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還暦おばさんの徒然日記。「今日はメルカリ日和」

定年退職後にやりたいことのリストの中に
「メルカリへの出品」があった。

私は幼い頃から不器用ながら手仕事が好きだった。
おそらく暇過ぎたのだと思う。
母親はとても器用な人で、セーターを解いては編みなおしたり、色々な手芸をやっていたり、手が休まることを知らない人だった。
そんな母の傍らで、見様見真似で編み針を使ったり、刺繍をさせてもらったりしていた。
他にやることがなかったもので・・・
それでも恐ろしく雑で不器用な子供だったために、いったい何を作っていたのか思い出せないくらいの酷さではあった。

下手の横好きは、石の上にも3年となったか、ならなかったか・・・
とにかく友人にプレゼントして喜んでもらえるくらいのものは作れるようになっていた。

今までは「私の作品なんて人様に買ってもらえるようなものじゃない」
「値段なんてとても付けられない」そう思ってはいたが
失業状態となり金はないけど暇はある。この状況でできることを考えたら
「勇気を出して売ってみよう」の決断に至ったのである。

まずはマーケティングから。
私が作ろうと思っている作品をほかの人がどれくらい出して、どれくらい売れているのか。またそれがいくらで売れているのか。
たくさんの時間を掛けるまでもなく、答えはすぐに出ました。
惨敗の予感です。
手間暇かけて作っているだろう作品の売れ行きは芳しくなく、その上私が作るものよりはるかに高いクオリティでした。(なのに売れていない)

そうだよねえ。
100円ショップに格安の通販サイトが世に溢れる時代、わざわざハンドメイドなんて買わんよねえ(´;ω;`)
それでもここで引き下がるのも悔しく、「やってみなきゃわからんじゃん」と、とりあえず少しの作品から始めてみることに。

作っているうちに
「わあ可愛いじゃん」「もしかして売れるかも」「いくらにしよう」
そんなオメデタイ気持ちになってきてウキウキしながらミシンを動かしていた。
材料費、送料、所要時間を考えて採算が合うような売値にするのが商売の基本!しかし手間暇かかりすぎるハンドメイド品は採算度外視にしなければ売れるはずがない。
とりあえず仕入れ値を切らないように価格設定することから始めてみよう。
メルカリ教室なるものにも参加して(Zoom)出品方法は習得した!
良き出品者と評されるためには売れたらすぐに送らなければいけない。梱包材の準備もOKだ!よし、出品完了!


売れなかった。

たった一つも売れなかった。

何日待っても気配すらない。
メルカリで作品が売れないということが、こんなにも自分の気持ちを暗くしてしまうものとは思わなかった。
これでは仕入れた材料費分が赤字になってしまう。

それなら、材料費をかけないでやってみようか。
性懲りもなくむくりと気持ちを立て直し、近所の海に流木を拾いに出かけてみた。流木に手芸品を組み合わせ素敵なインテリアにしている作品を見かけたからだ。材料費ゼロなら経済的損失は免れるので売れなくても落ち込むことはないだろう。
そして意気揚々と作り始めたらまた「え?いいんじゃない」「ちょっと素敵かも」「今度は即売れたりして」
そんなオメデタイ感情がまた湧き上がってくる。
よし、第二弾出品完了!


売れなかった。

またしても、たった一つも売れなかった。

もうメルカリなんか嫌いだ!
こっちから縁を切ってやる!
そう思い何日もメルカリサイトすら見なくなった。
もしかしたら、もうメルカリも古いのかもしれない。
今更メルカリでものを購入する人はいないのかも。
そんな気持ちも沸いてくる。

作品作りから一旦離れて片付けをしていたら
10年以上前に、ちょっとだけブランド物を買っていた時期のバッグなどが出てきた。
ヴィトンの財布は現在二代目を使用しているが、初代の財布も修理して保管されていた。バッグは収納力が少なくてあまり使っていないものから、使い倒して放置されたものまで。
「これメルカリに出したら売れるのか?」

縁を切ったはずのメルカリを思い出す。

さて、そうと決めたら必死に拭いて磨いて綺麗な姿で撮影に挑んでいただく。サイズを測り、商品の状態などを記入。この作業が地味に面倒くさいので説明文も雑なままで出品してみた。

瞬殺!
出品予定の品物の全ての出品作業が終了する前に購入の連絡がきた!
え?ええ~~~~!!

ブランド品の威力恐るべし!
梱包材も準備していないのに。
大慌てで「メルカリ便」について確認し直し、宅急便と郵便局のはしごをしていました。
初めての作業に緊張感もあり、ちょっとヘロヘロです。

私の作品すべて売れたとしても追いつかないくらいの金額が
本日一瞬で売れました。
市価の5分の1くらいの金額にしたのでそりゃ売れるわねえ。
もう少し高い設定にすれば良かったなんて思いながらも
手放すときは少しの寂しさも感じつつ

「ご購入いただきありがとうございます」

のメルカリ日和という日でございました。

それにしても
私の作品、一つくらい買ってもらえないかなあ・・・


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