新・幻想小話
小言②
座敷と廊下の隔たりが隠し階段になっていた
そこに黒い影と形がある
子どもの輪郭
「どこの家の子どもだ?」
影がえぐれたように一瞬ぶれた
笑ったように見えた
『ここの子どもだ』
声は実感がないが、話している
この認識には覚えがある
そもそもこの家には階段はない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?