鶏初乳にわとり初めてとやにつく

1月31日 鶏始乳にわとり初めてとやにつく

日本の風土をうまく表している72候暦があって
それでいくと、今は「鶏始乳」の頃合になるそうだ。
鶏が春の気配を感じて、たまごを産み始めるころ
春が近いということでしょう。

また花暦を見れば、1月31日の誕生花はチューリップという。
「チューリップの花咲くような明るさで
あなた私を拉致せよ二月」という俵万智さんの歌がある。
彼女のツイターを見ていたらば、
この自作は
河野裕子さんの、「たとえば君 ガサッと落葉すくふように
私をさらって行ってはくれぬか」の変奏曲だったんだなと今気付いたとある
(2011年4月)
河野さんは有名な歌人、
毎年1月に皇居で行う宮中歌会始の選者を務められ
美智子上皇后ともお付き合いがあるというかた。

歌詠みに関心あるものは、たぶんその多くの人が
初めて俵さんのチューリップの歌に接した時に、
ああこれは河野裕子の「ガさっと落葉」の歌からきているなと感じていたことでしょう。
私もその一人。

ヒトを思う心については、時代も場所も関係ない
何時の時にも、同じ心の変奏が現れては消えていく。それでいい。

私にとっては、1月31日はアメリカに居る
大事な友人の誕生日でもある。
2005年銀行から転じて自動車部品メーカーに勤務、そのアメリカ工場の経営が大変ということで急遽その支援役で派遣されたのがミズーリ州の小麦畑の中に建つ小さな部品工場。従業員は500人規模。
ほとんどが白人のアメリカ中西部の世界。
当時世界一の自動車メーカーであるG 社に部品納入中であったが、品質と生産問題でG 社との間で経営レベルの闘いの中にあった。
その時日本人工場長としてG 社と戦うことは無理と日本本社が判断、
現地でサーチして、ドイツ系部品工場長の経験のある
ドイツと英国の血を受けたアメリカ人女性を工場長に選んで、
私が右腕になって支える体制をとった。
それから2年、G 社のデトロイト本社と弊工場のあるミズーリ州の往復を重ねながら部品生産の実務面と法的闘争を経験した。
ミズーリ工場からセントルイスの空港まで片道3時間、
それから飛行機でデトロイト迄1時間の遠距離出張の連続であった。
その中で彼女に感じていた気持ちは、互いに大きな相手に向かう時の
戦友の気持ちと併せ、人種を超えたときめきに近いものがあったのは
正直なところ。

当時45歳で女盛りの彼女も、あれから19年がたち60代半ばになる。
今は情報時代、SNSを通じて彼女のメルアドは判明するが残念ながら
未だ直接コンタクトは出来ていない。

ミズーリ州に春が来ると、工場の敷地に
番のカージナルス(猩々紅冠鳥)が飛んできては恋の歌を歌っていたのを、
工場長のオフィスで彼女と二人で眺めていた日を思い出している。
何時かミズーリの地を再訪、二人でハイウエイ70号線をドライブでもして
当時を想い出しながら、今のミズーリ訪問を楽しもうかと考えている。


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