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ららさんと山種美術館 (noteのご縁でお友だちができました)

ららさんとはnoteで知り合った。投稿を読んでいてなんとなくウマが合いそうだなと思ってコメントをつけた。最初はアンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」という絵画についてだったと思う。ニューヨークの近代美術館所蔵で、私もこの絵が好きなのでよく見に行っていたからだ。するとすぐにコメントの返事が返ってきた。それを読んでやっぱりこの人とは波長が合いそうだと思った。

源氏物語は与謝野晶子と瀬戸内寂聴の現代語訳で読んだが、実は私はあまりよくわかっていない。好きな登場人物が出てくるところは読み返したり、関連するエッセイ本などを読んだりして親しみがあるが、なんせ長いので退屈だと思ったところはすっかり忘れているし、2度目はそういうところは最初から斜め読み。だから、源氏物語の読書会に参加しているららさんにアーサー・ウェイリー訳(の日本語版)がいいと勧められたときは、気持ちを改めて文庫本を全4冊買い揃えた。

かつて私が日本語を教えていた生徒さんの中には違う訳者の英訳で4回も源氏物語を読んだ人がいる。恥ずかしいことに立場が全く逆。この生徒さんと源氏物語について”対等に”話ができるようになりたい💦 アーサー・ウェイリー訳を勧めてもらったので、今度は丁寧に源氏物語を読んでみようと思っている。でも、なかなか進まない。 読み始めると眠くなるぅ💦

私は源氏物語をちゃんと読んでないくせに、源氏物語の映画を作るとしたら登場人物のキャスティングはどうしよっかなあ、なんて考えるのが好きだ。ところが、肝心の光の君を誰にしたらいいか全く思いつかず、長い間考えあぐねていた。そこで、ららさんの意見を聞いてみたところ、現在NHK大河ドラマ「光る君へ」で伊周役を演じている三浦翔平さんを推してくれた。

不覚にも、イケメンだということ以外、私はこの役者さんの魅力に気づいていなかった。源氏物語が好きな人たちは、それぞれに自分が理想とする光源氏像を思い描いていると思うが、三浦翔平さんは見目麗しさ、上品さ、知性、そして品よく漂う色気など、光の君に必要な資質を十分に備えているように思えた。今の役柄は道長を呪詛する陰湿な役どころだが、三浦さんはどんな魅力的な光源氏を演じてくれるだろうと勝手に盛り上がってしまった。ららさん、お目が高い!

そんなこんなでららさんの感性やものの見方にますます興味が湧き、会って話してみたいと思うようになった。ダメもとで「会っていただけませんか」とメールを送ったところ快諾の返事が来て、とんとん拍子に話が進んだ。ららさんのnoteには美術館巡りの投稿もたくさんあり、美術館や美術にも詳しいことがわかる。一方私は東京の美術館に疎く、機会があったら美術館を訪ね歩きたいと思っていたところなので、渡りに船で山種美術館で会うことになった。

そこで、私からひとつ提案をした。

「展示を見る前にららさんに会ってしまうと、おしゃべりに花が咲いて展示を見るどころじゃなくなってしまいそうなので、まず、お互いひとりで展示を見てから、3時に併設のカフェで待ち合わせませんか」

こういう仕掛けをするとワクワク感が増す。展示フロアで東山魁夷や上村松園の絵を鑑賞しつつも、あの人かな、この人かなと他のビジターをチラ見。マッチングアプリで初めてデート相手と待ち合わせするときってこんな感じなのだろうか。

私は3時10分前に展示を見終わり、ららさんに「こんぶです。これからカフェに向かいます。黒いカーディガンを着ています」とテキストメールを送ると、「私は白いカーディガンを着ています」と返事があった。

展示室は地下1階。カフェは1階の入り口脇にある。階段を登っていくと白いカーディガンを着たほっそりした女性がニコニコして立っていて、すぐにこの人だとわかった。それから怒涛のように挨拶をして、端っこフェチの私のリクエストであたふたと窓側のいちばん奥のテーブルについた。そして、私は抹茶と和菓子、ららさんはコーヒーと和菓子を注文し終わると、「待ってましたー」とばかりに、まるで溜まっていた何かを吐き出すようにしゃべるしゃべる。。。

