現代討魔伝:ボンズ ウィズ ディテクティブ そのに

「Yo-ハロウィンヤロウ。今年のハロウィンはとっくに終わったぜ?」
「だがお前のハロウィンは二度と来ぬ、今日で終わりだ」

時は新世紀!
二次元の嫁をこの手にめとるべく狂人なる天才が作り出したフィックションとリアルをつなげるマッスィーンによって幻想世界と現実世界は結合してしまった!

現実を侵食する幻想より人々を虐げるべくそう定められた使命にて数々の魑魅魍魎と悪魔が迫る!

これは現代を駆け異形を断つボンズの物語である!

※このパルプの登場人物はフィックションでありリアルの奴らとは関係がない重点。

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ぜんかいのあらすじ

人間のネガティブマインドを育てる牧場を滅ぼしたボンズとディテクティブ。
いつものバーでくつろぐ二人に何者かが迫る……!

「この店に腕利きのバニッシャーがいるって聞いてきたんだけど……あんた達のこと?」

探偵ことセージが声に振り替えるとそこにいたのは美女であった。
つややかな黒髪にグレイのタイトスーツをまとったオフィスレディ風の女にMakeLoveを信条とするセージは迷わずナンパに走る。

「ええ、ここにたむろしてるバニッシャーは俺たちですよお嬢さん。それより俺とパライソに行きません?」
「仕事の依頼をしに来たんだけど……」

出会い頭にラブ・メンテナンスを持ち掛けられ明らかに機嫌を悪くする女を見ようともせずボンズの方は山盛りのビーフカレーと死闘を繰り広げていた。

「ちょっと、そっちのお坊さんが相方なんでしょ?話が進まないのだけど」
「そいつにはいつものことだ」

女に声を掛けられ、興味なさげにナンパする方とされる方を流し見るとボンズは食事を再開する。

「もう!話が進まないから聞く気がないなら帰るわ!」
「おっと……そんなにもワークが大事ならお受けしないと。な、カリュー」
「聞いてはいるから勝手に話せ」

一応話を聞く気になった探偵と相変わらずこちらを見ようともしない無関心さのボンズの態度に女は一瞬本当に帰って別の奴にすべきかと逡巡するが、時間が無駄なので諦めた。

「内容そのものは単純よ。あなた達にアクマを見つけ出して滅ぼしてほしいの。報酬額は……」

女の提示した額は一般的なアクマ一体の始末ならちょっと割のいい、位の金額であった。
問題は「見つけ出して」の部分である。

「どこのどのアクマがターゲットとか、特定できていないのか」

探偵を挟んでバーのカウンターに座った女に視線を流すボンズ。

「……ええ、そうよ」
「捜索まで込みならこの額はわりに合わん、下手したらいもしないアクマの存在否定証明までさせる気か?」
「う……」

エージェント、という割にはワキが甘い女にガスガス突っ込みを入れるボンズ。この男はその手の甘い立ち回りには本当に厳しいのだ、禅系のボンズですから。

「まあ、見逃してやれよカリュー。該当するターゲットの有無くらい一週間ありゃ特定できるさ」
「お前がそう言うんならそうだろうよ」

豪語するセージにそれ以上追及するのをやめるカリュー。

「で、ターゲットは何やって迷惑かけたんだい?それだけでもわかれば特定は出来るぜ」
「ええ、始末してほしい理由は……」

~~~~~場面転換!~~~~~

「俺はシブヤのハロウィンが揉めてるのは集まる人口に見合ったイベント管理組織がないのが問題だと考えてたんだが」

リタと名乗ったエージェントが提示した依頼の理由を振り返り、ボンズは隣の探偵に告げる。

「お偉いさん的にはまー悪さしてるやつがいるってことにしたいんだろ?ところがびっくり、ハロウィン煽ってトラブル起こさせてるやつは調べてみたら本当に出てきやがったわけだ」
「ひょうたんからコマだな……」

二人が訪れたのは郊外の廃農場だ。もはや誰も訪れぬ廃墟のゲートをくぐる二人。

「特定できた理由は?」
「簡単、シブヤのハロウィンの参加を誘導してる癖に本人達は参加していないエスネヌエッスのアカウントのIPたどったら全部ここにたどり着いた」
「全部……がばがば過ぎだろ」
「ははっいんたーねっつ越しじゃ特定できないって思いこんでる間抜けでよかったぜ」

廃農場の敷地はうっそうとしたジャングルめいた森に取り囲まれており、中央分にドーナツの様に農地と住居がある構造をしている。
カントーのわりにでかい、野生化した作物が放置された敷地を横断しながら二人は会話を続ける。

「それにしても廃農場とは……インターネット工作っていったらもう少し回線設備が充実してそうな施設のイメージだが」
「いやいや、ここの方がヤツにとっては好都合だ」

セージの言葉に何かを察し、かたまゆを吊り上げるカリュー。
そうこうしているうちに二人は廃農場の白いトーフめいた建物……管理棟にたどり着いた。

「行こうぜ、ヤロウはこの中だ」

~~~~~場面転換!~~~~~

Blew!Blew!Blew!

セージの放った強制成仏弾が厚い鉄扉を貫きこじあける!

「Yo-ハロウィンヤロウ。今年のハロウィンはとっくに終わったぜ?」
「だがお前のハロウィンは二度と来ぬ、今日で終わりだ」

挑発の言葉にユニックスの墓石めいたサーバラックが転がる中央管理室で振り向いた人影…ではない!明らかに異形である!

