見出し画像

今週荒れるぞ、金融政策ウィーク到来。景気後退にご注意を。|株・為替相場分析(2023年6月12日)

本日の動画ver.はこちらです。

noteではお伝えし切れない「トレーダーの生の声」を取り入れた動画ver.は以下で再生することができます。気に入って頂けたら、ぜひチャンネル登録をぜひお願いします!

今週は、「金融政策ウィーク」

さて、今週はみなさん待望の金融政策ウィーク。FRB、ECB、日銀の主要3会合が控えており、相場は荒れに荒れる展開が予想されます。今週に短期トレードを行われる方は十分に注意して臨んでください。

このようなボラティリティーが高い時期にトレードを行うと、当たればかなりの儲けが確保できるものの、どうしても突発的な動きに飛び乗る形になりやすいので、損をするときは大損してしまいがちです。その点を踏まえて、今週もマーケットを楽しんでいきましょう。

主要3会合の織り込み状況振り返り

さて、先日の記事でもお伝えしましたが、重要なのでもう一度振り返っておきましょう。

アメリカのFRBは、今回の6月会合で利上げ停止、7月には0.25%の利上げ、9月はそれを維持、11月以降に利下げを行うという織り込み状況になっています。

ただし、これはあくまでも投資家サイドでの織り込みであることには注意を払う必要があります。これまで、パウエルFRB議長は「年内の利下げは考えてすらいない」との発言を何度も強調してきました。現状の織り込み具合はこの発言と矛盾しており、投資家がアメリカの景気に対して非常に楽観的になっていることが分かります。

もし、FRBがパウエル議長の発言通りの金利政策運営を行っていくのであれば、11月と12月の会合では「少なくとも」利上げの停止となるのは明らかであり、利下げは来年以降になります。この場合、楽観論に支配された投資家の顔に冷や水を浴びせる形になるので、株価が下落方向へ向かうことは想像に難くありません。もちろん、FRBもデータによって政策スタンスをコロコロと変えますから、発言通りではなく年内に利下げを実行してくるかもしれません。

しかし重要なのは、「もし利下げが年内に起こらなかったら」とリスクを想像することです。十分に注意していきましょう。

出典:CNN

対して、ECBは6月と7月に利上げを実行し、そのあと1年程度は金利を高水準で維持するという観測が為されています。したがって、直近でグングンと上昇を続けるユーロ円相場は中長期的には上昇の圧力が弱まり(下落するということではありません)、レンジのような動きをする可能性が高まっています。

ラガルドECB総裁はずっと「タカ派(=利上げ派)」ですので、発言はそのタカ派成分を調整して噛み砕く必要はあるものの、現実的にはユーロ圏のインフレ率も順調に鈍化しているため、利上げ回数は限られていると想定した方が良さそうです。

出典:Bloomberg

さて、我らが日銀の会合では、金融緩和政策の維持がほとんど決定的であるように報道されています。私も今回の会合に関してはYCC政策の修正などは考えておらず、ほとんどの確率で政策は維持されるはずです。

その背景根拠として存在するのが、基調的な物価上昇率(目標値)が2%に到達するまで、金融緩和を粘り強く続けていくという日銀の考えです。4月の日銀リポートでは、2023年度中には2%目標を達成できない見通しであることから、今年度中に政策が修正される期待は薄そうです。

企業物価指数は伸びが鈍化

さて、本日のニュースをチェックしていきます。日銀が12日に発表した企業物価指数は、予想5.5%に対して5.1%と、インフレが予想よりも鈍化していることを示す内容でした。既に述べたように、日銀は物価上昇率の目標値2%に向けた金融緩和(=物価上昇率を引き下げる)を続けていくわけで、今回の企業物価指数の結果は緩和を修正する期待が高まったと言えます。

企業物価指数は3ヶ月程度の遅れを伴って消費者物価指数に影響を与えるので、今後は日本のCPIも低下していくことが予想されます。

出典:CNN

米マーケットは楽観論が支配、しかし……

話は変わってアメリカ。

最近の米マーケットでは、ナスダックやダウといった主要指数は続伸を続けており、投資家は楽観ムードに包まれています。去年の株安では金融政策が見通しが不透明でも株価が安定しやすい大型株に資金が流入していましたが、最近の株高は小型株への資金流入が増えています。

このような背景には、米経済のデータが非常に底堅く、米景気が後退するという1年前からの期待が薄れてきた要因があります。

出典:ロイター

しかし、これからも景気が底堅く推移し、株が上昇を続けるという見方を全面的にサポートできるかというと、それは懐疑的です。

その背景に、不動産企業の収益が悪化している要因があります。確かに米経済全体の経済データは良好ですが、不動産セクターに限って見れば、金利上昇による収益悪化が顕著です。不動産企業が倒産したり不動産事業を売却するような流れが続けば、不動産企業にお金を貸している地銀では資金が回収できなくなり、貸し倒れによって地銀の破綻が連鎖していく可能性があります。

この場合、失業率が上昇して米経済は悪化していきます。それに伴ってFRBの利下げ期待が高まるので、歴史通り利下げ転換後の株安が始まるというわけです。

出典:Bloomberg

テクニカル:日経平均

日経平均は足元で非常に強い上昇を見せているものの、短期的には過熱感があり、いつ大きめの調整が起こってもおかしくない状況です。基本的なスタンスとしては、このままの上昇に賭けて積極的に買っていくというよりも、一度調整(押し目)を待ってからの買いを検討したいところです。

いつも通り、値動きは①上昇、②レンジ、③下降、の3パターンを想定しておきます。調整に転じた場合は、直近高値の30,800円程度を想定、下限は200MA付近の26,000-27,000円を想定しておきます。

テクニカル:ナスダック

ナスダックも直近では上昇が続いていますが、日経平均と同様にこのまま上昇が続くとは考えていません。一度調整を待ってからのロングや、年初来のトレンドラインをブレイクした場合には抜けたところからショート、あるいはその戻りからショートを打っていくという方針です。

テクニカル:ドル円

ドル円は円安方向への流れが続いていましたが、直近ではややレンジ気味になっており、これから一段上のステージへ円安続行できるかは疑問です。

もし円安の流れが続くとしても、短期的な上昇目処はフィボナッチエクスパンションの節目である141.4円(ヒゲ先でもう少し抜ける可能性はあります)程度。財務省が行った前回の為替介入を考えると、このまま150円を突破してぐんぐんと上昇する可能性はないと考えた方が良さそうです。

下落方向へは、同じくフィボナッチエクスパンションの各節目でサポートやレジスタンスが機能していくことを想定してトレードしていきます。

noteでは文字情報で、Youtubeではエンタメ的に投資情報を発信しています。

noteとYoutube(https://www.youtube.com/@raytoko)の両方で毎日投資分析を発信しています。

  • noteは文字情報でしっかりと考察を行いたい方向け

  • Youtubeは「現役トレーダーの生の声を聞きたい」「短時間でコンパクトに情報を取り入れたい」「エンタメ的に相場を楽しみたい」といった方向け

上記の2パターンで経済や投資に関する分析を提供していますので、ぜひnoteのフォロー・Youtubeのチャンネル登録をよろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?