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転職エージェントを使わずに転職活動した結果とその方法


はじめに

転職エージェントを利用するメリットと利用したほうがいい人

転職エージェントの利用にはいくつかの明確なメリットがあります。最も大きな利点の一つは、転職市場における豊富な情報とリソースへのアクセスです。エージェントは数多くの企業と連携しており、非公開求人という、一般には公開されていない求人情報へのアクセスを提供することが多いです。これにより、求職者はより広範な選択肢を持つことができ、見落としていた可能性のあるチャンスに気づくことができます。
また、プロフェッショナルな転職アドバイザーは、履歴書や職務経歴書のブラッシュアップ、面接対策といった個人的なキャリアサポートを提供します。このようなサポートは、特に転職市場に不慣れな人や、特定の業界に特化したアドバイスを必要とする人にとって価値があります。
エージェントを最も有効に活用できる人は、以下のような特徴を持つ方々です:

  1. 初めての転職者:転職プロセスの全体像を理解しておらず、専門的なガイダンスを求めている人。

  2. 特定の業界に特化した求人を探している人:特定の業界や職種に特化したエージェントは、その分野の深い知識と広いネットワークを有しており、適切な求人を効率的に見つけ出す手助けをします。

  3. 忙しい職業人:日常業務が忙しく、自分での求人探しに多くの時間を割けない人。

これらのメリットにもかかわらず、転職エージェントの利用は必ずしもすべての人に最適な選択とは限りません。自己主導での転職活動がもたらす利点については、次のセクションで詳しく説明します。

筆者の転職活動と結果

私の社会人歴は約15年で、その間ほとんどをシステム関連の職種で過ごしてきました。これが2回目の転職活動であり、未経験ながらもITコンサルタント職に挑戦することを決意しました。結果として、7社に応募し、以下のような成果を得ることができました。

  • 内定を獲得した企業数:2社

  • 途中で辞退した企業数:2社

  • 面接で落ちた企業数:2社

  • 書類選考で落ちた企業数:1社

最も好条件を提示した企業では、現年収から約250万円のアップを実現しました。これは私にとって非常に満足のいく結果です。
転職活動初期には、経験の浅さから2社の転職エージェントに登録しましたが、すぐに彼らとのやり取りに不信感を抱くようになりました。また、私自身、自分のキャリアの方向性がはっきりしていたため、仲介者を通じた応募が自分のニーズに合わないと感じました。そのため、途中からエージェントを利用することなく、直接企業への応募を主軸に転職活動を進めることにしました。
このアプローチにより、よりコントロールを持って転職プロセスを進めることができ、最終的には自分に合った職場を見つけ出すことができました。
次の章では私の転職活動の中での出来事や感じたことをベースにエージェントなしの転職についてご紹介します。

転職エージェントの限界と課題

エージェントによるマッチングの不透明性

転職エージェントを通じた職業マッチングには、しばしば不透明性が伴います。この問題の核心には、エージェントが持つ利益相反の可能性があります。エージェントは企業から成功報酬を受け取るため、しばしばその企業の利益を最優先する傾向があります。結果として、求職者にとって最適ではない職場を推薦する場合も少なくありません。

さらに、多くのエージェントは求職者に対してその推薦の背後にある理由や、他にどのような選択肢があったのかを完全には開示しません。これにより、求職者は提供される情報のみに基づいて決断を迫られることになりますが、その情報が常に自分のキャリア目標に最も合致しているわけではありません。

この不透明性は、特に以下の点で問題となります:

  • 選択肢の制限:エージェントが持つ職務情報は限定的かつ選択的であるため、求職者は市場全体の中から最適な選択をすることが困難になります。

  • 情報の偏り:エージェントは特定の企業と密接な関係を持つことが多く、その企業の職務を過剰に推薦する傾向があります。

  • プロセスの透明性欠如:求職者は自分の履歴書や職務経歴書がどのように扱われ、どの企業に送られているのかを詳細に知る機会が限られています。

  • エージェント自体の売上確保:転職エージェントは企業からの提示年収に応じた報酬を受け取る仕組みになっているため、転職先企業からの提示年収が影響を受ける場合があります。

