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繁華街、爆発、炎上

「ったく、日本のデビルはイカレとるのう」
 噴煙立ち込める瓦礫の山、いな、先ほどまで繁華街であった場所はいまや爆発によって酸鼻極まる惨状と化していた。スーツのサラリーマン、制服の女子高生、太っちょのコック……その誰もが例外なく傷を負って赤く染まる中で、こじゃれたスーツにハンチング帽をかぶった白髪の老紳士がどういう訳か無傷のままに手近な負傷者へとしゃがみこんでいた。
「う、う……自分の事は、いい……他の人を」
「黙っとれ!どっちみち優先順位的にはオヌシが先じゃ!」
老紳士が迷彩服の男性、その開腹された裂傷に手を掲げればアリの群体の様に銀片が傷跡に群がり修復を開始する。だが、
(いくら何でもワシ一人じゃ手が足りん……後一人、誰かおらんのか……!)
 このままでは手遅れになってしまう者が出る、最先端の秘匿治療ナノマシンを駆使する男、ヴィクターは祈るような気持ちで周囲を見回した時、同じように犠牲者を治療する人物と目があった。
 その男はまるで血の池から抜け出たような外套に、種々雑多な凶器を括り付けており、その腰にはこれまた赤黒く禍々しい大太刀をさしている。日本人らしき黒髪を振り乱して男が中年男性の裂傷腹部に指先をなぞれば神仏の奇跡の如く傷が埋まっていった。だがその速度は決して早いものとは言えない。
(アヤツ……何者かは知らんが使えそうか!)
 迷っている暇はない、こうしている間にも刻一刻と負傷者の命脈は損なわれていっている。ヴィクターは決断的に地獄めいた鬼気迫る目をした男へと声をかけた!
「オヌシ!名は何という!ワシャヴィクターじゃ!」
「……無明……!アンタは医者なのか!?」
「一応な!」
「こっちは素人だからどいつが先に死にそうかまではわからん!優先順位を教えてくれ!」
「おうとも!話の分かるヤツで助かるワイ!」

本稿はジョン=久作さんの『【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿』とのクロスオーバー作です。本編はまた時間のある時に(震え声)

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空想日常は自作品のワンカットを切り出して展示する試みです。
要するに自分が敬意を感じているダイハードテイルズ出版局による『スレイト・オブ・ニンジャ』へのリスペクト&オマージュになります。問題がない範疇だと考えていますが、万が一彼らに迷惑がかかったり、怒られたりしたら止めます。

現在は以下の作品を連載中!

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主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

#毎日投稿 #空想日常 #掌小説 #ボンズウィズディテクティブ

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