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子どもも自分も健康であるために

不登校生活も軌道に乗ってきた。オンライン教室に参加し、今ではオンライン・スクールにも参加している。何年もまじめに時間を守り学習してきた習慣を崩したくないと自分で時間割を作った。

学校へ行かなくなった時

「学校へ行かない」と言った時から、子どもの気持ちは混乱していた。
一番正直な気持ちは、行かなくていいという嬉しさと悩まなくていいという安心感。これは、まるで夏休みに入ったかのような自由な気分で笑顔でいっぱいだった。

しかし、3日もすると、今度は罪悪感や劣等感が押し寄せてくる。私に「勉強していかないとだよね」「先生に何か出さないといけないのかな?」とそわそわして、図工の教科書を引き出して読んで課題をやったりしていた。私は、「安心していいよ。もう学校の宿題はないから」と伝えた。

夜と早朝に必死になってやった宿題が恐怖で、何か出さないといけないという気持ちになるらしい。「じゃあ、残りのドリルをやってみる?」と聞くと、「そうだね」とさっそく取り組んだ。3日で1冊終わってしまった。

朝は子どもにとって一番頭の回転が良いらしい。赤ちゃんの頃から目覚めが良かった。置きてすぐにいろいろ考えることができる。PDFの教材だと、印刷かタブレットで書き込むことになり、手間と感じるらしい。子どもから「何か練習するものがほしい」と言うのでドリルを1冊購入した。

時間のくぎりがあったらいいな

「何か学習するサイトがないかな?」というので、茨城県の教育委員会が公開している授業動画サイトを紹介した。「すごいわかりやすい」と言って見ていた。私も一緒に見て会話しながら課題をやっていく。

自分でいろいろ勉強したいようだったので、要望があったことをカラフルな時間割に入力して印刷した。

まず、子どもからのリクエストは食事と寝ること。朝は6時起き、夜は20時半に寝る。私のほうが起きられないことがある。これは子どもの特技。

それを入力したあと、午前は好きな学習をしたいとのことで3時間枠で「自習」を入力。午後は、動画編集を少しと、オンライン教室でお友達になった人と遊ぶ時間を入力。PCをやっていても時間をすぐに確認できるようにとアナログ時計をデスクトップに置いた。

「また見直して、どんどん自分のやりやすい時間を見つけてね」と伝えた。

時間割にいろいろな教科が入ってきた

時間割を貼ったら、今度は具体的にできることは何かを子どもが考え始めた。「国語だったら何をしよう?」というので、「自分がやりたいことをやればいいんだよ」と伝えた。子どもは、PCで漢字検索や物語文作りなどやり始めた。

私は、結構いろいろ挑戦するんだなと驚いた。何かをやりたいなと言った時は、「これをやる?」と様々に提案していった。あくまでも裏方。

その日の気分で、物語だけやって終わる日があったり、今日は金曜日だからと3教科くらいを意識して学ぶ姿があった。私は、それに付き合って、学習をサポートしたり、一緒に考えたり、まとめるのを手伝った。

記録にしていく

いろいろなものに挑戦していくので、どんな勉強を、どれだけできたのかを把握しないと、突然続きをやろうと言ってもわからなくなってきた。

そこで、エクセルを使って学習でできたことだけを記録した。子どもも時々入力しているのを見に来て、「結構きっちりやれたじゃん」と自分を評価していた。

今では、時間割・学習の記録・心のチェックシート・ネットのルールができあがった。どれも子どもからのリクエスト。心のチェックシートは、時々不登校のことが不安になるようだったので、不安や前向きな気持ちの変化が可視化できるように10段階で自分を見つめるシートを作った。

体・心・社会に対しての3項目。それぞれに10問の問いかけがある。
日本はカウンセラーとの距離が遠い気がする。もっと気軽にセルフチェックできればいいなと思った。子どもからは、段々充実している様子がわかると言ってもらえた。

オンライン・スクールに参加して

オンライン教室が楽しいので、同じ会社がやっているスクールに参加した。
動画編集やタイピング、プログラミング、デッサンなど、どれも好きなものばかり。自分から授業に入る前に予習をするようになった。

そして、スクールに参加している子どもたちとも新しい交流が生まれ、仮想空間で一緒に遊ぶようになった。約束をしたり、偶然その空間で会って遊ぶことにしたりと、スケジュールの追記修正が慌ただしくなった。

