香川のゲーム60分条例はある種のゲーマーを生むかもしれない


初投稿でこんなトレンディな内容を扱ってもよいのだろうか,と思う.

これを書いている2020年3月中頃,香川県でゲームは1日60分条例なるものが可決された.コレ自体に私はどうこう文句をつけるつもりはない.もうされてるし.

ただ,この条例により,この条例を遵守し育てられる子どもたちはある種のゲーマーを生むと私は感じた

それはRTA勢という名のゲーマーである.

#RTA (Real TIme Atack):ゲームのプレイングスタイルの一つで,ゲームクリアまでの実時間を競うスタイル.縛り(これこれというアイテムは無し,レベル上げ禁止など)があったりなかったりする.


私の身の上話になるのだが,私の家にはゲームをする上で厳しいルールがあった.それは「ゲームは1日30分ルール」である.

ゲームを始める際は母親に申告し,30分に設定されたキッチンタイマーを借り,スイッチを押してゲームを始める.アラームがなるとその時点でゲーム終了,1分超過すると母親から厳しい声が飛んでくる.
そんな規則が我が家にはあった.

さらに
「ピアノで課題曲をクリアしなければ次の月はゲームは2日に1回まで」
「全国学力テストでトップ1割に入れば次週は1時間までOK」
という追加ルールもあった.


制約下でゲームをするにはしっかりとした計算が必要だった.イベントシーン中で30分が来てしまうと強制終了のためイベントに入りそうだったら先にセーブし中断,オンライン対戦(そもそも64世代なのでほとんどなかったが)はしない,といった工夫が必要だった.


当然1つのゲームをするのに時間がかかる.ゲームソフトやハード自体は父親がゲーム好きだったためにたくさんあった.しかし一つをクリアするまでに半年かかったりした.また,必然的に父親の好きなゲームが多くなっているため,そんなに好きでないゲームをやらなければならない時もあった.


そんな中,出会ったゲームがメトロイドフュージョンである.

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このメトロイドフュージョンは「メトロイド」というゲームシリーズ初の携帯機版で,探索をしながらボスを倒していくというアクションRPG?である.
メトロイドフュージョンを買った理由はCMの音楽がとにかくかっこよかったことと,主人公の丸っこいデザインがバリバリに自分の趣味にあっていたからだ.
ちなみに私の好きなロボットアニメはボトムズである.

メトロイドフュージョンは今までプレイしたことのないジャンルのゲームだった.もともとマリオやクラッシュ・バンディクーなどのアクションゲームが好みだった私にとって,シューティング要素が備わったメトロイドフュージョンは刺激的だった.
それまでのプレイしてきたゲームにはサスペンス的要素はなかったのだが,メトロイドにはあった.突然後ろの壁が爆発して敵が入ってきたり,あと数分でボスを倒さないと強制ゲームオーバーになったり,ハラハラしながら,ときにクリアできなくて攻略を諦めたり,また再開したりと楽しんでいた.

しかしここで先のゲームルールが邪魔になってくる.
まだゲームをしたいのに,できない.1体のボスに1週間もかかる.
当時,攻略本を買うのは「なさけない」として我が家では攻略本を買うことはあまりなかった.


3つ上の兄はアクションは好きではなく,メトロイドシリーズはせずに闘神伝やスーパーロボット大戦などの格闘ゲームやシミュレーションゲームをしていた.
ちなみに私がアクションゲームを好きなのは兄のせいである.格ゲーを2人でやると,兄はどこからか仕入れてきた見たこともないコンボで私をボコボコにするのだ.「機動戦士Zガンダム」でも同様だった.サイコガンダムで私の百式は死ぬほどけたぐり倒された.
つまり私は必然的に対戦のないソロアクションゲームをせざるを得なかった.

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↑サイコガンダムの特攻がザクとか言う尖ったゲームだった

閑話休題,ともあれ私にはゲームを30分でどこまでプレイしきれるかという問題に直面していた.
その時だった.当時としては珍しく,1人1台PCがあてがわれていた我が家で私はインターネットという強力な仲間を見つけたのだ.
まだ2chとか個人の攻略サイトがひしめく中,「タイムアタック掲示板」というものがあった.


そこには恐ろしい速さでゲームをクリアする猛者がいた.


すぐさま私はタイムアタック,すなわちRTAの虜となった.30分のタイマーと同時に掲示板で仕入れたルートでメトロイドフュージョンを攻略していく.最初の頃はボスで躓いたりして全体の1/8も進まなかったりした.その都度掲示板で質問すると皆丁寧に返事を返してくれた.

それまではクリアするのに2-3時間かかっていたメトロイドフュージョンが,50分程度でクリアできるようになった.しかし,まだ遅い.30分でクリアしなければならないのだ.

