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ノースシ・ノーライフ(6-4)

「実はですね……」
「君が探しているポイントは、すでにそのUNIXに表示しておいたよ。後はメモするなりなんなりして、早く探しにいきたまえ」

神速!レインボーフードが振り向くと、そこには確かに画像のアパートの住所が表示されていた!インターネット廃神ハッカーの恐るべき力に、デジタルツール弱者のレインボーフードは恐れおののくばかりである!

「あ、ありがとうございます……これ、よろしかったらどうぞ」
「おお、いただいておこう。ハッカーニンジャといえど、スシは大好物だからな」

レインボーフードがおずおずと差し出したバイオタッパーを受け取り、中のオオトロスシを確かめるとダイダロスは口の端を上機嫌に吊り上げた。トロスシはハッカーのニューロン速度を、ブーストする効果があることで知られている。

「あのですね」
「ん?もう用は済んだのではないかね?」
「ああいえ、テック弱者なものでして、後学の為にどうしてすぐ自分が探している物がわかったのか教えていただけると……」
「ふむ、謙虚な上に勉強熱心なのだな君は。他のニュービーも、せめて君の3分の2程度はインターネットとUNIXに好奇心を持ってくれると、私の仕事も楽になるだろうが」

ダイダロスが指を弾くと同時に、共用UNIXルーム中央の大型モニターが前触れ無く点灯、そこには捜索対象となる黒髪ボブカットとケモ動物の姿がずらりと画像にて並んでいた。

「まず、ソウカイヤの所有UNIXはすべて私が監視ログを追っている。どのUNIXでどんな操作が行われているかなどすべて、だ」
「そんなことが可能なんですか?」
「可能だとも、ニンジャでなくともね」

それはまるで神にも等しい所業にも、レインボーフードには思われた。だが、ダイダロスは実際その行為を鼻にかける様子はまったくない。

「君の持ち場は本来スシの板場だと言うことも、当然知っている。そんな君が元旦にUNIXをいじりにくるなんて、緊急の探しものがあると大声で叫んでいるようなものだ」
「お、おっしゃるとおりで……」
「で、後は君の操作内容から探しものを特定して、ネオサイタマ中の監視カメラからお目当てのケモ動物の監視画像を抽出、監視カメラの設置場所と照合して索敵ポイントを特定した、という流れだね」
「すごすぎる……」
「ハッハッハ、もっと褒めてくれてもいいのだよ?裏方ばかりやっていると、中々賛美を受ける機会もないからね」
「スゴイデス!流石シックスゲイツ!」
「ハッハッハ!素直で実に結構!ああ、それとその少女はおそらくニンジャだ。ソウカイヤにとっては特段の害も利益も無い故、捨て置いているが接触するなら、十分に気をつけ給えよ」
「アッハイ、キヲツケマス……」

盛り上がった気持ちが一気にお冷レベルにまで、下がった。
モータル相手ならばサンシタのレインボーフードといえどなんとかなるが、ニンジャ同士の戦いとなれば命がけとなる。それはすべてのニンジャに言えることだ。

「それでは、行ってまいります。ありがとうございました。あ、最後に一つだけよろしいでしょうか」
「何かね?」
「その、年越しから元旦までお仕事を?」
「そうとも。なに、ハッカーに限らず、攻撃者はこうして世の中が浮かれている時こそ狙ってくるものだ。もっともちょっとした役得も期待していたのだが、そちらはあてが外れたようだ」

ダイダロスの口元がわずかに微笑を刻んだ。
レインボーフードは、これ以上自分に付き合わせるのもシツレイを感じ、会釈の後奥ゆかしくUNIX共用ルームを退出する。

【ノースシ・ノーライフ(6-4):終わり:(6-5)に続く第一話リンク

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