ノースシ・ノーライフ(6-6)
「……まあいきなりカラテしてこなかったし、良いぜ。上がんな」
「アリガトゴザイマス!」
「ただし!カラテは無しだぜ、おっぱじめたらこっちも容赦しねぇかんな」
「アッハイ、それはもう……こちらからもオネガイシマス」
ペコペコと卑屈に頭を下げるレインボーフードを前に、エーリアスは嘆息と共にドアのチェーンを外した。
「お邪魔します」
「あいよ」
奥ゆかしく上がりこんだ先のエーリアスの部屋は、実際パンクロック・ファッションを彷彿とさせる黒赤骨ベースのデザインに占領されていた。所々、場違いに質素平凡な家具が点在しており、それがレインボーフードにちぐはぐな印象を与える。
「座んな、ああそっちのパンキッシュなのはダメだ、持ち主が怒る」
「アッハイ」
レインボーフードが部屋の雰囲気にそぐわない、クリームカラーのクッションに正座すると、エーリアスは台所から湯気立つ湯呑を伴い、彼の対面へと胡座を組んで座り込んだ。
「それで、ケモ動物だよな。先になんで探してっか教えてくれるかい。まあ大体察しはつくけどよ、念の為な」
「実は、ウチのスシショップに出入りしているケモビールの方から、捜索を頼まれまして……」
「あー……だよな、そうだよなぁ。ケモ動物だもんな、野良じゃないよな」
どことなく自分に言い聞かせる様な口ぶりで反応したエーリアスは、何度かうなずいた後にちゃぶ台に乗り上がってレインボーフードの眼を覗き込んだ。
「で、ちゃんと無事に送り返すって約束してくれんのかい?」
「約束します!なんだったら、ケモビール営業の方に迎えに来てもらうのもアリです!」
「ははっ、気が利くんだなアンタ」
エーリアスは、パンクロック家具をかき分けると、黒のカーテン布に遮られ隠蔽されていたフスマを音を立てずに開けてみせた。ケモ動物。寝息を立てている。
「ケモモモモモモ……ビィィィィィィル……ケェェェェェモ……」
「今寝てるんだ、起こさないでやってくれ」
「はい、それはもう。承知しました」
「あんがとな」
閉じられるフスマ、座り直すエーリアス。
「アイツは昨日、俺がバイトの帰りに見つけたんだ。ケモ動物って、時間になったらケモビール社屋に帰るだろ?でも、アイツは帰る道がわかんないみたいでよ……放っておくとネオサイタマだからアブナイだし、野良だったら与太者に食われちまうかもしれねぇ。だからつい、な?」
「わかりました、営業の方には保護してくださっていたとお伝えします」
「助かる、探しに来てくれたのがアンタで良かったかも……」
その時、玄関が真っ二つに折れた状態で、二人の真ん中を通過した。そして奥のフスマに激突し、玄関はフスマごと窓をぶち破り外へと飛び出していった。
「なっ!?」
「新手!?アンタの仲間か?」
「私はボッチです!」
雷光を逆光として浴びながら、土砂降りの雨の中踏み込んできたのは……やはり、ニンジャであった。それもただのニンジャではない。赤くさしの入った生肉ニンジャ装束のニンジャである!
【ノースシ・ノーライフ(6-6):終わり:(6-7)に続く:第一話リンク】
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