恋愛小説 24

「美味しい」

珈琲は濃く、苦味の中に甘みを感じる

酸味は後から僅かに感じる程度

惜しまず豆を挽き

ふんだんに粉を

ムラなく湯を注いでいる

だから重厚な濃度

あなたの視線にやり場のない気持ちで

卓の右上の木彫りのタペストリーを見上げる

見ないで

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