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データスペース(Data Space)の歴史をおさえる

国際データスペース協会(IDSA)は、データの所有者がデータのアクセス権や使用条件を制御できるセキュアなデータスペース(データ共有スペース)の概念を提唱しているが、今回は、その全体の歴史をおさえておく。NTTデータのサーベイがかなりよいので、そちらを要約すると以下のようなイメージになる。

(1)アカデミア:データマネジメント分野の流れ
2005年、データマネジメントの分野でUCBのMickel Franklin他、論文“From Databases to Dataspaces: A New Abstraction for Information Management”の中で、データスペースを「多数のシステムに散在する多様なデータを、統合するのではなく共在(co-existence)するものとして扱うアプローチ」を示す概念として提唱

(2)ドイツの連邦教育研究省・Fraunhofer研究所の流れ
2015年、ドイツの連邦教育研究省の支援により、Fraunhofer
研究所による「ISD initiative」がスタート。IDSのデータスペースの概念に基づいて設計されたアーキテクチャは「IDSリファレンスアーキテクチャモデル(IDS-RAM)」として文書化され、Fraunhofer研究所のIDSプロジェクトはドイツ産業界にも波及。2018年には「International Data Spaces (IDS)」と名を変え、非営利団体「International Data Spaces Association (IDSA)」を組織するという流れに。

(3)欧州委員会の流れ
2018年4月、欧州委員会が公表した「共通欧州データスペースに向けて」指針を出し、2020年2月にに公表した「欧州データ戦略」指針の中で打ち出した「欧州データスペース(European data space)」のビジョンの提示という流れである

(4)Gaia-Xの流れ
2019年10月にドイツ連邦経済エネルギー省(BMWi)が発表したオープンで連邦型(federated)のデータインフラストラクチャの開発と、そのインフラ上におけるデータ交換のエコシステムの形成を狙いとしたプロジェクトで、その狙いはECが示す欧州データスペースと類似しているものであることを当初から表明。ドイツ政府が提唱したGaia-Xはフランス政府の支持を得、2021年1月に非営利団体「Gaia-X European Association for Data and Cloud AISBL」として正式に組織化。

欧州で推進されるデータスペースとは?~データ共有の新しい潮流~ | NTTデータ - NTT DATA | DATA INSIGHT | NTTデータ - NTT DATA
を参照

*Gaia-Xについては、2019年にドイツ・フランスの両政府を中心に発表され、現在では欧州を中心とした世界25カ国へと広がっている。ベルギーの国際法にもとづく「非営利組織」。現在、300以上の企業・組織が参加し、90以上の事例が生まれている。

以上がデータスペースの簡単な流れである。

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