中学受験で進学塾に通っていた私は,小学校に行き,休み時間に宿題を終え,塾へ行き,帰って塾の宿題を終えるとゲームをした.
およそ1年間毎日このルーティンを変えることはなかった.

結局の所メトロイドフュージョンは30分でクリアできなかった.
最速タイムは42分,12分が超えられなかった.当時の世界最速が27分ちょっととかではなかっただろうか.小学生にしては頑張った方である.

メトロイドフュージョンを諦めた私はターゲットを変えた.メトロイドゼロミッションである.

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シリーズ1作目のリメイクである.

同じメトロイドと高を括っていた私は痛い目に合う.なんとゼロミッションはフュージョンに比べてアクションスピードがとてつもなく早い.フュージョンではサムスのジャンプはふんわりとしたジャンプだった.しかしゼロミッションでは素早いジャンプ.

私は大興奮した.もっと速くなれる,と.

クリアまでプレイした後掲示板にかじりついた.見たこともないテクニックで満載だった.片面壁ジャンプ,サンシャイン再起動,アイテム未所持クリア....
とにかく目についた最速攻略を実践した.
そしてその頃には私も攻略情報を投稿するようになっていた.この角は安置だ,とか,このアイテムを先取りすれば30秒の短縮だ,とか.
投稿のたびにレビューが付き,良いだの悪いだの意見が来るのは楽しかった.

しかしそれでも30分は切れなかった.そもそもメトロイドゼロミッションはフュージョンよりもボリュームが多いのだ.最速タイムは49分とかだったと思う.

中学生になって,RTA熱は次第に冷めていった.モンスターハンター2ndGやディスガイアをやり込むようになり,親の見えぬところでゲームをする悪知恵が働き,30分縛りは意味を成さなくなった.

高校生はバンドに明け暮れ,ゲーム自体をしなくなった.

浪人時代にはゲーセンでガンダムvsガンダムEXTREMEをするようになった.猿をたくさん見てああなってはいけないと心に刻んだ.

そして大学生,再びRTA熱が再燃する.BloodBorneである.

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ソウルシリーズは購入して一通りやるくらいであまりRTAなどはしなかった.しかし,BloodBorneは違った.ソウルシリーズとは異なるハイスピードなアクション,そして求められる反応速度,否応無しに私はRTA勢へと返り咲いた.

初期レベ縛り,全ボス縛り,とにかく速さを求めた.特に計測などはしなかったが,かなりの長時間遊んだと思う.この頃には30分縛りはなくなっていたが,それでも身体は速さを求めた

SEKIROもRTAをしたが,BloodBorneほどプレイしなかった.多分人外動画を見すぎたせいだ.

↑こんなん無理やろ


今でもBloodBorneのRTAは時たま行う.聖職者の獣にボコされたりするが,それでも楽しい.一番キライなのはヤーナムの影です.

長くなったが何が言いたかったのかというと,
たとえ制約があろうとも,子どもたちはゲームをするだろう
ということだ.

むしろ制約がある分,濃い奴らが出てくるかもしれない.
攻略Wiki執筆者のほとんどが香川県民とかいう事態になれば面白いなーと思ったり.


-------------以下は単なる私のプレイスタイルに対する雑感です--------------

今現在(2020年3月中旬)プレイしているのはRTAとは程遠いモンスターハンターワールドやバトオペ2,Apex Legends,Warframeなどだ.
実はこの手のゲームはそこまで好きじゃない.攻略Wiki前提のオンラインゲームは試行錯誤を許さない.しかもゲームレベルもそこに焦点を当てられるせいで余計に攻略Wikiを見ざるを得ない.
そして好きにプレイすると罵声が飛んでくる.(実際に私はバトオペ2で複数人による個人攻撃を受け,法的な戦いをしている)

普通にプレイするにも攻略Wikiや動画を強いられるのは嫌だ.
RTA勢,というか私は攻略Wikiを書くためにゲームをしたい

私が「勝てねー!」と言う時,それは「そうだねー」と共感がほしいのであって,直接的なアドバイスはあまり求めていない.自分で切り開くからだ.女性と男性の共感性とアドバイス性の違いみたいなものだ.私を繊細な女性だと思って接してくれ

自分を磨き,それが他者の利益になるのが一番楽しいと思うタイプだ.
あの有名な各ゲーマーウメハラ氏が生放送中でネット民から新しいコンボを教えてもらってすげー!と叫ぶ,あの姿こそ私なのだ.
ゲームの畑は違うけどね.

そういった点でメトロイドシリーズやソウルシリーズはとても相性が良かったのだなと思うわけである.



なのでニンテンドーさん,メトロイドの完全新作待ってます.

メトロイドドレッドはいつになりますか?



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