見出し画像

川村拓夢のRBザルツブルク移籍をマーケティング視点から見る

6月24日、RBザルツブルクはサンフレッチェ広島から川村拓夢の獲得を発表した。三都主アレサンドロ、宮本恒靖、南野拓実、奥川雅也以来の日本人選手加入となる。

YouTubeでは川村の獲得についてもう少し全体的に深堀りする動画を投稿していますが、noteではマーケティング視点に特化して書いていきます。
(よかったらチャンネル登録お願いします!)


今季は「レッドブル×プーマ元年」

RBライプツィヒとRBザルツブルクは、24/25シーズンから契約メーカーをプーマに変更する。

元々、両クラブはアディダスと契約していた。これはRBザルツブルクが当時バイエルン・ミュンヘンと提携関係にあったことや、レッドブル創業者の一人であるディートリッヒ・マテシッツとベッケンバウアーが友人だったことなどが背景にある。

そこから14/15シーズン、彼らは同時にナイキへ変更した。このことから、レッドブル・グループが一括で契約していることが推測できる。マルチクラブ・オーナーシップの特徴の一つと言えるだろう。ブラジル支部のRBブラガンチーノも、レッドブル買収後の2019年にナイキと契約している。なおNYレッドブルズに関しては、MLSがリーグ全体でアディダスと契約を結んでいるため、各クラブがメーカーを選ぶことはできない。

そして今季、レッドブル・グループはプーマをパートナーに迎えた。これは一昨年にマテシッツが亡くなってから、レッドブルのスポーツ投資部門CEOを務めるオリヴァー・ミンツラフによるプロジェクトと考えられる。彼はレッドブル・グループに入る以前、プーマで働いた経験を持つ。

2年前にナイキから離脱してニューバランスと契約していたRBブラガンチーノも、再び足並みを揃えてプーマと契約することが既定路線となっており、移行期間となる半年間は自社ブランドのユニフォームを着用する。

プーマとの契約を"よりセンセーショナル"に

今回の契約で、RBライプツィヒはプーマから10年間で1億5000万ユーロを受け取ると言われている。クラブはこの契約をよりセンセーショナルに演出するため、プーマ契約選手であるシャビ・シモンズの再ローンを目指している。

昨季PSGからのローンで大活躍したオランダ人アタッカーは、Instagramのフォロワーが590万人を超える人気者。RBライプツィヒがシャビ・シモンズを再びクラブに迎えることは、単純な重要戦力の維持としてだけでなく、マーケティング面でも大きな意味を持つ。

メーカー変更時に、こういったスポンサーの存在感が大きく映る移籍のケースは他にもある。例えば、ポール・ポグバのマンチェスター・ユナイテッド復帰だ。15/16シーズンからアディダスに契約メーカーを変更したユナイテッドは、翌年にポグバを獲得。その発表後、アディダスはラッパーのStormzyとのコラボビデオをリリースし、この移籍を大々的に宣伝した。

また、メッシのインテル・マイアミ移籍もその一例とも言える。加入にあたって、メッシはMLS移籍によって生まれるアディダス社の利益の一部を受け取れるオファーを提示された。この移籍にはMLSとサプライヤー契約を結ぶアディダスと、リーグの放映権を持つアップルの協力が大きく絡んでいる。

そして、川村は現在プーマと契約しているようだ。

RBザルツブルクでは、既存のプーマ契約の中心選手をプッシュしづらい事情があると予想する。前シーズンに活躍して中心選手となっていたら、主要リーグへステップアップする可能性が高まっているからだ。プロモーションの撮影をした数週間後に移籍なんてこともあり得る。先日プーマの新ユニフォームが公式SNSでお披露目されたが、プーマ契約で選ばれたのは昨季公式戦出場がゼロに終わったヘンドリー・ブランクだった。そのため、川村のようなプーマ契約の新加入選手は、ある意味クラブにとって最も「プッシュしやすい」存在と言える。これも獲得の決め手の一つとなったかもしれない(ただ、加入発表ではノーメーカーっぽいスニーカーを履いていたように見えた)。

川村が定着しつつある日本代表でも、プーマの存在感は増してきている。キャプテンの遠藤航、人気選手の三笘薫と伊東純也、そしてこれまで「アディダス契約選手用の背番号」だった10番を現在着用しているのはプーマの堂安律である。

川村を獲得したRBザルツブルクが、これから日本市場に対してどのようにアプローチするのか注目される。RBザルツブルクの先輩である南野拓実は、今季モナコでの活躍によって、リーグ・アンやクラブ公式での露出が増加した。

現状オーストリア・ブンデスリーガは日本の放送局が放映権を取得していないため(RBザルツブルクの試合を無料で視聴する方法はまたYouTubeで紹介する予定です)、クラブが大規模にプッシュすることは現実的ではない。

まずは、南野と奥川の退団後も更新してくれていたものの、今年始めに投稿が止まった日本語公式Xアカウントが再稼働するのか見ていきたい。

スポンサーはあくまで1つの要素

契約メーカーが移籍市場に与える影響は、時として重要な要素になり得るが、当然これが全てを決めるわけではない。

ナイキ契約選手であるクリスティアーノ・ロナウドが昨季アル・ナスルに移籍した際、クラブもナイキと契約を結んだが、今季はアディダスと契約することを発表している。

ナイキフットボールの顔であるロナウドは、近年クラブレベルではほとんどの期間(レアル・マドリード→ユヴェントス→ユナイテッド復帰→アル・ナスル)をアディダスのユニフォームで過ごしている。

川村のRBザルツブルク移籍もスポンサーがメインではなく、左利きでスケールの大きなMFというプレーヤーとしての魅力が最も大きな要因であることは間違いない。その上で彼がオーストリアで活躍し、選手とクラブ双方の価値が上がることに期待したい。

YouTubeなどもやってます

ほぼ妄想を最後まで読んでくださり、ありがとうございました笑
YouTube、TikTok、Instagramなどもやってます!
よかったらチャンネル登録お願いします!


ありがとうございます!YouTubeやTikTokもよかったら見てね!