まひる

オリジナルのBL小説を書きます。お友達が欲しい気持ち。

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最近の記事

しあわせになってほしいひと。

親友が結婚した。するのは分かってたし、逆に遅いと思ったくらいだった。 でも、めっちゃくっちゃ旦那が羨ましくて死ぬかと思ったし、結婚式であんなに泣く日も、思い出してもまだ泣けることも多分もう2度とない。万が一わたし自身の式があったとしても、あんな気持ちになることはなさそうだと思った。 わたしと正反対の存在で、会った時は大っ嫌いなタイプだった。ぶりっ子で媚び媚びしててピンクとふわふわが好きそうで。大学生の最初の春だったけど、マジでそんな人類を初めて見たのでドン引きしてた

    • もういちどきみと。[2]

      羽毛布団は役目を終えて、とうに押入れで眠っている。代わりに薄い毛布一枚でパンツ一枚、最高に心地よい格好で眠っていた。耳元でうるさい目覚まし時計が俺の意識を呼び覚ます。スマホ、スマホと半分覚醒したあやふやな意識のまま、枕元を漁ると俺がスライドせずとも目覚まし時計は静かになった。 「あれ?」 のそりと身体を起こすと、朝の光が急に差し込んで来て一瞬にして目が眩む。その朝日を背に、ふわふわとした髪の毛が揺れて、綺麗に筋肉がついた足が目に入る。俺のボクサーじゃなかったか、そ

      • もういちどきみと。[1]

        永谷啓介、28歳。男性で独身、都内の大手商社に勤め、同世代に比べて割といい給料をもらって、あてどもなく貯金して。女には面白みのない男だと言われる自覚はある。彼女達の作り笑いや、煌びやかな様子に些かきつい香水が苦手で、俺はあまりそういう席も好きではなかった。 同期は会社の大きな看板を凝縮したようなピンバッチを誇らしげに胸に煌めかせ、夜な夜な肝臓の耐久度を試しに出かけていく。俺はそんな彼らを横目に見ながらのんびりと家路につく。のんびりといえど23時、明日まであと1時間。家に

      しあわせになってほしいひと。