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小さいビジネスマン

旅をしながらオンライン生活をして、子どもはどのように過ごすのか?何に興味を持つのか?分からなかった。様子を見ていくと、どうやら世の中の職業や仕事、仕事への姿勢に注目したようだった。将来の自分が不安で、こんな自分でも仕事ができるのか挑戦しているかのようだった。

どこでもつながることできる安心感

一番嬉しいことは、オンラインで仲間とつながること。ネットがつながれば、移動しながら滞在先で授業が受けられて、Slackでディスカッションや雑談ができる。最近は、新幹線の中でもリモートワーク専用車両があり、移動中でさえもつながる便利な世界。

そのため、電車での移動にはPCが欠かせない。PC用のBAGには、電源コードやコネクター、マウス、キーボード用のクッション等が入っている。Wi-Fiの情報さえあれば、新幹線の中でも設定を開いて接続ができる。

早めにホテルに到着し、荷物を預ける時も、さっとノートPCのBAGを取り出し、残りを預ける。そしてロビーのテーブルでバナナジュースを注文してから、ノートPCを取り出して作業をしていく姿は、小さなビジネスマン。マウスのクリック音が周囲に迷惑かと、ショートカットキーを設定して作業をしていく。マナーも自分なりに考えている様子。

PC1台でいろいろできる作業

マイクラの建築やブロックの計算、動画の編集、写真の加工、Scratchでイラスト作成やプログラミングの他、仲間と行う企画内容をつめたり、思ったことをメモアプリに入力したり、Slackに書き込む。誰かの書き込みにすぐに反応し、リアクションする。紹介したい動画や音楽はURLを添付する。

オンラインスクールの授業の時間には、声出さなくても参加ができるようにチャットで書き込む。授業やオンラインで遊ぶ約束は、Googleカレンダーを使って確認し、家の予定も書き込み、電車の時間に予定がかからないように調整している。

旅行の荷物にはipadも入っていて、集中して何かのアイデアをまとめる時はgoodnoteを使っている。オフラインで使う機会が多く、Kindleに漫画が入っていたり、動画配信サービスでオフラインでも見られるように予め見たい映画やドラマ、アニメをダウンロードし、Bluetoothイヤフォンをつけて見ている。

苦にならない大事な荷物

こんな感じの生活だから、荷物の中身は専用のキーボードとケースの他に、PCや周辺機器で半分は埋まってしまう。服を減らして毎日洗濯を強いられてもこれらは減らさない。重いけれど、苦にならないらしい。旅先でホテルの人が、子ども用リュックなのに、見た目と違い重くて驚いていた。

ランドセルは重いと苦痛を訴えても、今のリュックの重さは全く苦にならない。それは中身をとても大切にしているから。1つ1つ意味のある大事な機材たち。誰にも馬鹿にされない自分の実績が詰まっている。子どもにとって必要不可欠なお仕事道具。

ホテルの部屋から出る

自宅の部屋で長く過ごすようになってから、旅行をしてもホテルの部屋で過ごす時間が多い。外に行きたくないなら仕方ないと思うけれど、外にはどんなメニューがあるかは伝えてみた。

・子どもが自由に走り回れて登ったり降りたり遊べる場所がある
・室内で好きな素材を好きなだけ使って自由に工作できる場所がある
・海岸を散歩できる場所がある
・新鮮な魚介が食べられる回転寿司がある
・地元でおいしいラーメン屋がある
・いろいろな本が自由に読める場所がある
・動画素材に使えそうな映える場所がある
・景色を見ながら特別な列車に乗れる←マイクラの世界観が広がる
など

すると、行ってみようと外へ出る気になった。一緒に旅先で行動できるのは嬉しい。新鮮な魚介を食べて美味しいと感動したり、海岸に行って波打ち際に立って波を見ているだけだったり、その他工作室で漫画を描く、キャラクターを描く、外食でラーメンを食べる、本人なりに楽しむことができた様子。

でも最後は、「外は疲れる~」と言って室内へ。体力が落ちているから。だけど、楽しいこともある。少しずつ、一歩ずつ。できることから新しいものが見られたらいいなと思った。

一番楽しかったのは、走り回れる場所で滞在先の小学生との出会いと言っていた。一緒に鬼ごっこをして遊んだことらしい。相変わらずリアクションは薄い。どうやって仲間に入ったのかは不明だけれど、一緒に遊んでいた。どんどん新たな出会いを求めるとはいかないけれど、リアルな小学生と久しぶりに遊べて楽しそうだった。

合意や解決の仕方

室内の遊び場では、2日連続で地域の子どもの輪に入れてもらえた。メンバーはほとんど違う。1日目は隣の市から来た兄弟がリーダーでしきっていく。2日目は学童グループの中で話し合いしながら遊んでいた。

1日目のリーダーは4年生。みんなが平等にと意識して意見をきいていく。つまらなくなったら、休憩して次の遊びをみんなと話し合っていく。見事なリーダーシップだった。

2日目は、強いタイプの4年男児が2人。強い子が自分の都合の良いようにルールを捻じ曲げていく。それを学年が下の子が指摘していくけれど、言うことは聞かない。誰かがターゲットになり集中攻撃される。その様子を見て、集中攻撃されている低学年の女児に鬼をかわってあげた。今度は自分が集中攻撃を受ける。けれど気にしない。疲れたら、自由に座って休むくらいの余裕な態度を見せた。

強い子は私と目が合うと、「一人狙いはよくないよね。やめよう」と独り言を言い、別の子を追いかけた。これが本来子ども達が持っている力だなと感じた。ある程度やりたくなってしまうことは誰にでもある。でも、少ししたら立ち止まって考えて、自分を律して行動を変化させていく。地元の小学生に一緒に遊んでくれてありがとうと感謝を伝えた。

職業としての接客と人間性

旅先では、PC作業の合間に観光を取り入れる。1箇所行けたらいいなというくらい。その少ない時間でも様々な人々に出会う。

タクシーの運転手さん、ホテルのフロントの方やドアマン、ペルキャプテン、人力車のお兄さん、観光お協会の方・・・

親のやりとりを近くで見ている子ども。「ここの人って、やさしい人が多いね。ここに住む?」と言ってくる。そして「だけど、仕事だから優しいことを言うんだよね。お金もらっているから。」という。

ホスピタリティの話をした。ただお金をもらって提供するサービスと、そのサービスを心をこめて提供する場合と受ける印象が違うこと。そして、特に日本は、とんでもなく奥深いホスピタリティの世界がある。言葉・しぐさ・態度・心遣い・相手の状況を察する目・出しゃばらずにさりげなくお手伝いするスキル・・・。これらは、その人の個性や持っている人間性によって違うからマニュアル通りにしても表現できないんだよと伝えた。

世の中には人間性が良い人はいっぱいいるよと言うと、うなずいていた。でも傷ついた心は、なかなか癒やされない。こうゆう風に感じても、じゃあ話しかけてみようとはならない。少しずつ温かい思いやりの心を経験して本人が変わるのを待つしかない。ゆっくりと。あせらずに。