このような状況は、求職者が自分自身のキャリアに対して主体的に行動することを妨げ、しばしば満足のいく転職ではなく、妥協を強いられる結果に終わることがあります。

情報の非対称性とコントロール

エージェントを介して企業側とコミュニケーションを行う際、避けられない情報の欠損や非対称性が発生します。エージェントは日々多数の求職者に対応しているため、個々のキャリアに対して詳細に考慮することが難しくなります。この結果、求職者の提出した条件に基づいて職を探すことが一般的ですが、これにより求職者のビジョンや将来の可能性など、言葉で表現しづらい部分が十分に伝わらないことが多いです。

さらに、企業側が特定の条件を設けている場合(例えば、「TOEIC〇〇点以上」や「特定の業務経験〇年以上」など)、エージェントは求職者の経歴が条件に合わないと判断すればその候補を排除することがあります。しかし、実際には条件に完全に合致しなくても応募し、選考を通過するケースがあります。実際に私も、TOEICの点数が求められている条件を満たしていなかったにも関わらず、応募した企業の書類選考を通過することができました。

このように、情報の非対称性は求職者の転職活動において重要な障害となり得ます。転職エージェントに頼らず、自分自身で情報を得て判断する能力を高めることが、より自立したキャリアの進行に繋がります。

自己主導転職の利点

自分の強みの再発見とキャリアに対する責任感

自己主導での転職活動を行うことは、自分自身のキャリアに対する深い理解と責任感を育てる絶好の機会です。エージェントを利用しない転職では、自分自身の強み、弱み、そしてキャリアの目標を自分で掘り下げて明確にする必要があります。このプロセスを通じて、多くの場合、自分自身の能力や過去の経験に新たな価値を見出すことができます。

たとえば、異なる業界での経験が転職先で求められるスキルセットとどのように連携できるかを考えることで、自分のキャリアを多角的に展望することが可能となります。また、自分で情報を集め、企業と直接交渉することは、自身のキャリアの方向性を自分で決定する能力を強化し、より主体的な職業生活を送るための自信を構築します。

このような自己主導の転職プロセスは、単に次の職を見つけること以上の意味を持ちます。それは自分自身のキャリアに対する深い洞察と、それに伴う責任を自覚するプロセスです。自分で自分の道を切り開くことによって、ただ職を変えるのではなく、自分自身として成長する機会を手に入れることができます。

自分のペースで転職活動を進めることの重要性

エージェントを介して転職活動を行うことにより、エージェントの売上の都合で内定受諾時期や面接時期などをコントロールされる可能性があります。このような状況は、求職者が自身のキャリアプランや個人的なスケジュールに最適な選択をすることを困難にします。自分のペースで転職活動を進めることができれば、そのような外部のプレッシャーから自由になり、より冷静で熟考された決断が可能となります。

自分自身で転職活動を管理することは、プロセス全体において自己決定を促進し、自分のキャリアに対するコントロールを強化します。たとえば、転職活動中に自分に合ったペースで情報を集め、企業との面接を設定することができます。これにより、各企業の文化や求めるスキルセットについて十分に理解し、自分にとって最適な職場を見極めることができるのです。

さらに、自分のペースで転職活動を進めることは、ストレス管理にも寄与します。エージェントを通じて行う転職活動は、時に迅速な対応を求められるため、精神的な圧力を感じることがあります。一方で、自己主導で進める転職活動では、自分自身の条件に合わせて行動できるため、心理的な負担が軽減されます。

このように、自分のペースで転職活動を進めることは、より満足のいく転職結果につながるだけでなく、プロセス自体のストレスを最小限に抑えることができるのです。

労働条件の交渉のしやすさ

自己主導での転職活動では、年収を含む労働条件の交渉が直接かつ効果的に行える点が大きな利点です。エージェントを介さずに企業と直接対話することで、自分の経験やスキルの価値を直接アピールし、希望する年収を明確に伝えることが可能です。さらに、他社の条件を参考にしながら率直に交渉を進めることができます。実際に、私自身も当初の提示年収から他社との比較を通じてより良い条件を引き出すことに成功しました。

