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「霧の書」

「誰か」が遺した記憶の書

「誰か」の残した足跡

ふだん
「誰も」そんな処に行こうとは思わない

疲れた心に忍び込む虚

影に誘われるように迷い込む森

木立を縫って

そこは靄の立つ場所

木の肌に手をかけて

抜け出そうか

帰らずか

答えを欲しそうに空を見る

木々の丸窓の空はこんなに小さかったのか

ここまで来ればこんなに近い

近いようで遠い森

遠いようで近い森


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