ノースシ・ノーライフ(5-6)

ブラックマンバは、仮にも今がカラテ戦闘中であるという事実を忘れ、口の中のダブル・トロスシを思うがままに味わった。豊潤なスメシの甘みに、口の中で脂がとろける上質なトロの旨味が混ざりあい実際至福の時間!その上、噛みしめれば冷凍粉砕トロ粉末が凝縮された魚介の旨味を舌の上で弾けさせた。味のダブルアサルト・インパクトだ!

カラテ戦闘中にスシを握って食わせるこいつは、間違いなくどうかしているがそれだけにこいつのスシは、美味い。文句のつけようも無い。フリーランスで日銭を稼ぐブラックマンバにとっては、未体験の領域の味だ。

「おい、レインボーフード=サン、次のスシは……」

スシを飲み下し、そこまで口にしてしまってから、ブラックマンバはようやく既にレインボーフードが退散している事に気づいた。今はカラテ戦闘中であり、レインボーフードと自分は敵対していたので当然ではあった、あったが。

「クソッ……試食だけ食わせてハイ、バイバイ、かよ……」

今食べたスシは金に代えられないほどの体験だった。次はサーモン・スシを食べたい、などと思ってしまう程に。

「ソウカイヤか……ムカつく奴らだが、交渉、してみるか?」

もはやブラックマンバにとっては、ケチなヤクザクラン防衛などどうでも良い事案に成り果てていた。ソウカイヤにはフリーランス契約しているニンジャも居たはずだ。場合によっては、ワンチャンもう一度あのスシを食える待遇も得られるかもしれない。

そんな期待が、ブラックマンバの中でわだかまるのであった。

―――――

「よし、よし、査定のお時間だレインボーフード=サン」
「ハイッ!ヨロシクオネガイシマス!」

ソウカイヤのアジト、天高くそびえ立つ堂々とそびえ立つトコロザワピラー。その一室でフェイス・トゥ・フェイスのミッション評価タイム。評価するのは、リーゼントに悪趣味な金糸を織り込んだニンジャ装束をまとうヤクザニンジャ、ソニックブームである。

「潜入しての連中の面子丸つぶし、んで闇取引の帳簿まで引っこ抜いてきた。上出来だ、褒めてやるぜレインボーフード=サン」
「ア、アリガトゴザマス!」
「ま、想定通り誰も殺って来なかったようだが……そいつは結構な事だ」
「いいんですか?」
「レインボーフード=サン、オマエは一般人上がりだからピンとこないだろうが、ヤクザに取って面子は命よりも重い。ここまで好き勝手された上に生かして残されたなんざ、廃業物の屈辱だ。キッチリ殺された方がまだ面子が立つだろうよ」
「は、はぁ……」
「要するに、今回のミッションはケチのつけようのない大成功って訳だ。んで敵ニンジャと遭遇して無事に帰ってきたんだから、上々だ。ニュービーの大半は、引き際を見誤って死ぬからな」

そう断言すると、ソニックブームは懐から、レインボーフードが見たこともない量の札束を取り出してガラスのテーブルにのせた。

「基礎報酬に加えてボーナス付きだ、とっときなレインボーフード=サン」
「ハハーッ!マコトニ、アリガトゴザイマス!」

深々と頭を下げるレインボーフード。
ソウカイヤは邪悪ニンジャ犯罪組織ではあるが、今この瞬間はたしかなソンケイがここにあったのだ。

【ノースシ・ノーライフ(5-6):終わり:(6-1)に続く:第一話リンク

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