現実の世界では、地域の大人と会話ができないくらい怖いらしいけれど、仮想空間ではビデオをオフが当たり前なので、音声だけですごく楽しいやりとりで盛り上がっている。時には一緒に歌を歌ったり、Minecraftの話をしたり、近況や相談をしたりなどしている。

この時間がとても大切だと心から感じた。優しさ、思いやり、目上の人への気配り、間違った時に正直に謝り、許したりと、これが本来の人との付き合い方だと思うことが多い。誰ひとりとして相手を否定しない。この交流の時間を自由に取れるように時間割をつめこまないように声かけした。

記録を通して見えてきたもの

5教科は学校と同じくらいボリュームでできている。学校より空き時間が多いので、友人との交流の時間が多く取れている。このようなことが記録を取ることで見えてきた。

足りないのは運動の時間。農家さんへ手伝いに行く時間を週に3時間入れた。他にウォーキングのプランも用意した。自主的に選ぶようになっている。1ヶ月を目安に、改善しているか確認して声かけしようと思う。

スクールの授業内容が変化していくのもあり、予習するにはリマインダーを兼ねて詳細な予定表が必要になってきた。今では、オンラインのカレンダーを中心に毎日の予定を確認するようになった。

家庭内Slack

「デジタルで描いた絵を見て」「授業のURLってどれかな?」
「学習できるサイトがないかな?」「学年で習う漢字一覧ないかな?」
と子どもから言われたり、

「今度の授業の流れが案内来ていたよ」「やることリストが来ているよ」
「時間変更の知らせがきたよ」「お弁当屋さんのお休みカレンダーはこれ」
など私からのアナウンスも増えた。

あまりにもメモ帳でやり取りが大変で量が多くなったので、
スクールでSlackを使っているなら、私ともSlackやろうかと提案した。
家の中でSlack?とかなり抵抗感はあったものの、かなり効率がいいことがわかった。授業で制作した画像もすぐに見せてもらえて嬉しい。
子どももお気に入りのYoutubeサイトを紹介したりなど会話が盛り上がる。

まだメールアドレスは使っていない。当面Slackでやっていこうと思う。

嬉しい変化

楽しい経験が多くなると、顔の表情が明るくなる。鼻歌を歌ったり、部屋でHiphopダンスの振りを自作して踊ったりしている。なんとも陽気な感じ。

そして、家でも係活動をしたいと始めた窓拭きが習慣となり、家の窓は透明度が上がった。霧吹きが面白いらしい。西部劇のマネをしながら霧吹きをして、布でテンポよく拭き取っていく。でも洗濯や掃除機がけはなかなかやらない。会話をしながら一緒にやるようにしている。

プログラミングは、学習する時間が増えたことでかなり進んでいる。そして
Slack、Zoom、CLIP STUDIO、Premiere Proなどを自由に使いこなしている。
すでにわからない言葉で話している時がある。自分が分からなければいけないのかと、調べていくけれど追いつけない。すでに子どもは自分でわからないことを調べる力がついていた。親がわからなくても大丈夫な様子。

自分の時間割に休日を作る

走るように過ぎていった毎日。やっと時間割ややることが定まってきた。相変わらず、学校や教育委員会からの働きかけはない。とても静か。学校へ行っていた日と比べると、子どもといる時間が増えた。いろいろと見えて嬉しいけれど、少し疲れを感じるようになった。子どもにとっても、1人になりたい時間があると思って、「週1でお休みをもらおうかな」と言うと、「ぼくは大丈夫だよ」と返してくれた。

子育てや不登校は1人で抱えて、1人で奮闘することが多い。親自身もケアが必要と感じる。ネットのセキュリティや許可したアクセスなどの管理ができていれば、安心して外出できる。散歩しながら写真を撮ったり、ベンチで本を読む時間にしようと思う。親も健康的であるために時間割が必要。

地域での対話

不登校で悩んでいるのは、自分くらいだと思っていたら、地域の人から声をかけてもらえて、正直に話しをしてみると、不安に思っている人が何人もいることがわかった。

お互いの悩みを話したり、実践を紹介する時間を設けることになった。この対話が継続するかはわからない。不登校と言っても状況は様々。どのように思われるかはわからない。でも1人ではないことが心強いと感じた。