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ボディメイクは着ぐるみさんに訊け?!

自分をキャラクターの姿に全力で近づけるというのがコスプレのおもしろさのひとつです。着ぐるみは、顔の形さえもキャラクターの姿にしてしまうものなので、ある意味では究極のコスプレとも言えます。

すると、顔の形がキャラクターそのものである以上、体型もまたキャラクターそのものであってほしくなります。

虹ヶ咲のキャラクターは、高咲侑を除いてスリーサイズが公開されています。

というわけで、朝香果林の身長167cm・バスト88cm・ウェスト57cm・ヒップ89cm……の体型を再現する戦いが、始まるのです(スリーサイズだけで人間の体型は決まりませんが)。まったく同じ体型にするのは無理、だとしても、せめて相似形にはなるように。私は、私が朝香果林の着ぐるみをする以上は朝香果林の相似形を目指しますし、朝香果林の相似形にまったく届かないようであればいっそ朝香果林を諦めることさえ考えます(念のために書いておきますと、すべての着ぐるみやコスプレイヤーが体型をキャラクターに近づけなければいけないとは思っていません。「私は、私が朝香果林の着ぐるみをする以上は朝香果林の相似形を目指します」というだけで、他の方の向き合い方に何かを言う気はなく、何かを言える立場でもありません)。

というわけで、今回は、着ぐるみのボディメイクについての話を書きます。

ボディメイクには、二つのアプローチがあります。ダイエットと体型補正です。

着ぐるみは最強のダイエット法かもしれない

ボディメイクの第一の方法は、やはり普段の体型をキャラクターに近づけることです。体型補正をするにしても、ベースとなる自分の体が多少なりともキャラクターに近づいた方が、やりやすいに違いありません。

そして、たいていのキャラクターはというと、細いのです。まれにキャラクターより細い人もいますが、たいていはキャラクターより自分の体の方が太いのです。

こうして、着ぐるみさんはダイエットを始めます。

実は私も着ぐるみをお迎えするときに10kg以上痩せましたし、さらにキャラクターがキャラクターですから、そもそも体型づくりをすること自体がキャラクターになることでもありまして、朝香果林だったらこういう食事を選ぶわよね……となったりもします。

たとえば、昨年はお台場で虹ヶ咲ラーメンコラボがありましたが、たぶん果林は、仲間といるときは、ちゃんとラーメンは食べると思うんです。で、そのあとそのカロリーをどう消費するか、次の食事でどう調整するか、そういうことを考えるはず。

手打ち中華 玉の虹ヶ咲コラボラーメンは、果林も食べたと思います。

キャラクターの体型という目標は、DiverFesの出場を勝ち取るときの果林みたいな説得力を持って着ぐるみに迫ってきます。そのような目標を立てた以上は、キャラクターにどこまで相似するか、それがすべてです。ですから、着ぐるみは最強のダイエット法かもしれない、私はそう思うのです。

で、いまの私はというと、あと2〜3kgくらい落とせるといいんだけどな……と思いながら、あすけんをやっています。

体型補正は沼る

一方で、キャラクターはデフォルメされているという性質があります。イラストではときどき、物理法則や人間の骨格を無視したかのような身体が描かれるということがあります。そういえば、着ぐるみ仲間との話の中で出てきた鋭い指摘がひとつあって、それは「アニメの女の子の内腿は、実は男の人の内腿のラインになっている」というもの。言われてみれば……

そんな感じで、二次元と三次元は違うのです。

よく言われますよね。「二次元の女の子にばかり興味を持っていないで三次元の女の子にも興味を持ちなさい」と。こう言うこと自体のよしあしはさておきますが、この手のフレーズには、暗黙の前提があるのではないでしょうか?

もういちどいいます。二次元と三次元は違うのです。

いや……女性だけが違うわけではないのです。よく考えたら二次元の男性はヤバいプロテインでもやってるんか?というくらいに上半身がたくましいこともざらです。やるかどうかは分からないのですが、ある方に「『ジョジョの奇妙な冒険』の自分の推しを着ぐるみで見たい」と言われたことがあったのですが、そのときそのキャラクターの体型を改めて見て「お、おう……」と絶句したこともありました。

イラスト通りの体型、そんなものは実在しないのです。

こうして、着ぐるみさんは体型補正をはじめます。

実在しないイラスト通りの体型の相似形をつくるために

趣味で着ぐるみを着ている人は男性のほうが多いとは言われていますから、着ぐるみのコミュニティでは、男性向けのボディメイクのノウハウがけっこう共有されています(詳しいノウハウそのものはメノコマキリ@ニャット・チーさんの『女性型着ぐるみ用 体型補正講座資料【基本編】』(有料記事)に譲ります)。

ただ、別に異性だから体型が違うとか同性だから体型が同じだとかそう単純でないことは、すでに書いた通りです。ですから、趣味で着ぐるみを着ている人は性別を問わず、体のどこかを何かしら補正することを、考えている人は考えています。

しかも、着ぐるみの場合は人間より顔がどうしても大きくなります。ですから、相対的に体の幅は狭く見えます。そのことも計算に入れ出すと、大変です。しかもしかも、着ぐるみは、普通のコスプレと違って肌タイツで全身が覆われていますから、補正が効くポイントはどこにでもあります。しかもしかもしかも、ひとりひとりの生身の体型が違う以上、ひとりひとり体型補正の勘所もまた違うのです。着ぐるみを趣味にする人も増えて、体型補正のノウハウそのものは貯まってきましたが、あなたの理想のヒロイン体型とわたしの現実の体型の埋め方は人それぞれ。

着ぐるみの体型補正は、どうしても沼にハマります。

ボディメイクは着ぐるみさんに訊け?!

着ぐるみは、自由度が非常に高いコスプレで、人間が持つ人間としての身体の機能をかなり犠牲にはしますが、その分我が身を「見た目」に全振りしている存在です。そして、その見た目のために、どこまでも頑張りと工夫をしてしまう存在でもあります。

コスプレイヤーをはじめとした、ボディメイクに関心がある方にとって、着ぐるみコスプレをしている人というのは、知識の宝庫といえるのかもしれません。実際、私が知るコスプレイヤーの中には、着ぐるみを着ることこそないけれど、着ぐるみコスプレのボディメイクを参考にしている人もいます。「ボディメイクは着ぐるみさんに訊け」と言い切ってしまうのはさすがに躊躇するものの、「着ぐるみさんをボディメイクのヒントにして損はない」くらいのことは言えるように思います。

写真=Wakka Works・場所=東京都内の教室風スタジオ