恋愛小説⑬

「モカマタリを」

あなたはそう伝えると席に戻って来た

早くから外の世界で物を書き

大人の汚ない波間を縫って来た人

性格は少し悪い

彼の私への干渉は

兄がいたら多分こんなふう

わたしに父がいた話は聞かない

父がいたこともない

母は弁当屋の看板娘だった

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