意外と知らないポケモン基礎知識~レベルが与える影響と経験値タイプ~

ポケモン新作発売まで残り1ヶ月を切りましたね
一般に「第○世代」(Gen○) と呼称される本家シリーズの1人プレイモードの攻略難度は、他のロングランのRPGシリーズと比べても非常に低く設定されています
ゆえに「対人戦を意識した育成を始めるまでがチュートリアル」などという言われ方もしますが、細かく見れば難易度が低いなりにバランスの取れた多様性のあるつくりをしており、意外と考える余地は多いです
考えながらプレイするゲームは…楽しい!ということで、対戦勢が見落としていがちな要素を紹介することでシナリオ攻略をより楽しんでもらおうというのがこの記事の趣旨です

ポケモンによってレベルの上がりやすさは違う

ポケモンの各系統にはそれぞれ一般に「経験値タイプ」と呼ばれる設定があり、これによってレベルの上がりやすさに差がつけられています
「各系統」と書いた通り、経験値タイプは進化しても絶対に変わりません (以下、ポケモンの系統名から「系統」を省略して記す)
主に4種類存在し、各タイプのLv100に到達するために必要な合計経験値量をそのまま冠した名前で呼ばれています
以下で軽く解説しますので、太字の部分だけでもかいつまんで読んでみてください

・100万タイプ

全ての基準となる経験値タイプで、該当するポケモンが最も多く、合計経験値がnの3乗に達したときレベルnになるという単純明快な特徴を持っています
良くも悪くも基準であるため、これといった強みがないタイプという印象が強い
必然的に捕まえた時の現在経験値量がnの3乗になるため判別しやすいです
他の項で述べる特徴に当てはまらないポケモンは基本的にこのタイプに属します

・80万タイプ

成長が早い経験値タイプで、100万タイプの経験値テーブルの全数値に0.8を掛けると80万タイプの経験値テーブルになります
要するに100万タイプの1.25倍育ちやすいタイプということです
マスコット的な見た目のポケモンに設定されることが多く、80万タイプのポケモンを一覧で並べると圧倒的なピンク率が目立ちます
第二世代くらいまでは「むしタイプは成長が早い」というのがしきりにアピールされていましたが、80万タイプのむしタイプはレディバとイトマルしかいません
あれはあくまでも進化レベルが早いことを指していたのでしょう

・125万タイプ

成長が遅い経験値タイプで、125万タイプの経験値テーブルの全数値に1.25を掛けると125万タイプの経験値テーブルになります
要するに100万タイプの1.25倍育ちにくいタイプということです
シンプルに取り回しが悪いのですが、準伝を含む伝説のポケモン・600族・UBは全てこのタイプであるため、該当するポケモンは100万タイプの次に多くなっています
第三世代までは海に棲むポケモンや無進化ポケモンもだいたいこのタイプでしたが、RSにおいてナマケロ・ラルトス・ココドラ・ラクライといった序盤に目をつけそうなポケモンたちを軒並みここにブチ込んだことで異常にレベルが上がりにくくなった印象を与えたのを反省したのか、第四世代以降は露骨に数を減らしています
とはいえ以降の世代でもこのタイプを持つ無進化ポケモンは多いです

・105万タイプ

序盤は最も成長が早く、徐々に平均的なペースに近づいていく経験値タイプ
ややこしいため書きませんが、この105万タイプに使われている3次式はRPG史上に残る発明のひとつだと思います
数学にそこそこ以上明るい方はぜひ調べてみてください

