ここまで最高な景色、人生初かも!」と大興奮して何枚も写真を撮って、妻にも見せたいと写メを送ったら「Re:SのサイトのTOPのとこやん」って返信がきて、確認したらマジでおんなじ景色だった。

 で、うちのHPがこちら。

 ウケルー!!! とかじゃないよね、もう。こわいよね。ふつうに既に来てた。自分で写真撮ってそれをトップにしてた。だから僕はマジで天才だと思う。忘れる天才。何回でも初見みたいに感動できる。編集者向きすぎる。

 さて話を戻す。てかみなさん戻ってこれる? 

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