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ジャニーズ性加害問題で思うこと

ボブディラン、ジョンレノン、ミックジャガーなど
名だたるロック界の伝説的なスターたちとの対話について執筆した『The Masters(ザ/マスターズ)』。

今月、ニューヨークタイムス紙がこの新著取材を行い、著者のジャン・ウェナー氏が失言してしまった。

このことが原因でウェナー氏は、アメリカの音楽界において非常に権威のある組織「ロック&ロール・ホール・オブ・フェーム財団」から理事を解任された。

Jann Wenner(ジャン・ウェナー)は、アメリカの実業家で、ポップカルチャー雑誌『ローリング・ストーン』の共同創設者でもある。

ウェナー氏の本に登場するのは皆、白人男性。
数十年の結婚生活の後、ゲイであることをカミングアウトして話題になった彼は、著書で紹介されているミュージシャンのラインナップに多様性がないことについてタイムズ紙に質問された。

77歳のウェナー氏は、自身の著書『The Masters』に掲載するほど "明晰 "な女性アーティストや黒人アーティストはいないとし、
女性陣に関しては、知的レベルで十分に明瞭な人はいなかった......。
と発言し、これが物議を醸した。

ウェナー氏は批判をうけ公式に謝罪したが、時すでに遅し。
財団の解雇に加え、ニュージャージー州のモントクレア文学フェスティバルでのプロモーションイベントもキャンセルされた。

財団は、共同創設者との関係を断つという行動をとった。

あからさまに時代の潮流にあっていない、不適切な言動をした公人から距離を置くことは、ブランドを否定的な影響から守るための賢明なアイデアの一つである。口が裂けても言えないような、物議を醸すような人物と距離を置くことは、騒動の渦中に留まるための最善の手段かもしれない。

今、世の中を騒がせているジャニーズ性加害問題に対して、それぞれの企業がタレントを起用するリスクを検討し、さまざまな対応を模索していくことは真っ当な流れと考える。

一方、別の軸での問題点は誰もが知っていたのに、誰も何もしなかった。ということではないか。私自身も。
幼い子供が、レイプされてどれだけ怖かっただろうどれだけ辛かったか思いを馳せてみた。恥ずかしい話、報道がここまで加熱するまで、そんなこと真剣に考える時間なんて自分にもなかった。

そして何十年もの間、ほとんどのメディアはその疑惑を取り上げなかった。

私たちは多くのことを変える必要がある。

今回の問題がきっかけで、また日本企業が変化するきっかけになったことは間違いない。

ジャニーズ性加害問題は海外からの圧力が作用点となったが、今後もSNSをきっかけに弱者の声を汲み上げられる世の中になっていく。もちろんその弊害も生じる可能性は大いにあるが。

グローバルスタンダードで、様々な弱者の人権を重んじる、尊重する、という動きの中で、企業のコミュニケーションは加速度的に変化のスピードが求められている。

では、どうすればいいか?

先行する海外の事例や、日本企業の先進的な取り組みから学ぶべきである。

現在、多くの企業がESG(Environmental, Social, Governance)投資を導入し、持続可能性や社会的責任に対する取り組みを強化している。この動きの中で、企業は内外のステークホルダーとのコミュニケーションの質を向上させ、透明性を高める必要がある。

コミュニケーション戦略を構築する際のポイントは以下の3つである。

①リアルタイムでの対応
SNSの普及により、情報が瞬時に拡散される時代となった。企業は迅速かつ適切に情報を発信し、危機管理の体制を整えることが重要である。

②多様性と包摂性
現代の企業は、多様な価値観や背景を持つステークホルダーとの関係を築く必要がある。そのため、多様性を尊重し、包摂的な姿勢でのコミュニケーションを心掛けることが不可欠である。

③誠実さと透明性
企業の言動には一貫性が求められ、その背後にある思考や意図を明確に伝えることが大切である。

以上のポイントを踏まえ、企業は持続可能で公正な社会の実現に向けて、より高い水準のコミュニケーションを目指すべきである。

公共の信頼を勝ち取ることは簡単ではないが、その取り組みを継続することで、企業のブランド価値やレピュテーションが長期的に向上することは間違いない。

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