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伊勢武史×兼松佳宏 リコネクトークvol.1 -プロジェクトリーダーが語る、RE:CONNECTについて-

森・里・海のつながりを総合的に研究する「RE:CONNECT(リコネクト)」。RE:CONNECTは、日本財団と京都大学が共同で行っているプロジェクトです。本プロジェクトのリーダー・伊勢武史さんと、本プロジェクトでの取り組みを社会や市民へとつなげていく役割を担う兼松佳宏さんが語り合う「リコネクトーク」。
vol.1は、プロジェクトリーダー・伊勢さんが語る、そもそもRE:CONNECTって何?について。

▶RE:CONNECT公式サイト

自然のつながりを体験する教育から、つながりを解明する研究へ

RE:CONNECTのプロジェクトリーダーを務める伊勢さん。もともと森林生態学を専門としていました。森の中で森の動植物がどういう風に暮らしているのかを研究するのが森林生態学です。その中で人間側が引き起こす温暖化などが森林にどのような影響を与えるのかを研究していくうちに、RE:CONNECTがはじまりました。

森・里・海のつながりを総合的に研究するプロジェクトですが、もともと彼が京都大学で取り組んでいる「森里海連環学」を発展させたプロジェクトです。

「以前は、大学生や大学院生を教育するという目的が主でした。例えば、4日間連続で行う合宿形式のフィールド実習として、川の最上流からどんどん下って海までひたすらフィールドワークをしました。上流にはどのような植物があるのかということ。川を下って田畑があるエリアになると、上流と水分中の養分量が変わること。さらに下って行って、町があると排水の影響を受けること。最後に、海へつながる河口まで行き、そこではどのような魚が獲れるのかまで。川の流れを通じて、自然の循環に人の営みがどのような影響を与えているのかということを身をもって体験してもらっていました。」と、伊勢さん。しかし、伊勢さんが関わり始めてから教育から研究へシフトすることに。

目的は、自然にまつわるさまざまなことを解明するということ。森里海は、どのようにつながっているのか、そのメカニズムを知ることにとって、効果的な環境保全/保護を行えると伊勢さんは語ります。

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プロジェクトリーダー・伊勢武史さん

ユニークなメンバーを集める、市民といっしょに取り組む

自然のつながりを解明する、それを1つではなく、さまざまな側面から。「その結果、最終的には森里海の自然を守れる、しかも市民のみなさんといっしょに。これがRE:CONNECTの使命ですね。」と語る伊勢さん。だからこそ、RE:CONNETには環境や生物分野の研究者だけではなく、地理学や社会心理学など多種多様な領域の研究者たちがいます。そして、市民の方々といっしょに取り組めるよう“接着剤”の役割を担うのが兼松さんなのです。


メンバーについて、伊勢さんはこのように語ります。「森里海の自然を守る、そのために1つの側面ではなく、多種多様なジャンルの研究者たちの知見や感覚が必要不可欠だと思いました。市民の方といっしょに行うシチズンサイエンスを実現するために、人の気持ちを動かすにはどうアプローチするのかを考えたり、今、どのような環境問題に対して興味があるのかを調査したり。そのような意味で社会連携の取り組みをより強めたくて、研究者というよりも編集者である兼松さんもチームに招きました。」。


兼松さんは、ウェブマガジン「greenz.jp」の元編集長。今の時代に必要とされる市民と社会の関係性の提案や、明るく豊かな社会を実現するアイデアなど、「いかしあうつながり」をテーマとして掲げるメディアの編集長として人やことに関わってきました。

つながりの重要性や、つながりを生むアイデア、つながりを促進する取り組みを熟知し、実行してきた兼松さんだからこそ、RE:CONNECTと社会、そして市民とのつながりを生むことができるはずです。ユニークなメンバーが集まるRE:CONNECT。伊勢さんが市民といっしょに取り組むのは「自然との再接続を行うため」だと語ります。その真意とは?

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社会連携を担う兼松佳宏さん

今必要なのは、自然との再接続。つまり、RE:CONNECT

コネクト(つながり/接続)にRE(再)をつけて、RE:CONNECT。「自然とのつながりを再接続する、このことを目的として活動しています」と語る伊勢さん。

「例えば、森や川に雨が降り注いで、海に流れ、その水が蒸発して雲になって、また戻っていく。その中で動植物たちが栄養をもらって成長して、土に還るという循環がありますよね。ただ、人間の影響で、そのかたちや流れが変えられたり、閉ざされたりしている所があります。その自然が生み出すつながりを取り戻すという意味で、再接続するということです。」

さらに、このように続けます。「昔は、農業が基本だったので、当たり前のように自然や季節、土地と向き合い、語り合いながら暮らしていました。現代は都会で暮らす人も増えて、自然を気にしなくても生きていけます。ただ、究極、自然とのつながりがなければ人間は生きていけない。なぜなら、僕らが吸っている空気にしても、飲んでいる水にしても、食べ物にしても、すべて自然のものだからです。だからこそ、自然のことを再び意識しましょう、と。市民の方々には意識してもらい、僕らは環境を守るために自然のつながりを解明するということを行っています。」伊勢さんの頭の中では、自然と楽しく、豊かにつながっている絵が想像できているのではないでしょうか。

その絵が現実に描かれている過程で、今まで知り得なかった意外な自然の謎も解明できたり、さまざまな驚きや発見と出会える予感がします。

リコネクトークvol.2 -面白い人とテクノロジーがつなぐもの- へつづく


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