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ノースシ・ノーライフ(6-11)

「ただいま戻りましたー」
「おう、よくやったな」

所変わって、トコロザワピラー、ソウカイヤ内スシバー。
時刻はすでに未明を回っており、当然ながらソウカイヤニンジャ達も残っていないかに思われたのだが。そうではなかった。

悪趣味なニンジャ装束、ソニックブームはスシバーのカウンターにて、琥珀に染まったグラスをゆらり傾けていた。そしてヘルカイトは黙々と首を刎ねられたケモビールの瓶を傾け、ビールをあおっていた。

「お、おふた方、どうして……!」
「年始だ、ちっとぐらいのんびり過ごしたってラオモト=サンも文句は言わねぇさ。イサオシもねえからな」
「ザイバツの潜伏戦力は年末年始の前に予め削っておいた。奇襲するにしても分が悪いようにな」
「は、はえぇ……」
「つーわけだ、帰ってきたとこ悪いが握ってくれよ。オマエのことだから帰りにネタ仕入れてきたんだろ?」
「ある分でいい、頼む」
「は、ハイ!ヨロコンデ!ちょっとお待ち下さい!」

ヤクザ・ミッションの疲れなど何処吹く風。二大幹部がそろって自分のスシを所望とあらば、迷わず握りに入るのがレインボーフードである。いそいそと彼が板場に潜り込んだのと時を同じくして、第三者がその姿を見せた。

錆色のフード、細身ながらもピューマのそれのごとく引き締まった体躯もまた同じカラーリングのニンジャ装束に覆われ、人好きのする笑みをメンポで隠しきれていないその少年は、デッドレインという名のニンジャであった。

「ありゃ、ソニブのオニイサンまだ帰ってなかったんッス?」
「フン、いつ帰ろうが俺の勝手だろうが。それよりちゃんと締めて来たか?」
「ええ、そこは抜かり無くやってきましたって。まあ自分が見つけた時にはボコられてたんで助けてやったというか……」

デッドレインがノレンをくぐったのに続いて、うっそりとした陰がうなだれた様子で入店してきた。ソイツは、レインボーフードが見たことあるニンジャであった。

「ドーモ、ミートバーンで……なっ、おっ、オマエはーっ!?」
「あ、ああああああミートバーン=サン!なんでここに?ニンジャナンデ!?」

そう、あちこち薄汚れはしているもののそのインフルエンザ悪夢的生肉加工ニンジャ装束をまとった巨漢は、紛れもなくあのミートバーンである。

「アレッ?二人共お知り合いッスか?じゃあ話が早いや、今日から俺の後輩になる、ミートバーン=サンッス。ほらそこのお二人はソウカイヤの大幹部、丁寧にアイサツして損ないッス」
「……ドーモ、ミートバーンです。ヨロシクオネガイシマス!」
「ドーモ、ソニックブームです。励めよ、ミートバーン=サン」
「ドーモ、ヘルカイトです。ソウカイヤはラオモト=サンによるラオモト=サンの為のニンジャ組織、だがソウカイヤに貢献するならばオマエも相応のいい思いは出来るだろう。わかったな」
「ハイ!ワカリマシタ!」

まるで借りてきた猫めいておとなしく頭を下げるミートバーンに、レインボーフードは軽く吹き出してしまった。

「よーしアイサツは済んだ!スシだスシ!俺はオオトロスシだレインボーフード=サン!」
「ワケギ、そしてタマゴだ」
「レインボーフード=サン!ニク!ニクスシだ!後ケモビールも寄越せ!」
「あー自分はサーモン、炙りとそのままとオニオン、後ネギトロ風軍艦」
「ハイヨロコンデー!」

こうして、ソウカイヤの新年が幕を上げた。
果たしてレインボーフードは来年の新年まで生き延びられるであろうか。
それは賽を握るブッダだけが知っている。

【ノースシ・ノーライフ(6-11):終わり:(7-1)に続く:第一話リンク

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