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大規模化への挑戦!飛行機整備士から、こだわり白ネギ農家への転身

飛行機整備や営業など一般企業での経験を積み、出身地である球磨郡錦町で家業の白ネギ農家を継いだ平野典幸さんに白ネギについてや農家のライフスタイル、今後の展望などについてお話を伺いました。(2023年11月)


平野典幸さんプロフィール

工業高校機械科を卒業。飛行機整備の会社に10年弱勤務後、球磨郡錦町に戻り、建設会社での営業や議員秘書等を経験。その後、就農し農家15年。
JAくま理事、熊本県立高校PTA連合会副会長、南稜高校PTA会長、錦町農業委員、錦町スポーツ推進員など

機械系、一般企業勤務から白ネギ農家へ

工業高校の機械科を卒業し、飛行機の整備士として航空業界に就職し、成田空港や関西空港などの空港に8年ほど勤務しました。その後、家業である農家を継ぐことを決め、同地域出身でもある妻とともに地元に帰りました。農家をやる前に人吉球磨地域の人付き合いの作法や人の繋がりを勉強した方が良いと言う薦めを受けて、一旦、6年程、建設会社の営業や議員秘書などを経験してから、就農しました。両親から継いで欲しいとは言われませんでしたが、人吉球磨地域への愛着や貢献意識から就農を決めました。

あえて厳しい栽培方法を 白ネギへのこだわり

ネギは水分が必要であると同時に水はけのよい土地が適しているとされています。人吉球磨地域は、朝は霧がかり、その後晴れると言う盆地気候をしており、その上、台地上で栽培しているため、ネギに適した環境下で栽培できていると感じています。

栽培方法のこだわりとしては、農林水産省の特別栽培農産物のガイドラインに沿い、地域での慣行栽培よりも農薬や化学肥料の使用料を半分以下に抑えて栽培をしていることです。作付から収穫まで3か月など比較的短期で回っている作物と異なり、白ネギは、収穫まで半年ほどと期間が長いです。白ネギのように収穫までの期間が長い作物は、農薬や化学肥料を大幅に減らす特別栽培農産物のガイドラインに沿った栽培をしていると虫食いや葉枯れが出てしまうので本来対応が難しいところですが、そのガイドラインに準拠する形での栽培を行っている点はこだわりであり、他ではあまりない特徴です。

新たな販売チャネルや栽培方法の模索 白ネギを届ける

特別栽培を集めたブランド品としてとある市場と契約しています。それにより、通年で価格変動がある白ネギですが、価格変動リスクを一定程度抑えることが出来ています。一方で、市場との取引を開始した20年程前と比べると契約農家も3分の一程度になってしまっており、農業全体としては後継者不足の課題を感じています。

販売方法も同じやり方をしているとリスクがあるため新たな方法にも挑戦しています。マーケティング上や顧客満足度の視点から今は取りやめてしまいましたが、消費者個人へ直接販売できる産直ECサービスでの直販を行っていたこともありました。

また、直近では、新たな栽培手法を取り入れ新たな商流に乗せることで、高単価に繋がる白ネギ栽培に挑戦しようとしています。まずは、畑の一部をその手法に切り替え試行し、一連の収益性までが見えた後に栽培する範囲を広げ、その後は、畑自体の面積を今の面積(約3.5ha:東京ドーム相当)から1.5~2倍程度に拡大し、大規模化・法人化を目指します。

農家としてのライフスタイル

子供三人の子育てをしていたこともあり、長年自分のことに使える時間が限られてきました。しかし、子育てが一定落ち着いてからは、地元への貢献意識から、より地域との関わりを増やしており、JAくまの理事や南稜高校のPTA会長、錦町農業委員、錦町スポーツ推進員などの役回りを行っております。そちらの関係もあり、休みの日は週に一日程度で、他はこれらの役回りの打合せやイベント、会食などでも忙しくしています。外へ出てのコミュニケーションが好きなのと、また、地域との繋がりも感じることができ、忙しくも楽しく過ごしています。

ホームランよりも小さなヒットを着実に積み重ねる

野球に例えると、ホームランか三振かではなく、小さなヒットを手堅く、着実に積み上げることによって成長して行きたいと考えています。しっかりとリスク管理もしながら挑戦し、小さな成功体験を積み重ねて行きたいです。
夢、感動、感謝を座右の銘に、農家も地域活動も頑張っていきます。


人吉球磨の地理的特性や農作物へのこだわりや熱量、新たな挑戦、地域との繋がりなど農家の魅力を再発見できた取材でした。人吉球磨・農業未来プロジェクトでは引き続き地域の若手農家さんの取材を続けていきます。次回の取材記事もお楽しみに!


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