先生を辞めた先生へ
先生、こんにちは。Rasukottoという名前で文章を書いているあなたの教え子です。
先生には中3の時にお世話になりました。先生は若くてかわいいと評判で、彼氏がいるのかいないのかで盛り上がりました。正直、授業はあんまりおもしろくなかったというか、教壇に立つ先生は緊張していて浮足立っているようにも見えました。当時、授業中寝てばかりだった私を困ったように見る先生に私は嫌われてるだろうな、と思っていました。
高2になって休校が開けたとき、私は委員会の仕事で悩んでいました。まともに話し合いができない中、私は同輩との温度差があり、担当教師ともうまくいきませんでした。その上、いろんなことが「高2内でのみ共有可」とされ後輩と情報を共有することができませんでした。後輩からみた自分は仕事をしていない奴に見えるのではないか、とびくびくしていました。特に高1の子からの目線は怖かったです。とりあえず、自分がどういうことをしているのか知ってもらい、来年に向けてイメージを持ってもらうために、毎週、今週したことを記録したノートを渡していました。
7月、怖さがピークを迎え、学校に行こうとすると吐き気を感じることが増えました。家に帰り、自室にこもり、泣きました。全く勉強していないし、やるべきこともやってないのに。
そんな中、廊下で先生とすれ違いました。私が軽く会釈すると、高1の担任だった先生は
「大変だよね。いつもありがとう。」
とおっしゃってくださいました。
教師に、手伝いをしたわけでもないのに「ありがとう」と言われるのは初めてで、驚き震えました。それから、ちょっと元気になりました。以来、先生のことが大好きで、廊下で会うたびにくだらない話をしてしまいました。
先生が辞めると知った時、まだ若い先生が、まさか私達より先に卒業してしまうとは思わず、ショックでした。あと1年いて欲しかったです。
でも、なにやら楽しそうに来年からの展望を話す先生は、素敵な女性に見えました。私が知っている教壇に立つ先生とは違う先生がそこにいました。先生は「憧れていた先生のようにはなれなかった」って言ってたけど、先生に憧れた生徒はここにいます。別に教師になりたいとはあんまり思っていないけど、女性として憧れています。
先生、さようなら。お元気で。
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