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好き・肉・クソリプ・プリミティヴ

クリプソ氏の美徳は、小説を読まないことだった。
2,3行噛んでは捨てる。2.3行噛んでは捨てる。
そうやって、めぼしいとこだけ抜き出し、吐き出し。それが芸術という名の新しい料理だった。
人々は吐瀉物という新しい料理に群がった。
栄養なんかなくていいのだ、目新しいことが。
そしてまた、自分の吐瀉物を他の人に食わせた。
クリプソ氏が生んだのは料理ではなくて発想だった。
クリプソ氏の任務は目新しい小説――しかし新しすぎてはいけない、骨は昔ながらに、肉付きや皮膚だけが目を惹くもの、あるいはあまりに古すぎて当代の人には新鮮味を与えるもの――を仕入れること。
やがて噛むことすら、機械にやらせはじめた。
クリプソ氏は、本当は機械いじりだけが趣味だった。これで、いじる機械が増える。ただ、いじりたいがための機械を購入する正当な口実ができる、と喜んだ。

クリプソ氏は、寝食を忘れ、死んだ。

食べたーい、でも痩せたーい


食べても食べても痩せたままの脳みそは実はメロンパンみたいな金網で、網目から知識が全部逃げていくんだ?


昨日読んだウェブニュースのうちいくつを覚えてる?


すぐに忘れられるように書くのが彼らの務め。噛まず呑み込まず、また「食べ」に来てくれるから。

熱源の中でただただ言葉がだらしなく煮えている。

本屋さんに並んだ言葉は永遠で腐らないはずだった。
なのにプリシソ氏が噛み砕いて吐けば、挽き肉のようにすぐ明日が賞味期限になる。しかし揚げたてのコロッケのように行列ができる。

もし、自分が牛に生まれたら、最後は挽き肉になって死にたい。
そのほうがいろんな人の身体の中に行ける気がするから。そのほうが誰でもなくなれるから。
私は誰でもなかったはずなのに、誰かになってしまったとしたら、早く解散したい。音楽のように、音楽性の違いで解散したい。たまたま隣に並んだ音符のように、一瞬並んですぐ散って、すぐまた新しい音楽になりたい。


だから、私の文章をどうかちゃんと読んでください/適当に読み流してください。


賞味期限は明日です。

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