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不登校と介護

突然訪れた介護

不登校生活が起動にのって、やりたいことが見つかった頃、帰省して一緒に写真をとっていた高齢の親が倒れた。何の前触れもなく。

帰省中だからすぐに発見できて、救急車を手配。コロナ禍だけれど、大学病院が引き受けてくれた。そこから検査などをして、問題ないということで2次救急の病院へ移された。

早朝の出来事で、救急搬送の時に子どもに大声で呼びかけても、寝ていて気が付かない。一刻を争う事態に、起こす暇がない。
飲んでいる薬とか、保険証とかを持って、救急車に乗った。

だから、子どもは起きて、周りを見るとだれもいない。

食べ物は置いてあるけれど、自分で食べる習慣がなかったので、ずっと待ち続けた。10時間も。病院で待機している間に固定電話をかけても、通じない。子どもはスマホを持っていないから、完全に連絡できる手段がない。

親はとりあえず、病院だからもう安心。だけど、人手が足りない病院らしく、病室になかなか行けない。ずっと待機している。やっと、病室へ行くという段階で、「コロナ対策で家族は行けないから会計をお願い」と言われる。ここで、「子どもが家に置き去りにされている、もう10時間も」「飲まず食わずで心配になっている」と訴え、すぐに帰宅した。

連絡手段と安全確認

家に帰ると、何事もなかったかのように落ち着いた子どもが座っていた。
「どうしたの?」と緊急事態ということだけは把握していた。

ホッとして、事情を説明して、お互いに連絡手段をどうするのかを話し合った。
・Slack
・Skype
を使えるようにした。
私がスマホで、子どもはPCで見られるようになっている。
何回か、やりとりを練習した。

ごはん問題

今後、何があるかはわからない。高学年だから自分で食べる方法を一緒に考えた。とにかく、何でもいいから食べる方法を考えようと言うと、これならできると案をだしてきた。

・お湯を沸かす方法を知る
・一人でカップ麺を食べる
・お菓子とぶどうパンを常に常備
これがあれば、何かあっても一人で食べられるということだった。

帰ることができない

次の問題は、帰省中だけど帰ることができないという問題。
幸い、オンラインスクールなので、授業や友達とのやり取りはPCとネット環境があれば、どこでもできる。

親の退院後に利用する、介護ヘルパーの新たな契約を済ませると、耳を疑う話が始まった。

「要介護認定を受けていて、在宅の家族がいる場合は、
 家事サービスは提供できません」とのこと。
え???帰省中なだけだけど・・・
ここから要介護5に変わった親のとてつもなく厳しい介助生活が始まった。

子どものことが見られない

完全に子どものことはできない。
しかも、ヘルパーも、ケアマネも、親も、
だれも子どものことを気にしない!←今考えても異常だった。

ごはんは、親の流動食を作ることに精一杯。自分たちはUberさんに頼んだ。
トイレ・お風呂・おむつ・部屋の清掃・買い物・ゴミ捨て・洗い物・洗濯
すべての時間を介護に費やすことになった。

完全に子どもの様子を見る時間がない。

本当に助かったのは、ネットで繋がっている友達がいたこと。
子どもは友達と何でも話す間だったので、自立できていた。

しかし、こんな生活は良くないと、親のレスパイト入院を提案し、1ヶ月リハビリ入院してもらっている間に、子どもと家に帰った。

そして、私は入院が終わる頃に実家に戻った。
ここから、長い長い別居が始まり、
最終的には、体調が安定し介護度が下がったため、介護施設に入所した。

介護は、家庭と子どもと精神を破壊していった

親と学校に行っていない子どものどちらを見るのか?
世の中は、圧倒的に介護が優先という話しだった。

あとで冷静に見つめると、

普通は、兄弟がいる。一人で介護しない。
実家から通える家族がいる。
子どもが高校生以上で、手が離れているから介護に専念できる。

でも私の場合は、まだ小学生。
住んでいる場所から通える距離ではない。
それでいて、学校に通っていない。
勉強は家でやっている。
子どもへのケアが必要だった。

介護をすると、職がなくなる。
介護をすると、子どもの面倒が見られなくなる。
介護をすると、別居が強いられる。
介護をすると、同居だから家事全部を強いられる。
介護をすると、子どもと離れ離れの生活になり苦しくなる。
介護をすると、自分のことが全くできなくなる。

介護のあり方がおかしい

子どもが優先にならないのか?
不登校でケアが必要なのに?
自分たちの老後は考えてもらえないのか?
こんなに介護で休んだら、職を失ってしまう。
介護サービスがあっても、老人はなんで一人暮らしができないのか?
ケアマネに何回も相談したけれど、
家族が見るのが当たり前という話しかなかった。

この後、精神が壊れた。
幻聴が聞こえ、夜中に飛び起きる。眠れない。
リフレッシュできない。

施設の生活が安定したのを見届けて、家に帰った。
眠れるようになったけれど、燃え尽きた状態だった。
常に疲れ、やつれた。
起き上がれない。
何もできない。

完全に廃人になった。

家族がゆっくり休んでいいよと言ってくれて、涙が出た。