お互いの仕事や生活、最近見た映画やドラマ、源氏物語、お互いのnoteの投稿のこと、えーと、あと何を話したかな。偶然にも出身県が同じだったこともあって親近感が増した。学生時代の友人と久しぶりに会ってつもる話をしているような感じ。ららさんと会うのはこれが初めてのような気がしなかった。多分、どこかの前世で袖触れ合ったりしていたのだろう。

最近私はnoteにNHKの朝ドラ「虎に翼」がおもしろくなくなった、という投稿をした。投稿したときには気づいてなかったが、あとになって、岡田将生さんが航一の役にしっくりこないのも一因だと気づいた。ららさんも同意見だった。

「あの航一さんは若すぎますよね。子供たちの父親というよりお兄さんにしか見えない」

「ほんとほんと」

「寅子は桂場さんと結婚すると思っていましたよ」

「そうそうそうそう」

このあたり、激しく意見が一致。実在のモデルがいる話なので勝手に結婚相手を変えることはできないだろうが、いつも口をへの字に曲げている偏屈な桂場さんが寅子の夫だったら、もっと愉快なドラマになったような気がする。二人でお団子を食べながら法律について語り合うシーンは確実に増えるだろう。いいと思うな、それ。

あ、今、大変なことに気がついてしまった💦💦 私たちは美術館に行ったのに展示物や美術館のことは何ひとつ語り合わず、ひたすら女性会のノリで話題をあっちこっちに振りながらおしゃべりしていたことに。私はそれがとても楽しかったからいいのだが、ららさんは展示されている作品について話したかったのではないだろうか。なんか、私のペースに引き摺り込んでしまったようですみません。。。

ららさんのnoteのアイコンの印象で、私はなんとなく物静かに話す人という印象を持っていたが、実際のららさんはよく楽しげに笑う人で、そもそもデフォルトの表情が笑顔、そんな感じの人だった。

カフェを出る前にもうひとつ提案した。それがこのnote。今日の出会いをそれぞれnoteに書いてみましょうと。つまり、是枝裕和監督の「怪物」や、古くは黒澤明監督の「羅生門」で使われたあの手法。ららさんによると、江國香織と辻仁成による「冷静と情熱のあいだ」という小説は、ある恋愛を女性側からの視点、男性側からの視点で書かれているそうだ。

「そうそう、それです!」

ひとつのできごとを当事者たちの主観で、それぞれ違う角度から描く、というのをnoteで実験的にやってみたらおもしろいに違いないと思った。これはららさんに会う前から提案しようと思っていたことだった。お互いにややキャラがかぶるところがありそうで性格や物の見方も近いので、あまり際立った違いは出ないかもしれないが、でもやってみたい。きっと意外な発見があるだろう。逆に、似通った内容になってしまったとしても、それはそれでおもしろい。

ららさんはすぐに賛成してくれ、「いつまでにやりましょうか。今週の金曜日は?」と、火曜日に会ったのになんとその週の金曜日の締め切りを提案してきた。即断即決、即行動の人だ(多分、自分が好きなことに関してだけだと思うけど)。気持ちがいい。

そして、「せーの」で同じ時間に投稿することを約束して別れた。そのプロジェクトの成果がこのnoteです。ららさんはどんなことを書いてくるのか、興味津々。

ところで、山種美術館のカフェでいただいた抹茶と和菓子の写真を食べる前に撮影しておかなかったのは痛恨の極みだ。あの写真を撮っておけばページのトップをエレガントに飾れたのに、悔やんでもあとの祭り。仕方がないので、山種美術館のカフェに行きましたという証拠写真として、空の茶わんと菓子器の写真を載せておきます😂


※ 本文中敬語略。


ららさんの視点はこちら↓




らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。

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