レベル30までは80万タイプより成長が早く、レベル68までは100万タイプより成長が早い、文句なしでシナリオ攻略における最強の経験値タイプ
ゲームの進行を円滑にするためか、全ての御三家と、ゲーム序盤に登場する2進化ポケモンの多くが該当します
ホウエンでは先述の通り後者の枠が125万タイプに差し替わった代わりに、中盤の砂漠に登場するナックラーとサボネアが105万タイプになるなどしました
上の特徴に当てはまらないポケモンであっても、全世代を通して100万タイプに該当しそうなポケモンの中からランダムに選択される傾向があり、105万タイプのポケモンを逃さず見つけることがシナリオ攻略においてはかなり重要になってきます
例としてRTAで活躍するポケモンを挙げると、8割以上は御三家だけで突き進むチャートであり、ピカチュウ版のニドラン♂、XYのルカリオも105万タイプです
2世代にわたってチャートに登場するドリュウズは100万タイプですが………

レベルが上がりやすいポケモンはそれだけで強い

詳しくはおまけで解説しますが、こうげきの値が同じである場合、レベル30のポケモンが繰り出すずつきで与えるダメージは、レベル20のポケモンが繰り出すずつきで与えるダメージのおよそ1.4倍になります
種族値やら努力値どうこうを気にするより遥かに大きな差であるため、シナリオ攻略においてはとにかくレベルが上がりやすいポケモンが強いです
レベル50までを見ると105万>80万>100万>125万の順でレベルが上がりやすく、したがってこれがそのままシナリオ攻略におけるポケモンの優先度となります

御三家が確定で105万タイプなので、楽さだけで言うとそれ1体で押し切るのが考える手間もなくぶっちゃけ一番楽なのですが、近年はがくしゅうそうちの仕様変更と敵ポケモンの強化によって、控えのポケモンにも出番があるケースが増えています
未知のポケモンの経験値タイプを見極めながらより効率的に強いポケモンで旅パを埋めていく体験は、世代が切り替わる新作が出てから数日の間にしかできない、非常に貴重で趣深いものです
みなさんもたまには頭をフル回転させながらポケモンを遊んでみませんか?


・おまけ① (忘れられた経験値タイプ)

数が非常に少ないため上では「主に」と但し書きをつけることで省略しましたが、実は経験値タイプにはあと2種類あります

・60万タイプ

第三世代から新たに登場した、序盤は著しくレベルが上がりにくい代わりに最も早くレベル100に到達するタイプです
どれくらい上がりにくいかと言うと、60万タイプがレベル20になる頃には105万タイプはとっくにレベル25になっています
その代わりレベル71で80万タイプと並んだ後はものすごい勢いでレベル100まで駆け抜けるため、クリア後に育成する分にはめちゃくちゃ気持ちいいレベリングが楽しめます
レベル50までのテーブルを見ると125万タイプと大差ないせいか、第五世代で3系統増えてからは第八世代でカジッチュが追加されるまでまったく音沙汰がありませんでした
全部で12系統しかいないため特徴とかよく分かりませんが、なんとなく深海生物や化石系のポケモンをここに配置したかったらしき形跡は見て取れます
両方に該当するジーランスは125万タイプですが………
新作でカジッチュに次ぐものが現れるのか、注目ポイントです

・164万タイプ

第三世代から登場した、序盤はレベルが上がりやすい代わりに終盤は爆発的に要求経験値が増えていくタイプ
本来は60万タイプの対となるべく設計されたのでしょうが、「序盤育ちやすい」枠には既に105万タイプがおさまっていたため完全に差別化に失敗した悲しきタイプです
わずかレベル21で105万タイプに逆転された後は100万タイプと大差なかったり125万タイプと大差なかったりするラインをふらふらし続け、レベル62で全タイプ中最遅に
レベル100に到達するために必要な経験値量は125万タイプの1.3倍強という冗談抜きで何ひとついいところがないテーブルを持っています
開発側も完全なる失敗作として認識しているらしく、該当するのはわずか8系統、しかもそのうちフワンテを除く7系統が第三世代
今後新たに登場することはおそらくないでしょう

ちなみに、バルビート⇔イルミーゼ、ザングース⇔ハブネークなど、60万タイプのポケモンと対になるポケモンに164万タイプを設定したかったらしき形跡は見て取れるのですが、明確に対になっていると言えそうなのはこの2組だけで、残りはツチニン⇔キノココとかヒンバス⇔ヘイガニとかパールル⇔ホエルコみたいなよくわからん対比ばっかりです (いずれも60万⇔164万)


