1人の体質の話

　その少女は、どんなに怪我をしてもすぐに直りました。骨が折れても、頭から血が流れても、数時間すれば元に戻るのです。

　彼女は、寿命以外では死なない体質でした。包丁でめったざしにされても、首を絞められても数時間すれば元に戻るのです。

　人々はそんな彼女の体質を羨み、彼女にお願いして、髪や爪を分けてもらったりしました。

　でも、いくら髪や爪を煎じて飲んでも、体質は変わりませんでした。

　欲にかられた人々は、彼女を閉じ込め、ありとあらゆる実験を行いました。

　切り裂いたり、首をつらせたり、無理やり子どもを生ませたりしたのです。

　どんな拷問にも耐えてしまうその身体は、まるで何事もなかったかのように元通りになりました。

　何度耐えきれなくなった彼女が首をつろうとも。

　彼女を救う方法は、皆分かっていたのに、誰も言い出しませんでした。だって皆、痛いの嫌だから。

　以上、らずちょこでした。

　※この物語はフィクションです。

　ここまで読んでくださった皆様に感謝を。

　ではまた次回。