「ここが嗅ぎ付けられただと!?」
「雑過ぎるぜアンタの工作。チャイナの奴らだってもっとうまくやるさぁ。な、ジャックオーランタンさんよ」

セージの煽りに無数のつたをわななかせ怒りに震えたのは……そう!ハロウィンで定番のカボチャのランタンである!しかしその表情は憤怒と憎悪にゆがみコミカルなハロウィンのそれとは程遠い魑魅魍魎となり果てていた!

「おのぅれ、口惜しや人間ども……!我々カボチャをオモチャにするだけでは飽き足らんか!」

セージに四方八方から押し寄せるツタ触手を蒼い輝きが一閃!カリューのライトセーバー降魔の利剣だ!

「サンキューカリュー、男の触手プレイシーンなんて需要ないぜ」
「そうとも限らんぞ、世のご婦人がたは意外とドスケベだからな」

セージの軽口に軽口を返すカリュー!その間にも押し寄せるツタ触手を退魔シバカリ機めいてカリューが高速切断!
続いて中央に座す巨大な憎悪にゆがむカボチャをセージが集中射撃!が、ダメだ!カボチャアクマが構えた別のカボチャが盾となり銃弾を受け流す!

「おっと中々やるじゃん、ならこいつはどうだ!」

目にもとまらぬ速度でマガジンをリロードしながら右腕の銃は正面からカボチャを掃射!変わらず防がれる強制成仏弾!しかし……!

「グワーッ!」

着弾の轟音と共に悲鳴をあげるカボチャアクマ!
セージの左腕の銃から放たれた強制成仏弾が跳弾し、背後から襲い掛かったのだ!

「負けぬ……ハロウィーンを滅ぼすまでワレは負けるわけにはいかぬ!」

なおも怒りに燃えるカボチャアクマ!無数の小型カボチャを二人に向けガトリングショットガンめいてアクマの種子を放つ!
これをセージは白亜の狼に変じて回避!カリューはボンズシャウトで迫りくる種子弾を叩き落した!
カリューはカボチャアクマの追撃を許さぬ!

「来たれ氷獄……青蓮地獄!」

おお……見よ!ボンズが語りし幻想の地獄がこの世に再び現れん!
青き蓮めいて地獄から吹き付ける冷気がカボチャアクマのツタを、ハナを、カボチャを氷の檻に封じていく!

「ハハッハハバババババッー!」

伝承のごとく哀れな悲鳴を上げるカボチャアクマ!
再生すら止まり冷凍カボチャと化したカボチャアクマにボンズが迫る!

「一度この世にあらわれば滅ぶ定めからは逃れられん、往生するがいい」

ボンズの説法シャウトと同時に煌めく斬撃!カボチャアクマはなすすべなく両断される!

「アッアバッ……せ、せめて来世では美味しく食べて……くだ……」

無慈悲な一太刀によって唐竹割りされたアクマカボチャは命脈を断ち切られ、かつての無害な巨大カボチャ、その両断された姿が残った。

「今生でもそうしてやりたいが……お前、もともと食用じゃなかったようだな」

真っ二つに割れた哀れなカボチャを前にカリューの鎮魂の読経がささげられた。

南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏……

~~~~~場面転換!~~~~~

ところ変わってここはいつものバー。

(わしは、わしはのーまるなんじゃ!男色趣味はないんじゃあ!)

「今日のデモは?」
「ホモ趣味がないのに御婦人がたにBLキャラにされた男性陣の集まりだってさ」
「Oh……同情しちまうな」

世のご婦人がたにかかれば本人達にその趣味があるとかないとかは関係ないのだ!
他人ごとではないデモの内容にバーのカウンタで天を仰ぐ二人。
そこに依頼完了の知らせを受けてエージェントが現れた。

「一週間って言ってたのにもうケリがついたのかしら」
「ワークは余裕持った期間を設定するもんだぜ、ひよっこのお嬢さん。はいこれ」

エージェントは探偵の突き出したスマホの動画に凍り付く。
そこにはエージェントに対し激おこぷんぷん丸で中間コストふっかけた事を非難するクライアントの姿が映っていた。

「クライアントの提示額の9割引っこ抜いて俺たちに仕事回すような悪い子にはきっちり現実ってやつ、理解してもらわないとな?」
「うそ、クライアントの情報は何一つ提示してないのに」
「はっはー、俺っちこれでも探偵なんで。クライアント特定するくらいなんでもないんだぜ?」

愕然とするエージェント。彼女はどうやらクライアントとバニッシャーの両方を欺いて中間費用をピンハネしていたのだ。
そこにおごそかに声をかけるボンズ。

「次からは誠実な仕事をするんだな。一度二度の過ちはブディズムに乗っ取って許す。しかし考えを改める気がないなら……斬る」
「申し訳ございませんでしたぁ!」

ボンズらしからぬ龍もビビるカリューの剣呑さに飛び上がって土下座した後振り返らずに逃げ去るエージェント。

「もう来るなよ~」

ボンズとは相反して気楽な態度でエージェントを見送る探偵。

「見逃したが、報酬はもう受け取ってるよな」
「もちろん、今回のクライアントからは彼女への振り込みキャンセルして口止め料込で倍の額受け取ってる」
「まったく、いつもいつも抜け目ない話だ」
「命を張ってるのは俺たちなんだからしっかり払ってもらわないと、な?」

南無三!セージは元々しぼり取れるだけしぼり取れる腹積もりでこの仕事を受けたのだ!人当たりのいい雰囲気とは裏腹に容赦のないやり口である!

「マスター、いつもの」
「あ、俺は今日はオリオンで頼むわ」

カウンターに置かれる山盛りのビーフカレーとジョッキにつがれた暑い南の島を思い出させるビール。
自分たちの扱いに抗議する幻想存在のデモをバックに、いつもの夜は更けていくのだ。

【この続きは作者が思いついたら続く】

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