・おまけ② (レベルが与える影響についての詳細な解説)

あんまり数字の話を長々とやるとテーマがブレるので後ろに回しましたが、分量的にはこっちがこの記事のメインになってしまいました
計算式を読み解いて楽しくなりましょう

レベルが上がるとステータスが上がる

古参プレイヤーなら暗記したことがある人も多いであろう、ポケモンのステータス計算式は以下のようになっています

(種族値*2 + 個体値 + 努力値/4) * レベル/100 + 5

カッコの中にいわゆる3値が入っており、そこにレベルの値を1つだけ含む係数がかかっていますね
これが何を意味しているかというと、ポケモンのステータスはレベルにほぼ比例するということです

レベルが上がると与えるダメージも増える

こちらはさすがにソラで言うのは厳しそうなダメージ計算式は

ダメージ = (((レベル*2/5 + 2)*わざの威力*(攻撃側のこうげき or とくこう)/(防御側のぼうぎょ or とくぼう))/50 + 2) * 各種補正

ここで、(レベル*2/5 + 2) をレベル係数と呼ぶことにします (※一般的な名称ではありません)
見やすくするため、わざの威力をp、攻撃側のステータスをa、防御側のステータスをb、各種補正をmとし、基礎値に加算される定数2を省略して書くと

ダメージ = (レベル係数)・p・a・m/b/50

つまるところ、相手に与えるダメージは自分のレベル係数にほぼ比例すると言うことができます

ステータスが上がると与えるダメージが増える

一方で、レベル係数と同じ項に攻撃側のステータスが含まれていることからもわかるように、当然ながら攻撃側のステータスが上がることによってもダメージは増えます
aとbは先述の通り双方のレベルに比例するため、相手のbが同一であるという条件を加えれば、与えるダメージはレベル係数とレベルの積に比例することになります
(もっと乱暴に言えば「ダメージは攻撃側のレベルの2乗に比例する」というどこかで聞いたことのある表現になりますが、さすがに乱暴すぎるのでやめました)
ダメージ計算式の中で攻撃側のレベルだけは2回登場するから、攻撃側のレベルの影響が非常に大きいというわけです

レベルアップの影響度

レベルは1から100の値をとるため、レベル係数は2.4から42までの値をとることになりますね
レベルとレベル係数のバランス感をおおざっぱに把握するために適当に並べてみましょう

レベル5: 4
レベル10: 6
レベル20: 10
レベル30: 14
レベル50: 20
レベル70: 30
レベル100: 42

レベル10→20で1.66倍、レベル20→30で1.4倍というように、レベルアップの価値はレベル帯が上がるにしたがって目減りしていくことが見て取れますね
言い方を換えれば、レベル帯が低いほどレベル差の影響が大きいことになります
とはいえレベル50→70の1.5倍はあのこだわりハチマキ/メガネと同じ倍率、50→60の1.3倍でもいのちのたまと同じ倍率ですから、高レベル帯でも依然絶大な差と言っていいでしょう

備考

話をシンプルにするためにここまで説明しませんでしたが、ダメージ計算式の各項は小数点以下が切り捨てられてから計算に使われます
レベル1の時のレベル係数は2.4、レベル2の時のレベル係数は2.8ですが、計算時にはどちらも2になってしまい変化がないということです
このことから、かつて存在したレベル50~55のポケモンが混在する対戦ルールではレベル53のポケモンがよく使われていました
レベル52と53の火力差はレベル係数20→21より約1.05倍
対戦においてはかなり大きい差であることが分かると思います
確殺ラインが大きく変わる以上、RTAにおいても重要視されているようで、レベル係数が変化するレベル5n, 5n+3は解説を聞いているとたまに出てきます

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