涙の糸 -21-

 それ以来、ワリマも俺も少しずつ料理をするようになった。

 「ワリマ、セロリ避けるんじゃない。」

 「この野菜は苦手です。」

 最近レシピを覚えたサラダで、ワリマの好き嫌いが分かった。

 「ジョーこそ、マッシュルームを私に渡さないでください。」

 「きのこは嫌いなんだよ…。」

 ワリマが覚えたシチューで、俺の好き嫌いがバレてしまった。

 「任務で山にこもってたときがあってな。きのこしか見つけられねぇで、飽きちまった。」

 「聞いてません。」

 「じゃあお前のセロリ食ってやんない。」

 「…残念ながら、私の味覚がまだ追い付いていないようです。」

 「お子ちゃまは仕方ねぇな。」

 「11歳は幼児ではありません。」

 「十分ガキだ。」

 そんなことを言いながら、いつかこいつが、セロリをうまいと思えるようになるんだろうか、と想像する。

 この生活が、当たり前だと思ってしまったことに、我ながらむず痒くなる。


つづく

以上、らずちょこでした。

※この物語はフィクションです。

ここまで読んでくださった皆様に感謝を。

ではまた次回。

 

 

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