何もしてくれない時間を提供するサービス
どこにも持っていけない気持ち、
どうしようもない状況で、診察室に訪れる。
あの人のことを考えるとドキドキして、行くのが怖い。
どうやったら、あの人にわかってもらえるのか。
許せない、あり得ない、何度言っても聞いてくれない。
気持ちがザワザワ、どうしても落ち着かない。。
どうしたらいいんですか!
人や出来事の中で起こる、不安や苦しみ、
その解決法が求められています。
僕の中に、
こうしたらいいんじゃないか、
視野を広く持って、こう考えたほうが楽じゃないか、
と、もんもんと、湧き上がるものがあります。
色々言いたいこと、どう伝えようか。
でも、やっぱり、僕は、
何もしないことを、選ぶことにしていきます。
それこそ、僕の狭い視野から見た見解だ。
僕は呼吸しながら、ちょっととどまり、
僕のひとりよがりな考えの、その先を思っていきます。
こうしたらいいけどできない気持ちって、どんなだろう、
考えを変えたほうが楽なのに、できなくしている事情は、なんだろう、
そして、その答えは、いつも、同じ。
その人がその感情を体験する必要があるから。
誰かが泣いている。
泣く必要があるのだ。
泣くためにここにいる。
笑いたい、
でも笑えない。
泣きたい、
泣けない。
考え方を変えたい、
でも、変えれない、
だから、いまがある。
その人が必要としている体験は、
その人の体験以外には、存在しない。
悲しい時は、悲しみを感じるとき。
そして、その人がどれだけ悲しむ時間が必要かは、
その人とその悲しみにしかわからない。
タイムテーブルの都合に合わせて、悲しみを、
この期限までに終わらせてくださいね、
スケージュールの期限が迫っています、
というわけには、行くはずもない。
それなのに、感情を早くまとめてあげようとして、
またその人が必要とする感情を妨げようとしてしまう、
自分の衝動に気がついて、手放していく。
感情をコントロールしようという自意識が、
感情が高まり完了していく自然の流れを、
せき止めていた。
そして、僕は何かを強要することなく、
見守り続けることにする。
すると、
患者さんは、
涙ボロボロの顔で、微笑む。
すみません、
いつも。。。
泣かずに話したいんですけど、、、(笑)
僕は、
泣いてはダメですか?
気持ちを止めなくて、
いいですよ。
と、自然に言葉が出る。
せき止められて、流れたかった自然の感情が、
また一つ終わり、成仏されて行くのを、みさせてもらう。
その自然の流れに、僕も癒やされる。
何もしない。
何も起こらない。
いつもの静かな診察室。
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