エージェントなしで転職を成功させる方法

自分の経歴の棚卸と明文化

転職活動において、自分のキャリアの棚卸しと明文化は極めて重要です。これには、これまでの職歴から具体的な業績やスキル、強みを整理し、それを明確に表現する作業が含まれます。成功した転職の鍵は、自分が何を提供できるかを明確にし、それが未来の雇用主にとってどのような価値を持つかを効果的に伝えることにあります。

自分の強みの特定
まず、自分の経歴を詳細に振り返り、どの職務で何を成し遂げたかをリストアップします。これには、達成したプロジェクト、扱った技術、リードしたチーム、または改善したプロセスなどが含まれます。それぞれの経験について、具体的に何を頑張ったか、どの点に留意してきたかを記録します。

経験の具体化
次に、これまでの仕事で得た具体的なスキルや成果を詳述します。たとえば、プロジェクトマネジメントのスキル、特定の技術領域における専門知識、チームワークやリーダーシップを活かした成功事例など、自分の強みが如何にして具体的な成果に結びついたかを明示します。

メリットの提示
最後に、これらのスキルや経験が転職先企業にどのようなメリットをもたらすかを考えます。「あなたは何ができるのか?それにより自社にどういうメリットがあるのか?」という質問に対する答えを用意します。これは、自分のスキルが企業の目標や課題解決にどのように貢献できるかを具体的に示すことです。

この過程を通じて、自分自身の価値を再確認し、それを明確に伝える準備を整えます。効果的に自分の経歴と能力をアピールすることができれば、転職活動の成功率を大いに高めることができます。

企業に対して求めるものを明確にする

転職を成功させるためには、まず自分自身のキャリア軸を明確にすることが不可欠です。これは、自分の経歴をしっかりと棚卸しし、どのような強みや経験があるかを確認し、それに基づいて自分が本当にやりたいこと、今後どうなっていきたいかをイメージするプロセスです。

キャリア軸がはっきりしていないと、年収や企業ブランドなど、本質的に重要でない情報に惑わされがちです。「大きな会社に行ったほうがいい」「周囲が安心する企業に行きたい」といった「~すべき」ではなく、「~したい」「楽しそう」「この人たちと一緒に働きたい」と感じる企業を選ぶことが、長期的な職業満足へとつながります。

軸を持つことは、自分自身の価値観に合った職場を見つけ、キャリアを通じて本当に価値ある経験を積むための基盤を作ります。自己理解と自己表現の明確化を通じて、転職活動をより目的意識のあるものに変えることができます。

情報収集は多すぎても少なすぎてもダメ

転職を成功させるには、目指す業界や職種に関して適切な知識が不可欠です。この知識は、特に現代ではインターネットを使えば比較的容易に得ることができます。例えば、Openworkのような企業口コミサイトは、様々な企業の内部情報や働く環境を知る貴重なリソースです。実際に私も、Openworkでのスカウトを通じて面接に進んだ経験があります。

情報の適切な取り扱い

情報を収集する際は、ただ多くの情報を集めるだけではなく、その質と自分の転職目標に即した内容かどうかを見極めることが重要です。人は不安を感じると、とかく多くの情報を求めがちですが、情報過多はかえって自分の転職軸をぶらさせる原因になります。

実際の接触を大切に

面接や企業説明会など、実際に企業の人と接する機会は非常に重要です。これらの場では、相手とのフィーリングや直感的な合う合わないを感じ取ることができ、特に中途採用では面接官が将来の上司になることが多いため、小さな違和感が後に大きな問題となることもあります。このため、情報を過度に取り入れることなく、自分の直感を信じることが肝要です。

まとめ

ここまでお読みいただいてありがとうございました。
実際に私はほぼ独力で転職活動を行いある程度満足のいく転職ができたかなと思っています。
エージェントを利用しなかったことで自分のキャリアをしっかりと振り返りながら自分のペースで進めることができたことにより、いろいろな気づきがありました。ある程度方向性が決まっていたり行きたい業界や企業がぼんやりながらも定まっている方はぜひとも自己応募によって転職活動を進めてみてはいかがでしょうか?というのが個人的な意見です。


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