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「人」の魅力で市役所跡地を盛り上げたい

2024年7月24日、気仙沼・南三陸の地元紙「三陸新報」さんのリレー随想に寄稿させていただきました。市役所跡地が施設として使えるようになるのは2030年頃、と息の長いスケジュールですが、出資者、役員、スタッフ、テナント事業者、多くの方にご参画いただけるよう、地道に会話を積み重ねていきたいと思います。


 妻と長男と気仙沼へ帰ってきて早や10年。2歳だった長男は小学6年生になり、妻と子供4人で暮らす我が家は笑い声と走る音が絶えず、さながら毎日が修学旅行。江戸時代から続く漁業資材商社の家業は、頼りになるベテランと元気な若手に恵まれ、9年間在籍した気仙沼青年会議所では、尊敬できる先輩と信頼できる後輩と出会えました。頼まれると断れない性格から、商工会議所や小学校PTAの役割も増え、忙しくも充実した日々を過ごしています。

 そんな僕にとって、地域の大きな関心事は2027年に移転する市役所跡地。耐震強度の問題で解体される本庁舎、まだ活用余地があるワンテンビル、歴史的木造建築の第二庁舎、これら周辺の再開発を検討しています。但し、行政の財源には限りがあり、過大な投資は将来に負債を残す。人口が減少する地方では、大手企業に丸ごと再開発を期待するのも難しい。八日町の住民として近所を廃墟にしたくないし、安波山と内湾に近い場所に可能性も感じることから、再開発を担う地元企業(ローカルデベロッパー)を出資して設立する予定です。

 少し話はそれますが、気仙沼に帰ってきて印象的だったのは、人口の割に外から多くの人が出入りすること。豊かな漁場を目指してやってくる県外船、全国から出張・赴任で訪れる会社員、震災ボランティア等で移住してきた若者、まちづくりに関わる専門家や有識者など、多様で幅広い関わりがあります。

 彼らが一様に口にする言葉は「気仙沼は人がいい」。海と山に恵まれた自然、美味しい旬の食材はもちろん魅力的ですが、それにも勝るのが人の魅力。情熱的で個性あふれる気仙沼人に魅せられ、繰り返し足を運ぶ気仙沼ファンが大勢います。そして、気仙沼人も外から新しい刺激を受け、面白がって一念発起。プチシェフコンテスト、天旗まつり、サンマフェスティバル、気仙沼バルなど、中と外の人が交わりながら活気を生み出している例は枚挙に暇がありません。

 この「人の魅力」を市役所跡地にギュッと詰め込めないか、というのが僕の想いです。イメージに一番近いのは、早稲田大学の学生会館。授業の合間に足を運べば、サークル活動に励む学生が常にいる。隣のサークルの様子が垣間見え、面白そうな活動に混ざりたくなる。会議室やホールも使えて、ちょっとした用事は食堂や売店で片付く。そんな活気あふれる場所になったら面白いですよね。

 昨年の市民ワークショップでは、他にも様々な声がありました。子供が楽しく過ごせる公園や屋内の遊び場。高校生が自習に使えるスペース。畑が好きな人向けのシェア農園や産直マルシェ。古民家リノベーションを学べる場所。高齢者、障害者、外国人のごちゃまぜ交流スペース。あわよくばJRの鉄路を内湾まで延伸。これらを取り混ぜながら、構想に落とし込んでいきたいと思っています。

 ローカルデベロッパーは民間として収益を出す事業で、もっと多くの仲間が必要です。自分で新しい事業を始めたい、将来への危機感から何か挑戦したい、そんな方々とは何か一緒に面白いことが出来るかもしれません。是非一度ざっくばらんにお話しする機会をください。地元の未来のために一緒に投資しましょう!

【筆者紹介】

1983年気仙沼市生まれ。小学校卒業で気仙沼を離れ、PL学園、早稲田大学、日本IBM等を経て、2014年に帰郷。現在、アサヤ株式会社代表取締役社長。41歳。気仙沼市八日町。

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