東京駅丸の内中央口
あの日はすべてがモノクロだった気がする。
何度思い出してもあの日の思い出はモノクロだし、
いつ行ってもモノクロの思い出しか残らない。
東京駅丸の内中央口から見る外の世界はいつもモノクロで、
冷たい鋼色をしている。
強い日差しが体の中を通過する。
だから影は黒くて長い。
白と黒のコントラストが、わたしの胸を潰す。
冬のビル風が、わたしから体温を奪ってゆく。
あの日の思い出が強すぎるから、わたしはいつもあの冬の日に戻ってしまう。
熱い抱擁と別れの儀式。
悲しいほどの青空は、冷たい冬にしか存在しない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?